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新世界での生活  作者: 投稿初心者
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075 後悔先に立たず

第75話 後悔先に立たず


うぐぅ・・・あ、あたまが・・・


ハッキリとしない意識で、俺がこんな状況になった原因を考えたが・・・全身のけだるさと胃のあたりに重くのしかかる吐き気、頭痛・・・現在バリバリ2日酔いの俺に考えられる思考力など残ってる訳が無かった。


前夜、ミーアを寝かせた後に自室で寝た俺は非常に機嫌良く起きる事が出来た・・・身支度を調え・・・母さんが作ってくれた朝食を家族で食べて、自警団本部で作業割りの変更がない事を確認してケントと露店を見回っていく・・・ごく普通の1日だったはずなのだが・・・


「あ!アレン君!!」


昼飯を喰いに教会に行こうとした俺を呼び止めたのは、自警団の副団長・・・親父が団長だけど村長の仕事や狩猟団の方でしょっちゅう居ないので実質的団長のカンザルフさんだった・・・ま、凄く影の薄い人で・・・気が付きにくいんだけど・・・いい人だ・・・たぶん・・・


『はい?何かありましたか?』


「ん?移住者の移民に聞いたのだが・・・今回の移住者から10人ほど自警団で経験を積むって・・・本当かい?」


『あ!その話ですか・・・』


カンザルフさんの話は本当だ・・・大魚亭も大きくなったし開拓を進めるため狩猟団の負担が減るように、元探索者とか兵士だった人間を10名呼び寄せ1年ほど自警団で経験を積んで貰う予定だった・・・


『その話なら本当ですが・・・何か問題でも?』


「いや・・・問題という訳では・・・いや、問題か?」


要領を得ないカンザルフさんの話に、多少腹が減っていらついた俺が少し強引に話を聞き出すと・・・


どうやらカンザルフさんの話は、自警団で研修をする移住者が到着してるなら、すぐにでも訓練というか実習をした方が良いのでは?自分たちも忙しいし・・・その方が負担が減るから・・・って事らしい・・・まあ、楽が出来るのは判るけど・・・


『いや・・・急に新メンバー・・・それも経験のない人を入れても苦労が増えるだけですし・・・第一、村の地理も知らないのに無理ですよ!今は旅の疲れを癒して貰って・・・ついでに収穫祭で村を回ってくれた方が後の訓練にいかせるはずですよ!』


有る程度、理由付けもされ・・・正論とも言える俺の言葉で非常に未練が残った様子だったが・・・何とか納得したカンザルフさんと分かれて、教会の広場に着いた後で先に到着したケントを捜しまずはお気に入りのラーメンもどきをすする・・・


「カンザルフのおっちゃん、何の話だったんだ?」


俺の隣で同じくラーメンもどきをすすっていたケントに聞かれたので、概要を話したら・・・


「へぇ~ま、気持ちは判るけどな~でもそんなに忙しくないだろ?」


『まあね~カンザルフさん的には、訓練するなら早い方がって言うのと・・・多少人手不足が解消されれば・・・って感じじゃないかな?』


「まあ、到着と出発の時は雑用がいっぱいあるし・・・人手が多いと助かるけどな~」


『ま、巡回とかは無理だろうけど・・・最後の雑用ぐらいなら参加して貰った方が良いかもしれないし、後で親父に相談しておくかな~』


「良いんじゃねえか?それより・・・アレ!・・・美味そうじゃないか?」


少し離れたテーブルで焼かれているリバーシュリンプ・・・ケントは話しもそこそこにすぐに俺の分も持って戻ってきた・・・って、2匹とも自分で喰うのかよ!


悔しくなった俺は、料理してるところに向かい・・・料理の当番の人に断ってから殻を剥いたリバーシュリンプをぶつ切りにして軽く炒め、適当に取った野菜を炒めた後一緒にして・・・ラーメンもどきのスープを少し貰い、でんぷんでとろみをつけ中華風っぽいリバーシュリンプと野菜のあんかけを持ってケントの隣で喰ってやった!


「美味い!・・・」


隙をついて俺の木皿から料理をつまんだケントの発した第一声がコレだ・・・俺が作った料理が気になった料理当番の人も近くに来ていたようで・・・


「少し味見しても良いかな?」


などと言ってくるし・・・周りにいた人も興味があるようなので・・・諦めた俺が木皿を差し出すと・・・


「あら美味しいわね!」

「これも又良いな・・・」

「うん、美味い!」


などと言われたので、少し機嫌が良くなったが・・・見れば判るぐらいの簡単な作り方だったのに、3回も作らされたのは何でだ?まあ・・・調子に乗ってラーメンもどきの上に載せたり、茹で上げた麺を軽く炒めてあんかけ焼きそばもどきを作った俺も俺だったが・・・

(祭りの高揚感か?どうも調子に乗りやすくなってる気がする)


