マジで土魔法の便利さに驚く今日この頃
少し遅れました
「ええ、先程も言った通り、ある一定のレベルを超えると外部からもエネルギーを吸収できます。地球でも聞くでしょう? 仙人は霞を食べると言う言い回し、あれはある意味で正解です」
「なんと!?」
ええ、あれ比喩表現じゃなかったん?
「実際に霞を食べるわけではないですが、空気中に漂うエネルギーを効率良く吸収出来ます。神レベルになれば不眠不休でも活動出来ますね」
なるほど、生物としての限界を文字通り超える訳か。
同じように説明を聞いていた全員もそれぞれに納得している。
アイギスや千早は驚きながらもそういうものかと飲み込み、澪や瑠璃は私と同じように思い当たる節があるようだ。
「で、こいつは未熟と」
「ええ、面白───ではなく、一足飛びでここまで来た影響でしょうね。徐々に慣れていくものが一気に変わり、むしろ常にエネルギー不足の状態なんですよ」
今、面白い進化したとか言おうとしたよね?
ニコリと笑うとあっさり無視された酷い。
「……通常で言えばコイツの辿った進化過程はどれほどの時間が掛かるんだ?」
「えっ、それ聞くの?」
嫌な予感しかしないのですが?
「そうですね。当たり前ですが常人なら一生掛かっても辿り着けません。才能のある者でも同じですね。才能、縁と運に恵まれてようやく、ほんのひと握りの者だけが辿り着けますね」
「まあ、そうですよね」
「むしろ良かったわ。簡単に生まれるなんて言われなくて」
「でも、結局は白亜さんって事よね」
千早の締め括りの一言で全員の視線が私を射抜く。
照れるから見ないで欲しい……うん。見んなや。
「少し早い知識になりますが、種を超えた領域を超域、そこから更に一歩踏み出した星の超越者を星域、更にその上が神域となっています」
ほほう。なんかこういう区分聞くとワクワクするよね。
「白亜さんの格は神域一歩手前の星域辺りですね。実力としては超越ですが、精神力と魂は既に神域です」
「うわぁーお。すっげぇバラバラ」
これにはハクアさん。もう笑うしかないのでは?
皆を見ると更に呆れた表情で何か言いたげな顔をしている。
やめて、見ないで。
「それで、お前はコレを連れ戻しに来たのか?」
「ぅなぁーん」
襟首掴まれて持ち上げられたので、一応顔を洗いながら鳴いておく。しかも賢いのでちゃんと身体は丸めております。
私の事はしがないペットとして扱って欲しい。
「いえ、白亜さんの修行はしばらく休暇となります」
「フギャ!?」
澪の手から逃れ、遠くに逃げて威嚇する。
「えっ、白亜さん!?」
「あの子どうしたの? 散々逃げようとしてるのに、休みだって言われてなんで威嚇してるの?」
突然逃げ出し威嚇を始めた私に驚く千早とアイギス。
「哀れな。自分にそんな自由が許される訳がないと思って、降って湧いた幸運に警戒してるな」
「ハーちゃん……なんて可哀想な。ほーら、怖くないですよぉ〜。安心ですよぉ〜。チッチッチッ」
驚く2人に対して哀れみの表情を向ける澪と瑠璃。
しかし今の私にそんなものに構う余裕はない。
怪しい。絶対に怪しい。これは絶対に何かの前振りに違いない。
「そんなに嫌なら、お望み通りいつもより厳しめの修行を───」
「お休みありがたく頂戴いたします!?」
テアの前に滑り込みスライディング土下座で感謝を示す。
感謝は態度で示すのが大事だからね!
「お前……」
「ハーちゃん……」
やめろ。そんな目で見るなや!? こちとら必死なんでい!?
「でも本当に珍しいですね。テアさんが普通にハーちゃんに休暇をあげるなんて。いつもなら逃げようとしても、首に縄を掛けて捕まえるのに」
ふっ、違うな。
そこから更に木に吊るされるまでがワンセットだぜ。
「ええ、面白いからと少し詰め込みすぎましたので、ここらで小休憩するのも大事かと」
なんだろう? 嬉しい言葉のはずなのに、なんで言葉の端々から寒気を感じて背中がゾクゾクするのだろうか?
と言うか、面白いから詰め込んだとか言わなかったか今!?
「……本音は?」
「今までは内在する力と肉体のバランスを取るため、早急に仕上げる必要があったのですが、ある程度その目処が立ったので身体を慣らす方を優先したまでです」
な、なるほど、ちゃんと理由があるのか。
納得出来る説明を受け威嚇をやめる。
それにしても冷や汗が凄い。まだ背筋がゾクゾクと寒気を感じてるんだよ?
「まあ、トイレの普及とか面倒なことをやるなら丁度いいんじゃないか?」
「だね。とりあえずなんか希望あるのアイギス?」
「そうね……と、言いたいところだけど、トイレって今現在もどんな風になってるのかあんまり知らないのよね」
「今は縦穴っぽい所にトイレを作って、下を流れる排水に合流させる感じだったか? 地球と違うのは、そのまま落ちるか、水で流すかって所だな」
へぇー、そんな風になってたんか。じゃあそこまで変わらないんだな。
その後も興味のなかったトイレについて聞いてみると、一番の問題は悪臭が上がって来ることのようだ。
「えっと、その……それから今が和式っぽい感じだから洋式っぽい感じが良いなぁなんて」
「それなら研究も何もなく普通にすぐ出来そうだな。便座作って水で流す機構、後はそのもの自体を綺麗に保てるように防汚を付ければ良いだけだし」
一番問題だった臭いも、S字パイプみたいにすれば臭いが上がって来なくなるはずだ。
「ええ、そんな簡単に」
「そもそもトイレ作るので一番の課題は、アイギスの敷設した上下水道と、汚水の処理方法だからね。その辺が出来てる段階で特に特別な何かってのはないよ。後はウォシュレット付けるとかくらい?」
「あっ、それも付けられるなら欲しいわね!」
「了解。じゃあ、とりあえず今日中にそれっぽいもの作るよ」
聞き取りが終わった私達は一旦解散する。
そして私は早速トイレ作りに勤しむ。
便器は土魔法で作り、覚えたばかりのルーンで防汚、付与魔法で魔力を流すと水が流れるようにする。
「うむ。中々良い出来ではないか」
「そうですね。使われてる技術が恐ろしく無駄遣いな事以外は素晴らしいと思います」
「最高の褒め言葉ですな」
サラッと現れたテアの言葉に満足した私は、その足でアイギスの所に持っていく。
驚きながらも喜んだアイギスを連れ、そのままトイレに向かうと工事に入る。
まずは水魔法で一気に水を流し、軽く掃除すると、結界を張って臭いを遮断。
次にお馴染み土魔法で配管のような物を作り設置。
配管と便器を繋げて全て完了だ。
うーん。こういう事するとマジで土魔法の便利さに驚く今日この頃。
その後、更に他の場所にも設置しながら、今まで構造上1階にしか作れなかったトイレを2階や3階にも新しく作っていく。
中々の大工事になったが満足の行く仕事になった。
はて? 休暇とは一体なんなんだろうか?
そんなことを思いながら、その日1日トイレ作りに勤しむハクアさんであった。
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