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第1216話



 あの後、俺はとりあえずエルをハルバードのところに預けることに決めた。


 連絡手段は必要だし、万が一の時の護衛にもなるだろう。


 ひとまず、向こうは大丈夫だ。




 「問題は………ビーの奴なんだよなぁ」


 「ああ、あの嘘つき女か」




 今回のコウヤのあだ名は嘘つき女で決まったらしい。

 こいつや七海は、よくもまぁぽんぽんあだ名が出るものだ。


 まぁ、こいつは特徴から作って、七海は名前を元に作ってるから別もんではあるのだが。



 「やっぱ戻ってくんの?」


 「わかんね。可能性として、ツァリオがやっぱり敵側で、あの誘拐すら敵の手の内だって可能性もないわけじゃないし、逆に奴が本当に味方で、領主が血眼になって探してくる可能性もある。けどなー………」


 「お?」




 はっきりしない俺を見て、キョトンとするコウヤ。

 物珍しそうにこちらを見てくるが、俺だって悩むことくらいはある。


 特に今回の様に敵の情報が少なくて目的が見えない時なんかはそうだ。



 仮にツァリオが完全に味方だったとして、だとしたらこの数ヶ月間一人でハルバードを守ったと言うのはなかなか信じ難い。

 やろうと思えば色々と方法はあるはずだ。

 何で権力も人もいるのだから。



 しかし、逆に敵だとすれば、ハルバードを放置して今更攫った意味もわからない。 



 一貫性がないといったのはこういうことだ。

 なにがしたいのか、まるでわからない。




 「………………あの自由人なら、お前の悩みを解消できんのかな?」


 「G・Rか………」




 ウンディルの言っていた対戦相手の調査がメインだったが、もしかすると何か知っているとも限らない。


 Sランク以上の強者なんてのは、そうそういないはずだ。

 コロシアムを経営している領主なのだから、繋がりがある可能性は大いにある。


 ………が、全く連絡が取れない。


 人間がいると言う話は、それなりに耳にするのが早いと思うのだが。





 「どこいるんだよ、お前——————」












——————————————————————————————

















 「ふぅん。もう一人仲間が来てるんだ」


 「なのです。ここにいる凄く強い人の調査に来てるはずなのです。でも、連絡が取れないからその強い人のことも、そもそも誰なのかもわかんないのです………」





 話すうちに、エルはハルバードの頭の上でしょんぼりと縮こまった。

 奇しくも………なんて事はなく、リンクしているケンの話を聞いて思い出したエルは、ハルバードにG・Rの話をしていた。


 ちなみに、彼女が調査しているのが他ならぬ領主であると言う事は、G・R自身と、依頼したウンディルしか知らない。


 


 「それはそうとハルお兄ちゃん。お母さんと仲直りしなくていいのです?」


 「………まだ喋りたくない」


 「えー!? せっかく会えたのに………勿体無いのです」




 わざとらしくため息をつきながら、エルはブルブルと頭というか体を振った。

 そんなことを頭の上で言うものだから、ハルバードは堪らず立ち上がると、頭上のエルを引っ張り上げてジーッと睨んだ。




 「俺だって複雑なんだ。ずっと会えなかったお母さんといざ会っても、何話していいのかわかんないし………それにあんなこと言っちゃったし………」




 わかりやすく口籠もるハルバードを見て、やはりエルはため息をついた。

 わかりやすい後悔だ。

 悪いとわかっていて認められない。


 子供らしい。 

 そして息子らしい。



 そういうやりとりは、エルにも覚えはあった。

 覚えなら、あった。




 「………悩むことないと思うのです。親子なんですし、顔を付き合わせたら適当に喋ると思うのですよ。それに——————」





 くるりと回って再び頭に戻るエル。

 顔を見せないよう、どこかを見ながらこう言った。




 「贅沢な悩みだってわかれば、すぐに仲直りしたくなるのです」


 「………贅沢?」


 「はい、贅沢なのです。お兄ちゃんだって、今食べてるものが凄く高いものだってわかったら、よく味わって食べるでしょう? だから、贅沢だってことを理解した方がいいのです」





 説教臭い言い草に、ハルバードはムッとしていた。

 しかし、何も言わないのは、それを責める文句が喉の奥になかったから。


 少しは理解しているらしい。




 「………俺、そうだ………るーちゃんにも」


 「ジュリお姉ちゃんとも、仲直りするべきなのです。だから、」




 頭の上から離れ、人形へと姿を変える。

 突然現れた人間体のエルに赤面するハルバードの事を気にする事なく、エルはギュッとその手を握った。




 「エルが手伝ってあげるのです!」















——————————————————————————————












 「………いいのか?」




 ツァリオの言葉足らずな物言いを、慣れた様に察するハルバードの母。

 察して、沈んだ顔を見せる。



 「ハルにあの事を教えなくていいのか、という話?」


 「ん」


 「だったら、ええ。まだ話さないわ。まだあの子には準備が出来ていないもの」





 ハルバードの母は、かつての武器であった弓を握りしめる。

 もうあの頃の様に振るうことの出来ない、その武器を。


 しかし、戦わなければならない。

 彼女達が戦う理由が、もう間近に迫ってきていた。





 「お父さんと戦うための準備が」














——————


・キーポイント



 消えた犯罪者の行方



 孤児を捕まえた理由



 未だハルバードを狙う目的



 ハルバードの母たちが訓練を受けされられた理由



——————


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