073 初体験の・・・
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第73話 初体験の・・・
ケントと二人で珍しい食い物がないか探し始めたが・・・結構あるな・・・俺達が最初に試したのは、何だかよく判らない素材を油で揚げて中にジャムみたいなモノを入れた揚げ菓子?だった・・・
『ん?なんだコレ・・・ぐにゅぐにゅして変な食感・・・でも結構美味いぞ!』
「どれどれ?・・・おお!なんだコレ・・・確かに・・・美味しいけど・・・ぐにゅぐにゅしてるな~」
「何だ・・・2人ともグリュッサを食べるのは初めてか?」
俺達の反応を見た屋台の店主が話しかけてきた・・・
「へぇ~~コレってグリュサ?って言うのか~」
「イヤ・・・グリュサじゃなくグリュッサね・・・西の方じゃ結構普通の食い物なのに・・・こっちじゃ喰った事無かったのか?」
「『初めて食べたよ!』」
俺達が声を揃えて同じ反応をしたら・・・「道理であまり売れないと思った」とか「友達を連れてきたらおまけしてやる」とか言われたけど・・・気になったので作り方を聞いてみたら・・・
「ん?作り方?別に教えても良いけど・・・たぶんこの辺じゃ材料がないぞ・・・」
俺が聞いた作り方は、西方で取れるグリュの実を乾燥させ細かく粉にした粉にネバルって言う植物の樹液?を加えて練った後に油で揚げて、サリアスの実を使った特製ジャムを中に入れるというモノだったが・・・まったく聞いた事のない素材ばかりで驚いた。
(この世界って寄せ集めって言うか・・・いろんなモノがあるんだな・・・)
作り方を教えてくれた店主にお礼を言って、さらなる道の食べ物を探索知るべく屋台を見て回る・・・
「串焼き串焼き!~レッドディアにグランドベア~ホーンラビットの串焼きはいかが~ちょうど焼き上がったばかりだよ~~」
「グラン焼き!美味しい美味しいグラン焼き!~~」
「寒い時期ならこの一杯!特製スープだよ~~身体の芯まで暖かくなるから試してみて~」
「さあさあ、買って行って買って行ってよ~~乾燥果実の量り売り~~美味いよ美味いよ~~!!」
活気に満ちた屋台街?を歩いていると、げ!・・・兄さんの親衛隊だ!!
『ケント!・・・』
俺はケントに声を掛け逃げようとしたが・・・その声に気が付いたのかエリスとエレナの双子に気づかれたようだ・・・俺達の元に走ってきた二人だったが・・・
「あんた達も来てたんだ・・・」
「相変わらず2人で回ってるのね~」
あれ?たかりに来たんじゃないのか?俺達が不思議そうな顔をしていたのが判ったのか・・・
「安心しなさいよ!もうおごれとか・・・無理に言わないから・・・」
「前に謝ったでしょ!いつまでもしつこく覚えてるのは男らしくないんだから!!」
『あ・・・いや・・・そ、そうじゃなくて・・・兄さんの所には行かないの?』
「え!ウイリアムさん帰ってきてるの?」
「聞いてないよ!どこにいるの!!」
ごまかすために口に出してしまった兄さんの話題は絶大な効果があったようで・・・俺から兄さんの居場所であるフォード工房の露店の場所を聞いたら、ちょっと離れてた仲間を連れて走っていったぞ・・・
(ごめん兄さん・・・でも宣伝もちゃんとしておいたからね・・・)
俺は兄さんの居る露店の場所を聞かれた時に、ちゃんと「チャリって道具を売ってるから買うと喜ぶと思うよ~」って言っておいた・・・まあ、結構高いし・・・買うかどうかは知らないけど・・・
「しかし、あいつら・・・前に謝ってきたのって本気だったみたいだな・・・」
『あぁ~それな~俺も驚いた・・・てっきり又おごらされるんじゃないかって思ったのにな~』
「まあ、無駄に金を使わなくて良かったじゃん!それよりもそこで売ってるグラン焼きって気にならないか?」
『お!それそれ・・・は俺も気になってたんだよね~買ってみるか?』
「買ってみよう!」
「すいませ~ん、そのグラン焼きって言うの1つ下さい!」
「はいよ~~グラン焼きいっちょうお買いあげ~~!!銅貨5枚だよ~」
「そこにある特製ソースにつけて食べてくれ!二度漬けは禁止だからね!気を付けてくれよ!!」
再び威勢良く客を呼び込みだした店員を見ていたが・・・ケントが渡された商品は・・・明らかに昆虫系の足っぽい感じでビジュアルが最悪だった・・・
「むう・・・コレか・・・」
馴れないその姿に、さすがのケントも躊躇っていたようだが・・・ふっと漂ってきた美味そうな匂いに、意を決したように特製ソースにつけて一口食べた・・・
「うめぇ~~~!!コレ美味いぞアレン・・・ほら喰ってみろって・・・マジで美味いから!」
ケントの言葉で騙したらぶん殴ると決意しながら喰ったが・・・マジで美味かった!
