049 加速してゆく変化②
今回は、雇用した移住者がメインでしょうか・・・
移住者がどんな扱いでどんな感じとか・・・ちょっと書いてみようかと・・・
第49話 加速していく変化②
三月も末になり雪解けが進んでくると、王都から建築職人と従業員になる移住者が村に到着し・・・村で1泊した後、すぐさま俺達と一緒に大魚亭に向けて出発した。
特に何事もなく・・・まあ、群れからはぐれたウィンドウルフや冬眠から冷めたグランドベアが出てきたが、単体で狩猟団の敵になるわけもなく・・・発見から数分で数の暴力に屈した。
同行していた職人さん達はすこし・・・移住者は驚いてる人もいれば平然としてる人も居て反応は様々だったけど・・・
まあ、2日で大魚亭に到着して従業員教育組を男8人を2部屋に女12名を3部屋に入れて残りを職人さんに使って貰う事にした後、俺達は丸太小屋のコテージとテント組に別れて1日休憩になった。
翌日から始まった教育前の自己紹介で、俺は驚愕の事実を知る事になる・・・
『え~っと・・・ここの施設、大魚亭と言いますが・・・責任者をやってるアレン・ウッドです!』
『当施設は常駐の管理人として2組の夫婦が担当していますが、普段はそちらの指示で動く事になると思います』
『え~っと・・・とりあえず従業員教育を始める前に、各人の自己紹介とか特技や技術なんかを聞きたいと思います。では・・・一番右前の方からお願いします。』
「え!・・・はい!!」
「え~っと私の名前はユキ・サガラと言いまして・・・温泉旅館で仲居をやってました~」
『へぇ?日本人・・・しかも経験者?』
「はい!」
俺は声に出したつもりはなかったがすぐに答えられ・・・改めて声を出していた事に気づかされた・・・
『え~っと・・・相楽さん?ありがとうございました。・・・他に旅館やホテルで従業員をやっていた方は・・・え~手を挙げて頂けますか?』
女性の中で8人男性が2人手を挙げた・・・もちろん相楽さんも入れてである・・・
『ふむ・・・コレはグループ分けして、実際の作業を平行させて現場ですりあわせた方が良いかも・・・』
『すいませんが少し待っていて下さいね~』
俺は急いで管理人夫婦を呼んでくると、経験者10人を纏めて1組の夫婦に任せ・・・実際の作業を見て貰う事にした。
『えっと・・・すいませんが今から持っている技術とか知識で班分けしますので・・・』
確認したら男性の1名はコック、3名が木こりで炭焼きも知ってる残り3名が陶芸関係でそのうち1名は販売店だったが、基本的なガラスの製法も知ってるそうだ・・・
(すげー人材だ・・・)
残りの男性1名女性2名は清掃会社勤務だったらしく掃除の専門家だ!(後で聞いたらダ○キ○の同じ営業所の作業班で交通事故で一緒にこっちにきたらしい)
まあ・・・一応残りの出身を簡単に聞いた結果・・・
宿泊施設経験者男性2名・・・日本と異世界出身で支配人と宿屋の経営者だったそうだ・・・女性8名は日本人3人、異世界人5人で日本人の支配人と仲居さん3人は旅館の火災で、異世界人の経営者1人と女性の5人のウチ1人は元の世界で夫婦だった・・・残りの4人は知り合いではないようだったが、全員強盗というか山賊?に襲われて最後を迎えたらしい・・・
何か他の異世界って強盗とか山賊に殺される割合が多くない?そんな疑問が出たので他の人にも聞いてみたらコックさんと炭焼きの3人はコックさんが日本人で事故で、炭焼き3人が魔物に襲われて・・・陶芸の3名は全員異世界で、1名が事故で・・・2名は貴族に殺されたらしい・・・
まあ・・・幸福な天寿を全うしたならあまり新しい世界に来ようとは思わないだろうが・・・結構重たい背景があるんだな・・・
ま、この世界でどう幸福に生きるかって言うのが今の主題なんだし・・・良い人材がそろってるから何だか良い方に向かっていきそうな気がしてきたぞ・・・
とりあえず、宿泊施設の経験者10名とコックさんに清掃経験者3名を大魚亭ホテル部門専属として・・・炭焼きの3名と陶芸の3名で工房というか別部門にする事を決めさっそく木や土を見て貰うために探索に出た!
