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Break

 静かだった。


 


 画面の光だけが、残っている。


 


 


 ユイは、動かない。


 


 


 座ったまま。


 


 


 ずっと、見ている。


 


 


 


 流れていく投稿。


 


 


 同じ言葉。


 


 


 違う言葉。


 


 


 でも。


 


 


 全部、似ている。


 


 


 


「……ユイ」


 


 


 ヒカリが、呼ぶ。


 


 


 小さく。


 


 


 


 ユイは、反応しない。


 


 


 


 視線は、画面のまま。


 


 


 


「……見なくていい」


 


 


「ちょっと離れよ」


 


 


 


 ヒカリが言う。


 


 


 


 そのとき。


 


 


 


「……やめて」


 


 


 


 ユイが、言う。


 


 


 


 初めて。


 


 


 


 ヒカリの声を、止める。


 


 


 


 


「……まだ」


 


 


 


 


「見てる」


 


 


 


 


 小さく。


 


 


 


 


 でも。


 


 


 


 


 はっきりと。


 


 


 


 


 


 ヒカリは、何も言えない。


 


 


 


 


 


 ユイの目は、動かない。


 


 


 


 


 


《作ってたんでしょ》

《無理してる感じした》

《こういうの冷める》


 


 


 


 


 


 一つ一つ。


 


 


 


 


 


 ちゃんと、読んでしまう。


 


 


 


 


 


「……違う」


 


 


 


 


 


 ぽつりと、言う。


 


 


 


 


 


「違うのに」


 


 


 


 


 


 声が、揺れる。


 


 


 


 


 


「別に」


 


 


 


 


 


「作ってない」


 


 


 


 


 


「……」


 


 


 


 


 


「ただ」


 


 


 


 


 


「話してるだけで」


 


 


 


 


 


「……楽しいだけで」


 


 


 


 


 


 


 ヒカリは、何も言わない。


 


 


 


 


 


 言えない。


 


 


 


 


 


 距離がある。


 


 


 


 


 


 触れられない。


 


 


 


 


 


 


「なんで」


 


 


 


 


 


「……だめなの」


 


 


 


 


 


 小さな声。


 


 


 


 


 


 そのまま。


 


 


 


 


 


 崩れる。


 


 


 


 


 


「……やめればよかった」


 


 


 


 


 


「最初から」


 


 


 


 


 


「……」


 


 


 


 


 


「やらなきゃ」


 


 


 


 


 


「よかった」


 


 


 


 


 


 


 ヒカリが、息を止める。


 


 


 


 


 


 その言葉。


 


 


 


 


 


 全部を否定する言葉。


 


 


 


 


 


 


「それは違う」


 


 


 


 


 


 言う。


 


 


 


 


 


 はっきりと。


 


 


 


 


 


 


 ユイが、初めてヒカリを見る。


 


 


 


 


 


 


「違わない」


 


 


 


 


 


「こうなってる」


 


 


 


 


 


「全部」


 


 


 


 


 


 


「違う」


 


 


 


 


 


 ヒカリが、もう一度言う。


 


 


 


 


 


 


「楽しかったでしょ」


 


 


 


 


 


「一緒にやって」


 


 


 


 


 


「話して」


 


 


 


 


 


「踊って」


 


 


 


 


 


 


「……」


 


 


 


 


 


 


「それは、嘘じゃない」


 


 


 


 


 


 


 ユイは、何も言わない。


 


 


 


 


 


 


 ただ。


 


 


 


 


 


 


 少しだけ、目が揺れる。


 


 


 


 


 


 


 その瞬間。


 


 


 


 


 


 


 ユイの姿が、消える。


 


 


 


 


 


 


 ログアウト。


 


 


 


 


 


 


「……え」


 


 


 


 


 


 ヒカリの声だけが残る。


 


 


 


 


 


 


 何もない空間。


 


 


 


 


 


 


 さっきまで、そこにいたのに。


 


 


 


 


 


 


「ユイ」


 


 


 


 


 


 呼ぶ。


 


 


 


 


 


 返事はない。


 


 


 


 


 


 


 静かすぎる。


 


 


 


 


 


 


 ヒカリは、そのまま立ち尽くす。


 


 


 


 


 


 


 すぐに、端末を開く。


 


 


 


 


 


 


 連絡。


 


 


 


 


 


 


 メッセージ。


 


 


 


 


 


 


 送る。


 


 


 


 


 


 


「……」


 


 


 


 


 


 既読は、つかない。


 


 


 


 


 


 


 もう一度、送る。


 


 


 


 


 


 


 それでも。


 


 


 


 


 


 


 何も返ってこない。


 


 


 


 


 


 


 外では、まだ広がっている。


 


 


 


 


 


 


 中では、途切れている。


 


 


 


 


 


 


 ヒカリは、画面を見る。


 


 


 


 


 


 


 さっきまでの場所。


 


 


 


 


 


 


 何もない。


 


 


 


 


 


 


 ただ。


 


 


 


 


 


 


 ぽつりと。


 


 


 


 


 


 


 一人、残されていた。


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