読書/高橋洋二編集『別冊太陽 岡本家の人びと』 ノート20170920
~高橋洋二編集『別冊太陽 岡本家の人びと』㈱平凡社1996年
本誌は雑誌太陽の別冊である。戦前の漫画家でペン一本により財をなした岡本一平、妻で歌人の岡本かの子、そして彫刻家・岡本太郎のプライベートを特集したものだ。
1930年代、岡本一家は、新聞社の委託を受けて、パリ軍縮会議の達成状況を調査報告すべく海路をつかってフランスへ渡航した。
大金を手にして豪遊した一平は、妻かの子に頭が上がらない。しかし、かの子は、書生二人を愛人として自宅に寄宿させ、洋行に同行させる。一家はパリにアパルトマンを借りて豪奢な生活を送っていた。夫妻の元には、バックパッカーのような貧乏旅行をしてようやくパリにたどり着いた金子光晴夫妻がいた。
岡本太郎は洋行のために、芸大の前身・東京美術学校を中退、フランスの高校に通って語学を習得した。両親はやがて帰国したのだが、モンパルナスにアパルトマンを借りてもらった。そこでやがて名をなす写真家や画家たちに出会った。パリ・ソルボンヌ大学に通った。そこでは美術ではなく、もっぱら、民族学や哲学を学んだ。そしてドイツによるパリ陥落直前に日本に帰国。兵役に就いた後、創作活動に専念するようになる。
愛人を抱えていた岡本かの子だが、岡本太郎は母を生涯尊敬していた。
ノート20170920