集う化け物たち
「あーもう!ほんとこいつらしつこいよね」
本日、大活躍中の白月の燈籠をまた取り出してNPCを蹴散らす。魔力を使わなくても十分に威力を発揮して敵を巻き込みがら殲滅できる。
「はいはい。口はいいから手を動かしてよねレンちゃん」
一さんは両腕を液体に変化させ鞭のように敵を一掃する。広場でみた光景だけどそれよりもヤバかったのはヨウさんの方だ。
「レン君、武器使っても無駄に耐久力減るだけだから素手で十分だと思いますよ」
「できるならやってるよ!」
ヨウさんは武器も使わず敵陣に1人で突っ込み盛大にNPCを吹き飛ばして帰って来る。無双ゲーしてたのは一さんじゃなくてヨウさんだったのか。
「はぁ、何でボクの周りには化け物しかいないんだよ」
「レンちゃんも人のこと言えないと思うけど」
「それってもしかして私も頭数に入ってます?」
「ボクなんか全然強くないもん。楓ねえとか萩にいにも勝てそうにないただの一般人だよ」
「前々から聞いてた2人のことでしょ。戦ってるとこを見ましたけど確かに素人とは思えませんでした」
そうなんだよ。楓ねえも萩にいも後から始めたのに上手いんだからほんと嫌になっちゃう。まぁ別に慣れたことだから今更どうってことないんだけどね。
「あれっ、何でボク達が戦ってる所をヨウさんが見れてたの?あの時いなかったよね」
「後で一ちゃんとレン君達が戦ってるのを映像で見たんです」
「えっ、誰かが動画を撮ってたってこと!」
「カメラを使って動画を撮ったのは私だよ」
「一さんなのかい!」
「そうそう。久しぶりにレンちゃんと戦うから記念にね。カメラは途中で何回か手に入れたし」
これプロゲーマーの神城さん以外にも配信者が犠牲になってるな。
「でも萩君って子は映っていませんでしたよね。一ちゃんの対策の為だと思いますけど」
「そうね。今のところ萩ちゃんが1番気になるかも」
「萩にいには会わせないからね。今度こそ勝ち目無くなっちゃう」
もう一さんと戦うことになる状況なんてごめんだけど何があるか分かんないからね。
「一応、一ちゃんには私がいない時アンリスをしないように約束したし、私もなるべく予定は崩さないようにするから大丈夫だと思うけど」
「それ本当?一さんと戦うのは準備必要だから大変なんだよ」
「そうかな、あの3人で戦ってた時のレンちゃんはキャラが変わるぐらい楽しそうだったじゃん」
「そうですね。レン君はちょっとイキイキしてましたね」
「えー、そんなことないって」
そりゃあ、萩にいと楓ねえとゲームするのは滅多にないから嬉しいのは事実だけど。
「だってレンちゃん1人の時もっと容赦ないっていうか性格悪いっていうか、ほら今回だってモンスタートレインとかやってたし」
「だってカルマ値が最低になったからこれ以上下がることないし、見られるのも嫌だったから」
「レン君は計算高い時とそうじゃない時がありますからね」
「それでもレンちゃんいつもはツンデレって感じなのにあの子達といる時はあまりにも嬉しそうでもうデレデレだったもん」
「一ちゃんはレン君をそんな風にみてたんだ」
「だってお互いのこと信頼し切ってたし、時々口調荒くなったりするのも照れ隠しで喧嘩するほど仲が…」
鎖鎌を一の後頭部に向かってぶん投げた。
「うっわ危な!もはや無言で殺しに来るじゃん」
死角から攻撃した筈なのに一さんは余裕で回避してその先のNPCに当たった。
そのまま鎖を操作し横に薙いで敵を蹴散らすことで鬱憤をはらした。
「やかましいよ。それ以上喋ったらもう一回鎖鎌が飛んでくるから」
「流石にレン君をからかいすぎだよ」
「皆さん雑談しながら手を動かして敵を食い止めてるのは立派ですけど教会を通って街の外に出ないと終わりませんよー」
シスターさんがこの場の状況に合わないような気の抜けた声で助言してくれる。
「でもこのまま教会に向かったら敵も一緒に雪崩れ込んじゃうんじゃないですか」
「そうだよ。シスターちゃん、それともこいつら教会に入れないとかあるの?」
「普通に教会入っちゃいますね。でも一旦敵を一掃して時間を稼いでもらえますか」
「やってみますね」
<青い肢体>
ヨウさんが答えると魔法を発動させる。すると無くなったはずの右手が生えてきてそのままどんどん大きなって肥大していく。ヨウさんはその自分の体よりもデカい肉の塊をハンマーのように振り回して敵に向かってぶん投げた。
切り離されて飛んでいく右手だったものはNPCの群れに突っ込んでボーリングのように次々と吹き飛ばしていく。道の幅の半分以上を占める肉の塊は雪崩こもうとしていたNPCを押し返しただけでなくある程度堰き止めてくれた。
「なんかヨウさんのもエグいの多いな。何したの?」
「今のは死霊術を使って自分の肉体を付け足したの」
「てことは死霊術師なんだ。あの動きと力で戦士職じゃないってどういうこと」
「別に死霊術師だからって近接ができない訳じゃないですよ。力とかのステータスは下がらないですしただ聖属性が弱点ってだけで」
「なんか種属と職業は合ってると思いますけど本当に悪役みたいですよね。聖属性に弱いとか、まあ元からヨウさんはラスボスではあるんですけど」
「今そんなことはいいからさ。大丈夫なのシスターちゃん」
時間を稼いでくれと言ったシスターさんは目を閉じて集中しているようだ。しかし、魔法陣とか分かりやすいエフェクトのようなものは何も出ておらず、見ていても何をしているのかわからない。
近くの敵をあらかたやっつけて少しずつしか来れないNPCを倒しているとやがて道を塞いでいた塊をNPCが壊してまた大量に溢れ出して来た。
「もう一回来るよ」
溜まってたぶん数が多くNPCが津波のようになって迫って来る。もはや武器でどうにかなるような量じゃない。魔法で少しでも吹き飛ばせるか
「断チ別レ」
透き通ったシスターさんの声が響く。大きな声量でもないのに不思議と木霊して街全体に広がったとさえ感じる。そして異変はすぐに起こった。
NPCの動きが完全に止まる。空中にいる奴も例外なく静止するように動かない。その次の瞬間NPCの頭が全て同時に木っ端微塵に弾け飛んだ。
「はぁ!?」
「今ので街の人全員の動きは止められたと思います。それでも時間があれば再生するのでこの隙に教会を通って外にでましょう。詳しい話しはそこでします」
シスターさんはただそれだけを伝えると教会の門へてくてく歩いて行った。
街中の人を倒してそれを軽く報告できるような存在か、カッコいいけど怖いなぁ。
これからどうなるんだろ。
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ただ私が嬉しくなってやる気が上がります(>_<)




