「解読――――木の長きを求むる者は必ず根本を固くす」
◆ ◆
ナイセストがゆっくりと鎌剣をふりかぶる。
ここだ。
〝…………私の話。聞こえて、ないの?〟
「っ!? 『侵蝕』は――」
ナイセストが僅かに呻き、後退していく。
いつかのように、俺の頭上で――――瞬時に出現させた大量の砂弾の砲手を爆発させた。
顔を上げる。奴の目は砂でほとんど機能していない。
教えてやろう、ナイセスト。
「侵蝕」を切り抜ける方法を。
「光弾の砲手ッ!!」
『!!!』
ナイセストが弾けるように飛び退る。
光の連射は天井で爆ぜ、強力な光となって会場に降り注ぐ。
「貴様――光属性まで……!」
やはりだ。
解ったぞ、お前の身体能力のカラクリが――――!
瞬転と物理障壁操作を組み合わせ、スペースを縦横無尽に飛んで奴を攪乱する。
魔弾の砲手の中に盾の砲手、砂弾の砲手を織り交ぜて更に混乱を誘う。
「っ!」
奴の周囲に闇の弾丸。
「光弾の砲手!」
合わせ光弾を放つ。
光と闇は衝突し――――互いを打ち消し合い、消滅した。
「!」
着地する。
「基本的なことだった――――闇属性と光属性は互いに打ち消し合う存在。闇の『侵蝕』にも対抗できる」
――――手を背後に、ナイセストから見えないように翳す。
「闇の魔法は魔力回路を不活性化させる。逆に、光属性は魔力回路を活性化させる……よく勉強しているな。俺の『侵蝕』を、光属性の魔力を体に満たして中和していたとは。……だが、それで?」
「……随分必死に避けたじゃないか。俺の光弾の砲手ッ!!」
「!」
下げていた手を向け光弾を放つ。
ナイセストは目を見開いてこれを避け、――またも、大きく距離をとって俺の対面に、立った。
「……醜い不意打ちだ」
「ふざけろ。俺とお前にどれだけ実力差があると思ってる。経験も魔力も、使える術の種類も、何もかも俺とは比べるべくもない。だが、一番の違いは――――所有属性と魔力回路だ。そうなんだろ?」
「!」
――手を、後ろにかざす。




