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第138話


 ゴーレム達から逃げ切って、今は少し離れた森にいる。


 「助かったよ。本当にありがとう」


 「いえ、困った時は助け合いですから。皆さんお怪我はないですか?」


 「すきません、足が………」

 

 一人が手を挙げ、怪我を見せた。

 さっきの攻防で腿に岩が飛んで来たのか、血が出ている。


 「失礼しますね。『ハイヒール』」


 リンフィアはハイヒールで患部を治療した。


 「四級の詠唱短縮………凄い」


 「えへへ、ありがとうございます」


 普段凄いと言われることが少ないので照れるリンフィア。

 ケンがバンバン魔法を使うのであまり目立たないが、こいつの魔法のレベルはかなり高い。

 Bランクでも、かなり上位に食い込むだろう。


 「治った! ありがとね!」


 「どういたしまして」


 リンフィアがニコッと笑うと、男冒険者はだらしない顔をした。

 数名の女性はムッとしている。

 すると、


 「フシャー………」


 「なんだこの子………めちゃくちゃ睨んでくるぞ」


 まるで猫の様に冒険者達を威嚇するラビ。


 「どうしたのラビちゃん?」


 「あのかお、やだ」


 思わぬ攻撃にショックを受ける男性陣。

 女性陣はクスクス笑っていた。


 「ダメだよラビちゃん。冒険者の皆さんが落ち込んじゃうよ」


 「あのかおはヤ。だってリンフィアねぇはししょうのなんだぞ」


 「なっ………!」


 少しだけ顔を赤くするリンフィア。


 「師匠?」


 「ラビちゃん、あんまりそんな事言ったらケンくんに怒られちゃうよ」


 「はーい」



 冒険者達は首を傾げていた。









 「じゃあ、そろそろ俺たちは行くよ。なんとか街に帰れたらいいけど………そうそううまくは行かないだろうな」


 「お気をつけて」


 「ああ、君たちも気をつけてね」


 冒険者達は街を目指して去っていった。

 



 「さてと、ニールが来るまでどうしよっか」


 「できるだけつよいひとといっしょにいたほうがいいとおもう」


 「やっぱりそうなるかぁ………」


 おそらく、もっと高いレベルの敵も出てくるだろう。

 そうなった場合、二人だけだと少々心許ない。


 「よし、探そっか」


 「うん」


 リンフィア達は、とりあえずまっすぐ進む事にした。












———————————————————————————










 「殿下! お怪我はございませんか!?」


 蓮は慌ててフィリアに尋ねた。

 当のフィリアはいきなり肩を掴まれて、ものすごい心臓がバクバク言っている。


 「だだだ、だいっじょうぶ、ですわっ!」


 蓮は、フィリアの様子がおかしかったので、鑑定をしてしっかり調べたが、異常はなかったのでホッとしている。


 「みんなは………」


 あたりを見渡して現状を把握する。

 同じように、綾瀬が周囲の安全を確認している。

 この場にいるのは、蓮、フィリア、綾瀬、美咲だ。

 チームで固まることは出来たが、ルドルフはいない。

 蓮の咄嗟の機転で全員が手を繋いで、同じ場所にいることが出来たが、少し離れた場所で待機していたルドルフは別の場所にワープしていた。


 この現象は、触れ合ったものは同じ場所に飛ばしているが、そうでないものは、ランダムでバラバラにしている。

 中にはルドルフのように、単身でワープしている者も少なくない。


 「琴葉ちゃんたちとは逸れたか………外枠は多分、さっき見たとおり魔族や強力なモンスター達で固められてるとしたら………うん、動いた方が良さそうだ」


 何か閃いたような様子を見たフィリアは蓮に尋ねた。


 「レン、何かわかったのですか?」


 「少なくとも俺たちが取るべき行動は決まりました。少々歩く事になりそうですが、構いませんか?」


 「ええ、問題ないですわ。しかし何故ですの? 一先ずモンスターも居ないここで待機していた方が良いと思うのだけれど」


 「いえ、動いた方がいいでしょう。僕たちに必要なものは、戦力です。おそらく外は先ほどのモンスターや魔族達が囲って居ます。脱出するには一点を狙って突破するほかないでしょう」


 「なるほど………」


 そのための戦力が必要なのだ。

 出来れば大人数で高ランク。

 あまり増えすぎても身動きが取れなくなるので、人数は最小限にしておきたいところだ。


 「獅子島くん、さっきのモンスターの情報が大体整理できたわ。これはかなり厄介そうよ………」


 通常の鑑定は、見ている時にのみ情報が可視化されるが、綾瀬の【超鑑定】は、情報を保存可能だ。


 「推定ランクはAね。魔族の方はB〜A。私たちだけじゃまず勝てないわ。獅子島くんの言う通り仲間を増やして脱出したほうがいいわね」


 綾瀬は頭を抱えた。

 このままじゃ確実にマズイ。


 「寺島さん、どう? 周囲にモンスターか人はいる?」


 「………! 人がいた!」


 これは、美咲の【千里眼】の能力だ。


 「本当に!? どっちの方角?」


 美咲は自分から見て右斜め前方を指差した。


 「この方向に真っ直ぐ2kmくらい進んだところ。10人くらいいるよ!」


 10人。

 悪くない人数だ。

 多過ぎず、少な過ぎず、動きやすい。


 「よし、今からそこに向かおう! 殿下、お疲れになられたらすぐに仰って下さい。行きますよ」

 

 「わかりましたわ」


 蓮達は、目的の場所に急いだ。

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