【おまけ】ユリカ、マナミとの幸せな時間
「マナミちゃん、なにしてるの?」
朝ごはんのあと、いつもみたいにマナミに会いに行ったら、マナミはじーっと自分のおててを見つめてた。
「ねえ、マナミちゃん。ユリカのこと、見てよ〜」
ユリカはそうお願いしたけど、マナミはまだ、おててをじーっと見てる。
「どうしたの? おててに何かあるの?」
そう言って、マナミのおててにそっとさわってみる。かわいいマナミの小さなおてて。ぷにぷにでふわふわで、さわってると、なんだか止まらなくなっちゃう。
ぷにぷに、ぷにぷに、ぷにぷに……。
「ユリカちゃん……?」
急に声が聞こえて、びくっとする。
「あっ、ママ!」
ふりかえると、いつの間にか後ろにミレイママが立ってた。ママはふしぎそうに首をかしげて、ユリカたちを見てた。
ぷにぷにが気持ちよくて、ついついたくさんさわっちゃったよ!
「えっとね、マナミのおててが……ぷにぷになのっ!」
「うん。赤ちゃんの手って、ぷにぷにふわふわで、つい触りたくなっちゃうわよね」
「うんうんっ!」
……あっ! ちがった!
「そうじゃなかったっ!」
わたしが叫ぶと、ミレイママは目をまんまるにした。
(マナミの手がかわいすぎて忘れてたけど、マナミがじーって手を見てたことが気になってたんだよ!)
後ろからは、マナミの「あうー」っていうかわいい声が聞こえた。
*
「ああ、それはね──“ハンドリガード”よ」
「はんどりがーど?」
マナミがさっきしてたことをママに話したら、ママがきいたことのない言葉を言った。
「なあに、それ?」
わかんなくて聞きかえすと、ママはにこっと笑った。
「“ハンドリガード”っていうのはね、生まれたばかりの赤ちゃんって、自分に手があるってことをまだ知らないの」
「おててがあることを……知らない??」
よくわかんない。だって、マナミのおてては、生まれたときからあったよ? あとから生えたわけじゃないよね?
ふしぎに思っていると、ママが「あ、ほら!」ってマナミを指さしたから、ユリカもそっちを見た。
マナミは「うあー」って言いながら、自分のぐーのおててを小さなお口にぐいぐい押しこんでた。
しばらく見てると、「あぶー」って言って、おててを口から出して、よだれでベタベタになった手をまた、じーっと見つめてた。
「あっ! これ! さっきもマナミ、こうやっておててを見てたの!」
「うん、そっか。ユリカちゃん、マナミのことよく見ててくれたんだね。ありがとう」
ママがやさしく笑って、あたまをなでてくれた。
えへへ、ほめられちゃった。
するとマナミは、また手をぺろぺろなめて、「うぐっ」とへんなこえをだして、ゆびをぜんぶお口にいれちゃった。
そのかおが、とっても……
「「マナミ、かわいい~~~っ!!」」
ママとユリカの声がいっしょになった。そしていっしょに笑った。
そして、ママがおしえてくれた。
「あかちゃんはね、こうやって口に入れたり、目の前で手を動かして、“あれ? もしかして、いつも見るコレって、わたしのおてて?”って段々に認識していくのよ。だから、心配しないでね」
ふーん、そうなんだ。
「うん、わかった!」
すると……ん?
マナミの横においてたユリカの手を、マナミがぎゅっと食べてるのと、ちがう手でにぎった。
「あらあら、マナミはお姉ちゃんのことが大好きなのね!」
ママがそう言ったから、ユリカはとってもうれしくなった。
「ほんとに!? ユリカもマナミがだいすきだよ!!
……あ、もちろん、ミレイママもだいすき!!」
ユリカがそういうと、ミレイママはとってもうれしそうに
「ママもユリカちゃんとマナミが大好きよっ!
もちろん、シンイチロウくんもね!」
そう言って、ユリカのことをぎゅーってしてくれた。
「幸子48歳、異世界転生したら出産中でした!?」
いかがでしたでしょうか?
もともとは短編として書いた作品でしたが、コンテスト用に長編化いたしました。
そこで、サブタイトル「~後妻だったので産んだ子も連れ子もまとめて可愛がります」を追加。
異世界の舞台も、中世ヨーロッパ風から昔の日本風に変更し、登場人物の名前も一新しました。
……まあ正直に言うと、短編版のミレイという名前が、長期連載中の別作品のキャラとかぶっていたという、
私のうっかりミスがリメイクのきっかけだったんですが。
急いで投稿を始めたこの作品、
元の短編は7500文字ほど。「2万字以上にできるかな……?」と不安でしたが、
最後には逆に「6万字におさまらない!!」状態に。
泣く泣く、書きたかったシーンをゴリゴリ削ることになりました。
またいつか、続きが書けたらいいなあと思っていますが……さて、どうなることやら。
とりあえず今回は、思いのほか多くの方に読んでいただいたお礼として、
本編では出番が大幅に減ってしまったユリカのsideを、おまけとして書かせていただきました。
少しでも「面白かった」と思っていただけましたら、
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最後までお読みいただき、本当にありがとうございました!
よつ葉 あき




