「渦の外の修羅場」
「『無い頭で理解しろ』の所から」
「パールゥ、話に割り込むな」
「そうですか。全て紛うこと無き事実ばかりです。何か問題が?」
「どんな問題の話か私、知らないけど。ケ……アマセ君が実技試験で見せた作戦、見たでしょう? 筆記試験の結果でだってアマセ君はナタリーより上だったじゃない。頭脳でだって、アマセ君はナタリーに絶対引けを取らないと思う。同じプレジアの学生じゃない、協力するくらいしてあげなよ。せっかくアマセ君が頼んで――――」
「そのケイ・アマセ至上主義。寒気通り越して怖気が立ちますねぇ、まったく気持ち悪い」
「っ!」
パールゥが眉毛を吊り上げて目を見開く。
怯まず、殺意さえ感じる眼光を投げるナタリー。
「なんですかその目は。ケイさんに害する、いえ利しないと分かった相手には誰彼構わず突っかかって、貴女ご自分が最近相当イタい子になってるの自覚出来てます? この際だからついでに言いますけどもね、貴女この頃マリスタともギスギスしてますよね。ケイさんの為なら何を犠牲にしても、何を傷付けてもいいのですか? 違うんじゃないですか、それ。……『恋は盲目』も大概にしてはいかがですか? 少し身の振り方を考える場面に来ていると思いますよ。貴女はこれと同様、平穏の破壊を選ぼうとしている。そんなことをして、万一マリスタに害する存在になってみなさい、パールゥ……私も容赦しませんよ。どうなるか解っているのでしょうね?」
「っっ……!」
……訂正だ。
殺意さえ感じる、なんて生易しいものでは無い。
ナタリー・コーミレイは確実に――――パールゥ・フォンに殺意を示していた。
そして、
「…………進むのが怖いだけなんじゃないの? 貴女は」
気圧されながらも、パールゥもその視線を受け止め、返した。
ナタリーの目が更に吊り上がった。気がした。
…………一瞬、自分がどうしてこんなところに居るのか解らなくなったぞ。
「………………ドリンクが不味くなります。消えてください、今すぐに。両名とも」
その後は、いくら話しかけても無視され。
一先ずは、この場を諦めて引き下がるしか無かった。
◆ ◆
「気にすること無いよ、アマセ君。何様なんだろうね、ナタリーのあの態度」
「………………」
「そりゃあ、前々からアマセ君にはやたら辛く当たるなぁ、って思ってはいたけど。ナタリー、ずっとアマセ君とだけ話すときはあんな感じだったの?」
「………………」
「気を落とさないでね、アマセ君。あんなのナタリーの主観、ただの感想でしかないんだから」
「………………」
「アマセ君は十分役立てるよ。頭だってナタリーに負けないし、動くことだって出来ないわけじゃない。ギリート君との劇での戦闘シーンも、ある程度ちゃんと出来てたんだから。それに……ナタリーの代わりにはなれないかもしれないけど。私はいつでもなんでも、アマセ君に協力するよ。言ったでしょ、私は――」
「パールゥ」
「――な、なに! アマセ君っ」




