「もてあそばれ、あざけりをうけ」
掃射。
「くうっ……!」
かがみ、両手で頭を押さえて回避するパールゥ。
辛うじてナタリーから視線を外さないようにしつつ、打球のような速さで飛んでくる砲弾からほうほうのていで、逃げまどう。
負けじと魔弾の砲手を詠唱、ナタリーにお見舞いしようとはするのだが、彼女は涼しい顔でパールゥの弾丸を自らの魔弾の砲手で相殺、それ以上の弾丸を放ってくる。
圧倒されている。
人は私の状態をそう言い表すかもしれない、とパールゥは思った。
「どうして――ナタリーだって魔術師コースなのにっ」
「だから何です?」
「は……!?」
「当たり前でしょう、最低限の自衛の手段を持つなんて。持たない貴女がどうかしている。だからこそ今、貴女は――――この局面で無様に逃げ回ることしか出来ないんですよっ☆」
「っっ……!」
「結局口だけだったようですねぇ、貴女のケイさんへの執着も。今後一生嘲笑してあげますから、精々ご自分の力不足に泣きを見続ける人生を送ってくださいな。色ボケ女☆」
「――――――言わせておけばっ!!!」
もう勘弁ならない。
数発当たろうが構うものか。
足をナタリーへ向ける。
装填した端から魔弾の砲手を撃ちながら、パールゥは臆することなくナタリーを睨みつけ――
――――それは彼女の姿が見えなくなるほどの、弾幕だった。
「ぁ――――」
とっさのことだった。
今まで出したことが無いくらいの大声と放出魔力で魔弾の砲手を展開。
無我夢中で射出し、明らかに数で負けている弾幕に真正面からぶつけた。
爆音。
衝撃。
浮遊感。
「っっ!! ぁ――――!!」
浮遊感を失った体が地面に叩き付けられるまで、そう時間はかからなかった。
打ち付けられた体全体に鈍い痛みが走る。
でも止まっていられない。立ち上がらなければ、すぐにでも。
前後も解らず立ち上がり、白煙の中にナタリーを探す。
彼女と目が合ったのは、同時だった。
「――――」
「っ――――」
怜悧な瞳。
その中に、怒りに囚われた自分が映るようだった。
あの罵倒さえ、ナタリーの策の内。
踊らされていたのだ。どこまでも。
弾丸が装填され、ナタリーの背後で回転する。
数はさっきより、ずっと少なかった。
「――――どうして撃たないのっ」
「はい?」
「どうして今撃たなかったのかって聞いてるの! 決着付けたいなら今の――」
「別に?」
「――――は?」
「私を勝手に貴女の物語の悪役にしないでいただけます? 決着も何も、私はあなたと戦ってなんていませんよ」
「何を……言ってるのっ」
「聞こえませんでしたぁ? 二度言わせないでくださいよ面倒な。……貴女なぞ眼中に無いと言ってるのですよ。私は貴女の足止めさえできればそれでいい。ついでに祭りの間、二度と立てないようにできれば儲けもの。その程度なのですよ」
「――――――、」




