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新世界での生活  作者: 投稿初心者
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045 海を目指して・・・

本日も休日3話更新!

第45話 海を目指して・・・


自警団会議室への招集から2週間・・・

俺達は大魚亭へ移動して海への遠征を待っている間、ワカサギの穴釣りなどをしつつ天候を見極めてるところだった・・・


『父さん・・・本当に1週間以上の晴れ間が予想できるの?』


「ん?ああぁ~そのことか・・・」

「お前にはまだ教えていなかったが、1月の末~2月の末のほぼ一ヶ月間・・・この辺りじゃ雪がほとんど降らないんだ・・・」


『へぇ~そう言えば去年の穴釣りもこの時期で・・・曇りは多少有っても晴れてたね・・・』


「うむ・・・まあ、風を読んでちゃんと準備しないと吹雪になる時もあるが・・・夏の嵐と同じで、ほとんどはすでに積もった雪が風で吹き飛ばされてくるだけだからな・・・」

「おっと!きたきた!!」


親父と天候について話をしているとアタリがきたらしく、楽しげに笑いながらワカサギを釣り上げる親父・・・


『ん~結構釣れてるよね~みんなもこの調子なら・・・今夜はワカサギの天ぷらとご飯が良いかな~』


「お!天ぷらは久しぶりだな・・・肉や魚のフライも良いけど、天ぷらも酒のつまみに最高なんだよな~」


そう・・・最近の親父のお気に入りは、ワインを蒸留したブランデー?ぽい酒と自作の燻製かちょっとしたつまみを加えての晩酌だ・・・収穫祭の時に買い込んだ酒らしいが・・・何時の間に・・・


『まあ・・・晩酌は止めないけど・・・ほどほどにね!』


「おう!大丈夫だ!しばらく手に入らなそうだからな~それに・・・こう・・・ちびりちびりと飲むのもコレが結構な~」


『あぁ~はいはい・・・講釈は良いから・・・それにさっきから引いてる様だよ!』


「おっと!コレは・・・」


嬉々とした表情でまたも5~6匹のワカサギを釣り上げる親父・・・今親父が使ってる仕掛けは、収穫祭で俺とケントが買い込んだ小さな針を使った仕掛けで・・・以前使っていた針よりも小さいからか・・・かなり良い感じでワカサギが釣れている。


俺もケントもこっちに来る前にワカサギ釣り用に小さな針で10本がけの仕掛けを作ったのだが・・・使っているとすぐに親父達に召し上げられ・・・竿ごと交換を強要された・・・

(まあ・・・まだ針は残ってるし・・・良いんだけどね~)


『父さん・・・そろそろ戻らないと・・・』


「ん~判ってる・・・だがもう少し・・・ゴバックにも負けられないしな~」


俺達と竿を交換した親父とゴバックさんは、それぞれ家族ごとに別れて釣り上げたワカサギの重量勝負の真っ最中だ・・・


『晩飯の用意もあるし・・・もう終了だよ!』

『終了~~~~!』

俺は大きな声で終わりを告げ、強引に親父から竿を取り返すとゴバックさん親子の居る少し離れたテントへ向かう・・・





その日の晩はみんなでワカサギの天ぷらを食べたのだが・・・俺が教えた、ドライハーブ入りの塩や柑橘系植物の果汁を掛けるやり方に最初は驚きつつも大好評だった・・・


『しかし・・・この「柑橘系植物」って・・・』

コレは船の材料集めで近くの山に入った時、偶然見つけた緑色の実なのだが・・・初級鑑定を行っても誰かに聞いても「柑橘系植物」という答え以上誰も知らないのだ・・・


コレは俺の予想になるが・・・たぶん、想念法の初級鑑定ではそれについて有る程度の知識があるか・・・その知識を持った人物に教えて貰うかしないと、今回のよう未知の物について「○○系○○」など簡単な情報しか出てこないのだろう・・・

試しにミカンと名付けてから鑑定すると、「ミカン?」柑橘系植物と言ったように結果が替わり・・・オレンジと再度考えて鑑定すると「オレンジ?」柑橘系植物に変わった・・・


たぶん、未知の植物に関しては一定以上の人数で認識されない限り「○○系○○」の方式が採用され・・・命名?するとその人数が少ない時は「○○?」などと言ったように疑問系で正式名称ではない事をあらわすんだろう・・・