『じゃあ、木に関しては問題なさそうですね?』
「ハイ、大丈夫だと思います。」
『土に関してはさらに調査が必要ですね~』
「えぇ・・・そうですね・・・」
軽く山に入り辺りの木を見回しつつ、想念法で俺がサクッと地層状の土を見せると20cm×20cm×3mに切り出された土を確かめて彼らが答えた・・・
『じゃあ・・・次は川沿いの方を探してみますか・・・確か粘土質が露出してる場所があったはずです。』
そう言って旧拠点裏の川沿いに案内すると・・・
「ん~コレなら何とか・・・」
「先ほどの土を混ぜて・・・」
陶芸組3人が相談したりお互いに確認して焼き物が出来そうな土を考えていく・・・
(よく知らないが・・・陶芸用の土って混ぜて作るんだ・・・)
まあ、餅は餅屋って言うし・・・後は焼き窯をどこにするかだな・・・全員で相談しつつ決まった場所は、旧拠点から山頂に向かう途中にある丘のような部分で大魚亭からは1km程離れていた・・・
『まあ・・・当面はここで良いとして・・・陶芸体験とかするようになったら又考えるか・・・』
「陶芸体験ですか?それはどんな?」
『え~っと確か陰干しだったかした後の器にお客が絵を付けたり・・・練った後の土をお客がろくろを回したり手捻りで器を作って焼いた後に送ってあげるサービスというか・・・商売?です。』
「ふむ・・・面白そうな方法ですね~私が居た世界では、職人以外が絵付けや制作をする事なんて有りませんでした・・・こちらの方式ですか?」
『あぁ~いや・・・俺って別の世界の記憶持ちなんですよ!今の話は全部その別世界の話です』
「ほぉ~~それは又興味深い・・・」
何だかよく判らないうちに記憶のカミングアウトをさせられ興味まで持たれちゃった・・・さすが元商人!職人の2人は土の方に気を取られてるのにコミュニケーション能力高そうですな~
今後は6人で窯を作ったりチームを組んでいく予定だけど・・・元商人さんにリーダーを任せちゃおうかな~
『まあ・・・今日の所はこんな感じで・・・大魚亭に戻って昼食にしましょう!』
大魚亭に戻って昼食を食べつつ親父と今後の話をしていると・・・
(ガシ!)「ここは素晴らしいです!」
『なんだ?なんだ?・・・』
突然後ろから抱きつかれたぞ・・・あ!コックの人・・・ソウタ・サトウさん・・・
『さ、佐藤さん・・・急にどうしたんですか?』
「えぇ!あぁ~~すいません・・・先ほど食料庫で見せて貰った昆布にマス節・・・数々の食材と調味料を見て少し興奮してます」
『はぁ・・・昆布はともかく・・・マス節って適当作りのインチキ節なんですが・・・使えそうですか?』
「もちろんですよ!王都にも鰹節なんて無くて、昆布もないし・・・米は高いし・・・川魚以外の魚介類なんて夢の又夢でしたから・・・」
『ま、まあ・・・俺達しか居ない時は試しとか簡単なモノで充分ですが・・・お金を取れる相手が宿泊したら存分に腕をふるって下さい』
「はい!見ていて下さい!!」
なんか・・・ハイテンションな人だったな・・・そう思いながらその後ろ姿を見送った・・・
『で、父さん・・・大魚亭の料理は今後あの人が中心になって宿泊部門で相談して決めて貰うようにするから・・・』
『後・・・炭焼きと陶芸の技術者6名は窯を作ってから製作を開始して貰う予定だから・・・』
「おう!・・・他には何かあるか?」
『ん~~あ!宿泊部門のイットーさんとミントさんは夫婦らしいから、従業員宿舎って言うか寮?に夫婦用の部屋もできるかな?』
「ふむ・・・夫婦用の部屋ね~考えてみる・・・ほかには?」
『ん~そうだ!炭焼きと陶芸で窯を作ったり木を切り出すとき僕以外にも護衛がほしいな~』
「護衛か・・・こっちにいる元新人組3人でいいか?」
『ん~~~何とかする』
「まあ、急ぎじゃないなら建築組の素材集めのときに同行するようにすれば多少安全度は上がるから・・・」
『そうだね~まあ・・・自衛も多少ならできるだろうし・・・何とかなるかな~』
『ところで、大魚亭の増築と大型船の組み立てはどんな感じなの?』
「ん、あぁ~とりあえず大魚亭はな~」
親父が詳しく説明をしてくれた・・・
現状での大魚亭は大雑把に言うと(王)の形をした建物だ・・・今回はそれを拡張して、右奥の方に従業員用の宿舎を3棟目の奥に4棟目と5棟目を、さらに向かって左側に特別室と警備用の部屋・・・露天風呂までついた本気の豪華な設備を用意するつもりだという・・・
(本当にそんな部屋使う人が居るのかね~)
まあ、資金は村と領主持ちだし・・・広くなる分には良い事なんだけど・・・
んで、大型船については順調に組上げてる最中らしい予定では2~3週間で全て組上がって、双胴甲板付きの5m×4m程の船が進水する事になるだろう・・・
俺は親父の話を聞いて従業員宿舎の棟を優先して建ててくれるように頼んでおいた、まあ~順序としては従業員宿舎→管理人用の家→大魚亭増築棟→貴賓室棟って感じが良いと思うんだよね~
まあ、従業員宿舎が出来れば部屋が空くし管理人の家も建築の途中から手伝って完成させれば早いだろうし・・・その後からでも増築は良いだろうし、貴賓室は夏までに完成すれば問題ないからね~
『さてと・・・昼からも頑張りますか~』
「やる気があるのは良い事だが怪我しないように気を付けるんだぞ!」
『了解!』
(さて午後からの作業と教育はどうしようかな~)
ちなみに・・・技術的な話になっても結構いい加減な知識ですので・・・
明らかな間違いや考え違いを見つけられた方は、親切に教えて下さるか永遠の沈黙をお願いします。




