清冷の守り譜5
5人が朔夜を連れて長の元へ行くと目を見開いて固まった
そして、沈黙を破ったのは長の側にいた神官だった
「な、なんだと…
彼処が見つかるはずがない!
そ、そもそも!あの結界が破られるはずがないんだ!」
「ほぅ、やはり
隠していたか…
神子として祀っていたとはいえ、子どもを1人幽閉していた事に変わりはない。
この子の親は何処にいる?」
長や神官と向き合う陣の後ろで朔夜はつまらなそうにその様子を見ている
「其奴の両親は、この国にはおらん。
あの海を無傷で流れついていた所を拾った夫婦が育てたんだが、その夫婦も国を出た為居所は知らん。
手紙には、「秘めている力が分からない。底が見えず怖い」そう書かれていた。上層部で話し合い、結界を張れる事で“神子”としたのだ。
災いからこの国を守るために…
だから、そいつを連れて行かれては困るんだ。龍神様の力も落ちてきているんだ、結界を維持のためにあそこに…!」
「うん、知ってる。
だから、最期に強く祈ってみた『助けて』って
そしたら、この人達が俺を見つけた。やっと出られた。
日没までの約束なんでしょ?だったら、俺はこの人達について行く」
「太陽の国の守りはどうなる!?」
「俺がいた社に行けば答えがある
それに、龍神様が求めてるのは、強い信仰と供物だし、定期的に神事を行えば元に戻るんじゃない?
だから、俺、必要ないでしょ?」
淡々と語る朔夜に皆が黙ってしまう
どうにかして捕らえようとしたのか視線で合図を送りあうと僅かな動きを見せ、それにいち早く気付いた翔歌が朔夜の前に出て両手を広げる
「ダメ!」
翔歌の突然の声にビクッと身体を震わせた朔夜。陣達は臨戦態勢を取り相手を見据える
「な、なんのことだ?」
「ダメ、だよ
だって、その服の下に何か隠してるんでしょ?
どんなのかは知らないけど、強い力、感じるもん!」
その言葉に、神官はぐっと言葉を詰まらせた
「…確認させていただきます」
陣が調べるとお札が出てきた
「…これは、人に向けて使うものではありませんね。
邪気を纏うものを封印するための霊符だ」
「その子は外には出してはいけないんだ
この国を守るのに必要な存在だ
《水》を自在に操れる四大元素使いなら尚更だ。手放すことはしない」
「子どもを飼い殺しにでもするおつもりであれば、強硬手段を取らざる終えません」
そう簡単に引き下がっては貰えずに攻撃の態勢をとってきた為、翔歌は朔夜を護るように両手を広げたまま動かず、煌牙は何時でも動けるような態勢をとる
「ならば、勝負をしよう。
こいつと鬼ごっこだ」
そう言った長と神官の前には白い狼と青い狼が姿を現していた
「鬼ごっこ…?」
「今から、こいつらにこの水晶をつける。コレを取ることができればあなた方の勝ち。その子どもを連れて行ってもいいでしょう。
だが、できなければ負けだ」
「…負ければどうなる?」
「諦めて帰って貰おう
勝負を放棄してもかまわん。だが、その子を連れたままではこの国を出られないよう術を追加した。
連れていきたくば、この対の水晶がなければ解除できん。どうする?」
自分たちが有利だとばかりに自信を持ってそう宣言する長達に陣は深いため息をつく
「…陣さん、どうしましょう?」
「仕方あるまい、このまま逃げてこの国に閉じ込められるよりましだな
太陽の長よ、その約束は絶対だな?」
「えぇ、守りましょう
契約書を交わしてもよい。」
「そうしてもらおう」
「刻限は1日、範囲は森の中だ。明日のこの時間までにこの場所へ戻って来れば、神子を連れて行くのを認めよう」
魔力で専用の紙に互いの真名を書くと光となり契約者の右手に刻印が浮かぶ。
「さぁ!鬼ごっこの開始だ」
長の不的な笑い声と共に二匹の狼が左右に飛ぶとすぐに姿が見えなくなる
「二手に分かれるぞ。
風使いと秋は白い式を
俺と大地使いは青い式を追う」
「ねぇ、陣あたしは?」
「ここで監視してろ。この2人が何も術を使わないように。…いいな?」
「はーい」
二手に分かれた彼らもそれぞれの式神が残した僅かな気配を追って走る