『美味い!ソースと絡んだこの肉汁と・・・プルプルの肉がメチャメチャ美味い!』
「だろ?・・・ん?特製ソースが2種類有るぞ・・・もう一個買うか?」
『当然!・・・今度は俺が買うよ!』
「おう!」
店主に言って銅貨5枚を払い・・・長さが30cm程で幅が5cm~3cmの昆虫の足っぽい商品を受け取って、ケントが付けたのとは違うソースにつけて喰ってみる・・・
『おお!!これまた・・・こっちはちょっと辛みが入って・・・俺的にはさっきのソースより美味いと思うぞ!!』
「どれどれ・・・おぉ~こっちも美味いな~~俺はさっきの方が好きだけどこっちも悪くない!」
俺達が食べたグラン焼き・・・後で聞いたら東方の平原にいる巨大なバッタの後ろ足・・・人間で言うなら太ももに当たる部位で作物を荒らす害虫として東方では狩猟の対象になってるモノらしかった。
他にも色々聞いたが・・・グランと呼ばれるその生物は、足の他には卵ぐらいしか美味しくないし・・・食べる部位もないそうだったが、話を聞いたら卵も食べたくなった・・・
(まあ、あまり日持ちしないらしく・・・今回ウチの村の収穫祭に売ってる人は居ないらしいけど・・・)
「ゴス!」(ぐあ・・・痛てぇ!)
次の食い物をケントと物色していたら・・・突然背中に衝撃があり・・・ちょっと痛かったのと何があったのか振り向いたら・・・怒った顔の女の子が俺の背中を蹴った足をそのままに立っていた・・・エ、エリス・エレナ・・・兄さんの親衛隊メンバー6人だ!
『何を「ひどいじゃない!」』
「そうよ!あんなに高いモノ・・・買える訳無いでしょ!」
「『あ!・・・』」
もう聞かなくても判った・・・
俺から聞いた兄さんの居る露店に行って・・・買いに来たとか言って話しかけたのだろうが・・・チャリの値段に驚いてその場をごまかし・・・値段を告げなかった俺を蹴りに来た・・・そんなところだろう・・・
『何をするんだ!突然蹴ってくるなんて・・・ひどいな・・・』
「ひどいのはそっちでしょ!」
「そうよ!あんなに高いモノだなんて・・・聞いてないわよ!」
口々に値段を言わなかった俺に抗議をしてくる親衛隊の面々・・・
『ちょっと待ってよ!・・・確かに兄さんが売ってるチャリは高いし、俺達は値段を言わなかったけど・・・俺がなんて言ったのか覚えてる?』
どうやら・・・覚えていない様子だ・・・俺は陰でため息をつきつつ・・・
『ちゃんと覚えてないようだからもう一度言うけど・・・俺は買ってあげれば兄さんが喜ぶよ!としか言ってなかったはずだよ・・・』
俺の言葉で先ほどの俺が言った事をお思い返しでもしたのか・・・多少怒気が収まり、話を聞く体制が出来つつあるな・・・
『チャリは確かに高いけど・・・俺もケントも持ってるし、まさか値段の確認もしないで買おうとした訳じゃないでしょ?蹴られるほど怒られるのはおかしいと思うんだけど・・・』
(ま、嘘は言ってないよ!俺のはもらい物だし・・・ケントは大幅割引品だけど・・・)
俺の言い分を認めたのだろうか・・・親衛隊のメンバーから完全に怒気が消え・・・逆に情報を聞いたはずの双子を責めるような雰囲気になった。
「で、でも・・・」
「そんな事言ったって・・・」
双子も俺の言い分を認めたのであろうが・・・納得がいかないらしくまだ頑張ってるが・・・
『まあ、そんな顔しないでよ・・・俺も値段まで言ってないのは多少まずかったかな~って、思ってたし・・・ごめんね~』
俺から折れたのが決定打だったようで・・・口々につるし上げにしようとした事を謝ってきたし、双子も謝罪してきた・・・
(落ち着いてみると結構美人なのに・・・集団化すると怖いよな~)
『まあ・・・仲直りの印って訳じゃないけど・・・今ケントと食べた事がない食べ物を探して試してるんだよね~全部おごるのは勘弁して欲しいけど・・・ジュースの一杯ぐらいならおごるから一緒に食べてみないか?』
ケントが少し何か言い足そうにしていたが・・・俺が目で黙るような雰囲気を出すと、しっかり黙って聞くだけにしてくれたようだ・・・(俺って結構信用されてる?)
今週の平日分は何とか・・・厳しいと・・・週末が・・・




