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「かつぎ上げる者・上げられる者」




◆    ◆




 各ブロックの決勝戦を戦う義勇兵候補生ぎゆうへいこうほせい達と共にならぶ。



 全員一様(いちよう)に、緊張きんちょうの面持ちだ。

 しかしそれは平時へいじのような、自身の戦いの行方をうれいて……といったたぐいのものとはおもむきことにしているように思える。



 原因は考えるまでも無く、俺と……こいつ(・・・)だろうな。



 並び立つ義勇兵ぎゆうへい達の中にざる白と赤。

 かたや血の飛んだ純白じゅんぱくのローブ、片や破れり切れた深紅しんくのローブ。――もう疑いようもなく渦中かちゅうの人物である、ナイセスト・ティアルバーと俺、ケイ・アマセ。



 隣に立っている男子が、生唾なまつばを飲み込む音が聞こえた。



 ……冷めた目で見れば、俺とナイセストの様子は他の者とそう変わりない。



 それも当然。俺とナイセストもただ指示通りに並び、校長による挨拶あいさつ拝聴はいちょうしているだけなのだから。



 にもかかわらず、自分のことながら俺達の間に流れる空気が異質いしつであるように思えるのは――ナイセストから無言の内に放たれるあつ、そして恐らく……周囲の者達が俺とナイセストに、れ物に触るような警戒けいかいいだいているからだ。



 今のプレジアの状況と同じ。

 俺とナイセストを異質な二人たらしめ、プレジアを貴族きぞくと『平民』の対立が起こっている場所に仕立てた最たる原因は――――その他大勢の声なき声なのだ。



 そういう意味では、ナイセスト・ティアルバーも被害者なのではないか?



「――それでは各ブロック、決勝戦を始めてください。……それで、第二ブックで戦うあなたたち二人ですが」



 クリクターが始まりの挨拶あいさつを終え、俺とナイセストを見る。



「ご存じの通り、前回の試合でスペースに備え付けられていた、魔法障壁まほうしょうへきが破壊されてしまいました。規格外きかくがいな魔力が外部から加わった影響は障壁のみなもとである魔石ませきにまで及び、魔石そのものが壊れてしまっていまして……第二ブロックの使用している演習スペースは安全管理上、使用することが出来なくなってしまいました。ですので、」



 ゆっくりと手を上げ、移動に用いる転移魔法陣てんいまほうじんの方を示すクリクター。



「第二ブロックのお二人は、第二十二層、調練場ちょうれんじょうにて試合をしていただきます。移動してください」

「……調練場?」

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