Leak
配信開始。
「こんばんは」
《こんばんは》
《きた》
《あとちょっと!》
空気が軽い。
コメントが、明るい。
視聴者数。
**1,200 → 1,450 → 1,620**
伸びている。
フォロワーも、増えている。
もうすぐ。
本当に、あと少し。
「なんかさ」
ヒカリが笑う。
「ここまで来ると、ちょっと緊張するね」
「……うん」
ユイも、少しだけ笑う。
雑談が続く。
軽い話。
コメントも、乗ってくる。
《今日もいい感じ》
《この空気好き》
《あとちょっとで一万だ》
順調だった。
そのまま。
いけるはずだった。
《ねえ、Xのやつほんと?》
一つのコメント。
流れる。
ヒカリは、一瞬だけ見る。
「ん?」
軽く流す。
ユイも、特に反応しない。
雑談を続ける。
でも。
《見た人いる?》
《あれやばくない?》
《さっき流れてきた》
コメントが、少し変わる。
早くなる。
ざわつく。
ヒカリが、少しだけ止まる。
「……なに?」
ユイも、画面を見る。
流れる文字。
同じ話題。
増えている。
「ちょっと見る」
ヒカリが言う。
外のSNS。
検索。
すぐに、出てくる。
知らないアカウント。
投稿。
開く。
一瞬。
止まる。
写真。
制服。
後ろ姿。
顔は、モザイク。
でも。
カバン。
ついているもの。
緑とピンク。
「……」
ヒカリの手が、止まる。
ユイが、横から見る。
一瞬で分かる。
「……それ」
言葉が、出ない。
画面の中の自分。
少しだけ、距離のある現実。
でも。
確実に、繋がっている。
《これ本人?》
《ルベベ一致してる》
《その制服、学校特定できんじゃね?》
コメントが、流れる。
早い。
止まらない。
「……」
ユイの顔が、変わる。
さっきまでの空気が、消える。
ヒカリが、画面を見る。
言葉を探す。
でも。
出てこない。
「……大丈夫」
小さく言う。
誰に向けたか分からない言葉。
ユイは、何も答えない。
ただ。
画面を見ている。
そのまま。
動けないまま。
配信の空気が。
静かに、崩れていった。




