第2話 私をバカにしてた男子にざまぁ
「リナ!?どうしたんだ!?」
「大丈夫なの!?」
後ろからパパとママの声が聞こえた。
パパは髭剃りの途中だったみたい。
半分だけ髭が残ってて面白い。
ママもお化粧の途中なのに来てくれた。かわいい。
パパとママのこんな顔、初めて見たかも!
「お、おはよう、パパ!ママ!」
2人は目と口をまんまるに開けて、びっくりしていた。
そりゃそうだよね。昨日までは布団から起き上がるのもやっとだったのに、今はこんなに元気なんだから。
「ちょっと冒険してくる!元気になったし、人生やり直すんだ!」
「リ、リナ...!」
感動でうるうるしてるママと抱き合って、私は村を出た。
ノノは隣でニヤニヤしながらフワフワしていた。
「ついに来たね〜、冒険の始まりだぁ!」
向かったのは、村の隣町、ラシアの冒険者ギルド。
受付のすごく綺麗なお姉さんに登録をお願いしたら、丁寧に案内してくれた。
「お名前は... リナ様。素敵なお名前ですね!今ご記入いただいた書類で、すぐにご登録いたします。念の為、ステータスを拝見しても?」
「え、えっと... はい。ステータス... オープン」
種族: 人間
HP: ∞
攻撃力: ∞
防御力: ∞
魔力: ∞
魔法攻撃力: ∞
魔法防御力: ∞
敏捷性: ∞
「... え?」
受付のお姉さんが固まってる。
ステータス∞なんて書けないから、ノノに言われた数字をテキトーに書いていた。
どうしよう、怒られるかな...?
突然、隣から笑い声がした。
「ははっ、おかしくなっちまったか?リナのステータスなんて、ほとんど1ケタだったじゃねえか!」
レオン!?
村で1番私をバカにしてきたヤツだ。
顔はそこそこ好みだけど、態度が超ムカつく!
「訓練場で俺と手合わせしてみろよ。レイラさんも、こいつが嘘ついてるってわかるはずだぜ!」
「なにあのざこ!リナをバカにするなんて、100万年早い!リナの力、見せてやんな!」
ノノがぷくっと頬をふくらませて怒る。かわいい。
「うん、そうだね!ちょうど魔法、使ってみたかったし」
防具を付けて訓練場に移動すると、レオンは木剣を片手にニヤついてた。
「魔法って言ってたよな?試してみろよ。どうせ詠唱の仕方も、杖の使い方もわかんねーだろ?」
レオンが前髪をいじりながらバカにしてくる。
私は杖を捨てて、片手を空に向けた。
「ファイアボール」
巨大な火球が砂を巻き上げて空を貫く。
「ッ!?上級魔法!?う、うわあああああ!!」
下級魔法ですけど。
レオンは爆風で吹き飛んで、カエルみたいに壁に張り付くと、ぺたっと地面に落ちた。
髪の毛がアフロみたいになってて面白い。
これが... 私の力...。
「アッハハ!あんなにイキってたのに、なっさけな〜☆」
「リナ様...!詠唱もなしにあれほどの魔法を...!なんという魔力...!」
「ね、リナが嘘ついてないってわかったでしょ!」
ノノがニヤニヤしながら、呆然とするレイナさんに言った。
「はい!早速書類を修正して、冒険者登録してきます!」
ドザァッ!
「お”っ...」
炎魔法で巻き上げられた砂が、ノノの上に落ちてきた。
「ノノ!?ごめん!!」
こうして私は、人生で初めての”ざまぁ”をキメたのだった。
次回:女だからってバカにしてきたオッサンにざまぁ