第137話
「………っ、ここは? ………そうだ、ラビちゃん!」
「ここ」
ラビが背中を突いてきた。
「それよりもまわりをみたほうがいいぞ。リンフィアねぇ」
「周り?………なっ!?」
周辺には冒険者達が集められ、それを囲むようにして、モンスターたちが集まっていた。
「囲まれてるね………しかも、多分もう直ぐこっちに突っ込んで来て大混戦になると思う」
「なんとかいきのびるしかないぞ………いこう!」
リンフィアとラビはデュオブーストを使い、身体強化した。
「リンフィアねぇ、たんしゅくできるのか?」
「うん。この前出来るようになったの。ラビちゃんもデュオまで使えるようになったんだね」
「ワタシもこのまえ。それより………」
「うん、走るよ!」
リンフィア達は前方の敵を目掛けて走った。
そこに冒険者達が集まっている。
「うわっ! こいつら相当強いぞ!」
冒険者達は苦戦を強いられている。
大狩猟祭は誰でも参加可能。
Gランクで、弱い冒険者も参加していた。
「「『炎よ、炎球となり敵を穿て【ファイアボール】』!」」
複数人の魔法使いの冒険者が、一斉にファイアボールを放った。
しかし、
「ゴアアアアアアアアアアアア!!!」
土の塊のようなモンスターはそれをいとも簡単に弾き飛ばした。
「そんな!」
こいつは、Cランクの中型ゴーレムだ。
Gランクでは逆立ちしたって勝てやしない。
「全員撤退! 体勢を整える」
「無理だ、囲まれてる! っ………! くっ、来るぞッ!」
中型ゴーレムは、その巨体に似つかわしくないスピードで、冒険者達に迫った。
タンク4人が壁になるが、呆気なく吹き飛ばされてしまう。
「「ぐあッ!!」」
そして、防御役がいなくなり、無防備になった魔法使いの冒険者に拳を振りかぶった。
「止せッッ!!」
「ゴアアアアアアアア!!!」
パーティリーダーの声は届くはずもなく、拳を無慈悲にも振り下ろされた。
「うわああああああああ!!!!」
だが、
パンッ! パァンッ!!
発砲音と共に、ゴーレムの動きが止む。
直後、何かが落下した様な音が聞こえた。
魔法使いの冒険者は恐る恐る上を向いてみる。
するとそこには、腕を失った中型ゴーレムの姿があった。
「ラビちゃん! 今!」
「りょーかいっ!」
頭の上を何かが通ったと思えば、今度は少女が冒険者の頭上を通り過ぎていった。
ラビだ。
「よいっ——————」
ラビは着地前にダガーの磁力を操作し上へ振り上げた。
そして、着地と同時にそれを真下にいるゴーレム目掛けて振り下ろした。
「——————しょッッ!!!」
ダガーはゴーレムの頭部を破壊し、胸部まで食い込んだ。
「リンフィアねぇ! トドメ!」
「ッ!」
5連続で発砲。
弾丸は四肢を破壊し、ゴーレムの自由を奪った。
そして最後に、コアが砕かれまず一体を破壊。
「大丈夫ですか!?」
リンフィアは冒険者達に駆け寄って声をかける。
「君は確か………“金髪のガーディアン”と一緒にいる………」
「リンフィアです。皆さん、退路を開きますからついてきてください!」
二人ならどうにかなったが、流石にお荷物を抱えた状態で勝つことは難しい。
だからまず、彼らを逃すことにしたのだ。
リンフィアはラビを連れて冒険者達を先導する。
「こっちです!」
リンフィアは弾倉を氷魔法の弾用のものと入れ替えた。
「ラビちゃん、障害物を作って邪魔をするから漏れた敵を近づけないよう頼めるかな?」
「ガッテン!」
リンフィアはゴーレム達の足に目掛けて銃を撃つ。
着弾と同時に足ごと凍った。
「右斜め前と真後ろ!」
「もうやった!」
ラビはダガーを横に振り、足を払って動きを止めさせた。
「すっげ………」
「魔法武具だよな………なんか飛び出してる」
「なんでGランクがそんないい武器持ってんの………?」
「あの武器すごい………」
どうやら冒険者達は、武器のおかげで戦えていると思ったらしい。
しかし、その考えはすぐになくなった。
「あれは………」
前方から小型ゴーレムと中型ゴーレムの中間くらいの大きさをした細身のゴーレムが迫っていた。
「あ、あれは! シャープゴーレムだ!」
「面倒なのが来ちゃったね………」
リンフィアはモンスターに詳しい。
なので、シャープゴーレムがどんなモンスターなのかよく知っている。
「ラビちゃん! シャープゴーレムは素早いから気をつけて! それと、10秒きっかり時間を稼いで、その後は横に退避!」
「わかった!」
ポケットから接近用のもう一本のダガーを取り出す。
ラビは一歩前に飛び出てシャープゴーレムと対峙した。
「シィッ!!」
「ギィィィィン!!!!」
スピードを重視した戦い方同士の戦闘となった。
シャープゴーレムの特徴とも言える鋭い手で、ラビのダガーと凄まじい剣戟を交わしていた。
「なっ………あれがGランクの動き………!? Bランクくらいのスピードは出てるじゃないか!」
「マジかよ!」
「うわ………すっご」
彼らは考えを改めざるを得なかった。
リンフィアはその隙に詠唱を開始していた。
「『万物を凍て付かせ、生命を絶ち、炎さえも凍らせる氷塊と化せ【フリージング】』!」
「今だ!」
ラビは一歩退がって攻撃を躱し、ギリギリで横に退避した。
そして、三級魔法【フリージング】がシャープゴーレムを襲った。
手の先から段々と凍っていく。
パキパキと音を立てながらそれはやがて全身に伝わり、完全に凍った頃には、リンフィア達はもう次の行動に移っていた。
「一気に攻める!」
「うおりゃあああ!!!」
ラビはダガーを振り下ろし、リンフィアは物理攻撃用の弾にチェンジして連射をした。
そしてシャープゴーレムは魔石に変わった。
「このまま一気に駆け抜けます!」
さっきと同様、周りのゴーレムを食い止めて、なんとかリンフィア達は危機を脱した。