午後からの巡回があったのでその場をケントと離れたが・・・


「俺はまだちゃんと喰ってない・・・」とか「今、作れ!」とか言い出したケントをなだめるのに苦労して・・・最後には・・・『又今度作るって!』っと約束させられた。


まあ・・・ケントをなだめるのに苦労はしたが・・・その後は何事もなく、夕方になって巡回の終了を報告に自警団本部に行くと・・・


メチャメチャ上機嫌の親父に会ってしまい・・・自警団の件を相談しようとしたら、「今は時間がないし・・・カンザルフの話も聞くから・・・そうだな!今夜の寄り合いにお前も出ろ!!」っと言われてしまい、仕方が無く寄り合いに出る事になった。

(はぁ~又帰りは親父の面倒を見る事になるのか・・・)





巡回の報告を済ませ、軽く腹ごしらえするのに教会の広場にいくと・・・俺が昼作ったあんかけっぽい物が大流行していた・・・即座にケントが会場の中に消え・・・

俺は、焼き肉の上にあんかけとか・・・サラダにあんかけなどという、何を考えて作ってるのか判らない料理を横目にごく普通のメニューを探して席に着いた・・・

少し経つと、どこからともなく大量の料理あんかけばかりを抱え込んだケントが戻ってきて隣に座ったが・・・「コレはコレ、約束は約束な!」などと言って料理にかぶりついてた・・・微妙な顔をしたケントや美味しかったのかニヤッと笑うケントなどを視界に納めつつ、自分の腹ごしらえも終わったがまだ時間があったのでガッツリ喰う気のケントと別れて露店を回りながら時間をつぶしてから自警団本部での寄り合いに参加した。


まあ、参加した寄り合いなんて・・・単なる宴会で、いきなり親父の乾杯!のかけ声からスタートして、酒が入ってざわついた中で何とかカンザルフさんと親父に先ほどの話をして・・・収穫祭終了後に自警団メンバーとしての訓練で雑用を始める事が決定したあたりから記憶がおかしい・・・


うぅ・・・ぐぅ・・・頭が痛い・・・


とりあえず喉が凄く渇いてるので、台所に向かうと・・・俺の姿を見るなり「くちゃい!」と鼻をつまんだミーアに言われ俺の心はバッキリと折れた・・・


「はい、コレを飲んだら一度お風呂に入りなさい!」


そう言われて母さんから水の入ったコップを受け取って飲み干すと、母さんのOHANASIが始まった。


どうやら昨日の夜・・・俺は酒を飲んだらしい・・・やっぱり何か臭うのか・・・とても短いOHANASIで解放された俺は、すぐに風呂に入ったが・・・親父が風呂で寝ていた。


邪魔だったので親父を起こすと・・・どうやら親父が原因らしい・・・酔っぱらった親父が酒をこぼして俺に掛かったので、俺が抗議しようとしたら文句を聴きたくない親父がふざけ半分で酒の入ったカップで俺の口をふさいだらしい・・・(俺・・・バリバリの未成年なんですが・・・)


未成年に酒を飲ませるなんて・・・などと考えた俺が抗議したが、どうやらこっちじゃ常識が違うらしい・・・水の悪い地域とか、北の寒い地域だと小さな子供でも割と普通に酒を飲むらしく・・・この国に未成年の飲酒を取り締まるような法や規則はないそうだ!


コレがカルチャーギャップってやつか?ウチの村の水は無論、俺が行った事のある地域は水が豊富だし結構美味い!・・・寒いと言っても防寒対策をすれば快適だし・・・この辺じゃ子供が酒なんて飲まないからな・・・元の日本人としての記憶や知識で判断していたが・・・醜態をさらさないためにも多少訓練した方が良いのかな?


昨日、べろべろに酔った俺は親父に連れられて戻ったが・・・帰る道や家の中で戻しまくったらしい・・・親父は俺の戻した物をかけられたり始末したりで臭いが染み付いて・・・母さんに部屋に入れてもらえず身体を洗うために風呂に来たらそのまま寝てしまったらしい・・・まあ、すでに床暖房も効いてるし・・・ココで寝ても快適だろうが・・・


「風呂で寝るのは意外と快適なんだぞ!」


などと力説する親父を見ていたら・・・俺の記憶にある寝湯やジャグジーなどを思い出したのでついでに話したら・・・いきなり自分の空間から石?を取り出して浴槽の一部を浅くしてあっという間に寝湯を作ってしまった・・・


「おお!こりゃ~良い~快適快適!!」


などと寝湯につかる親父を見ていたら・・・まさか今後、酔った時はココで寝ようなんて考えてないだろうな?とそんな考えが一瞬頭をかすめたが・・・まあ・・・誰が怒る訳でもないし良いか!っと放置を決定した。

(母さんが怒っても、俺は弁護しないよ!)


ついでに思い出したので、露店で買った大物セットと色々で銀貨20枚を親父からむしり取ったが・・・親父の目が多少涙ぐんでいたのは気のせいだろう・・・

さてと・・・風呂に入って気分も良くなったし、軍資金も補充できた!収穫祭の最終日・・・仕事も休みだし張り切って楽しむか!!


色々説明臭い話が続きそう・・・

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