まあ、ワサビの時は俺が知識として知ってたしゴバックさんも知ってたからな~

それに、コレで収穫祭の時に露店で見かけた図鑑系の本がどう使われているのか納得できた。


『やっぱり買っておけば良かったかな~』


「ん?どうした?何を買うんだ?」


俺の独り言をそばにいたケントが聞いたようで質問してきたので、簡単に初級鑑定と図鑑の話をしたが・・・


「んなもん、喰えるか喰えないか判るんだし別に良いじゃん!」


『・・・』


ん~悩んでいるというか考える事がバカみたいに思えてくる回答だ・・・この世界で生きていくならこのノリで良いのかも・・・俺がそんな考えに傾き始めると・・・


(ゴチン!)「痛て~~~~!」


「この馬鹿が!利用法が判るならさらに役に立つんだから、喰えるか喰え無いかなんて単純な区別で良い訳があるか!」


ゴバックさんの鉄拳制裁がケントを襲う・・・


「とうちゃん・・・」


「アレン、知識を増やすのは大切な事だ!この馬鹿に感化されるなよ!・・・お前はちょっとこっちに来い!!」


「痛い・・・痛たたたた・・・」


ケントがゴバックさんに耳を引っ張られながら連れ去られていった・・・

(こ、今度見かけた時には図鑑も買っておこう・・・)


そんな事を考え心の中でケントの無事を祈ると自室に引き上げさっさと寝る事にした・・・


翌朝、身支度を済ませ朝食を取っていると・・・

「あぁ~みんなそのままで聞いてくれ!」


親父からの話が始まった・・・内容は、風読みの想念法(中級以上)が使える狩猟団メンバーのクランツさんが風読み(天気予報)を行ったところ、今後1週間ぐらいは天候が良いのでそろそろ出発する。

明日の朝には出るので準備をしておけと言う物だった・・・


俺は朝食の後に大魚亭に残る管理人組とミーティングを行い、収穫祭以降冬になってもぽつぽつと訪れる観光客?の事を相談したり・・・春に向けての増員の状況を確認したり・・・ここの責任者としての業務をこなしながら多少の食料を補充して準備を終えた。





澄み切った青空の下、ついに海を目指して遠征開始の朝を迎えた!


『ついに出発だ・・・』


「ん?アレン・・・緊張してるのか?」


『まあね~なんだかんだ言っても初めてだし・・・』


「ま!大丈夫だって!」


俺とケントが話をしてると・・・


「おし!集合!!」


親父がみんなを集め・・・


「今回の遠征は海を目指した物だが・・・冬季に行うのは初めてだしほとんどのメンバーが経験不足だ!慎重に行くぞ・・・」


その後も細々とした注意や行動の確認が短時間で行われ、みんなの気持ちが引き締まった事を感じた親父が出発の号令を掛けた!


「では、出発!!」


「「「はい!」」」


今回俺達は10人のメンバー(俺達、元新人組7名と親父にゴバックさん、クランツさん)は、湖を小型のそり5台で突っ切り厳寒期で凍結している川の上を進んで海に向かう予定だ・・・

まあ、親父達の話だと・・・湖と旧拠点裏を流れる川が合流して湖を越えた山と山の間に谷のような感じで多少開けた場所に、その川が流れていて山際の谷を越えると木もまばらな荒野に替わりそれが砂浜に変わると目の前に海が出てくるそうだ・・・


とりあえずの難関は、湿地帯だったが今回はそこは通らないし・・・次の難関の山は、基本的に川の上を進むからかなり楽になるはずだ・・・万が一広くなった川が凍結していなくて通行不能だったとしても、降り積もって堅くなった雪の上を進むのだから多少楽だろう・・・

(カンジキもストックも用意したからな~)


俺は今回の遠征用に作った道具を思い出し、ニヤ!っと笑うと親父の後に続いて俺の乗ったそりを引く毛深い小型の馬を進ませた。


毛深く小型の馬・・・いつも使っている大型の荷馬など農耕系の馬ではなく親父が新しく取り寄せた馬だ・・・

今回の出発が遅れる原因の一つでもあったが、北方から取り寄せた頑強で寒さに強い馬らしく今後の活躍に期待が持てる。

(まあ~それに・・・軽い方が氷上を進むなら有利だからね~)


俺達は3時間ほど掛け湖の岸寄りを蛇行しながら進み(さすがに中央部は氷が薄いと思って岸近くを進んだ)木が少なくまばらな森を抜けると海へのびる川のそばで昼食と休憩を取った。


「ん~思った以上に早く来れたな~この分なら夕食は海を見ながら取れそうだぞ・・・」


『本当?父さん・・・』


お茶を飲みながらくつろいでいる時に親父が漏らした言葉を聞いて俺が質問する。


「あぁ~本当だ・・・とりあえず川も凍結してるし・・・森と言うか、山の縁を抜ければ後は荒野と砂浜だったはずだからな・・・」

「厳寒期だから油断は出来ないが、以前行った時は湿地帯と森で徒歩だったからここまで来るのに2日以上掛かったのに・・・」


『まあ、だからこそ防寒対策は必要だけど今の時期を選んだのだからね~』

俺達がこの時期に遠征を決めた最大の要因を実感したようで、自分たちの苦労を思い出し苦笑いする親父と少し話をしてから休憩を終え、海を目指し出発した・・・


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