暴発
11月半ばのある日の放課後。
暖房が消された教室に談笑する声は僅かで、耳障りな声が横から聞こえた。
「話しあんだけど......面ァ貸せよ、涼更ァ」
「はあっ?急いでんだろぅがっ、みてわかんねぇか?」
「そうは見えねぇつぅのっ!貸せ言われりゃあ、貸せやっ!」
荒々しい言葉を隠すことすらなくなった佐野は廊下に出ろと指図しやがった。
以前起こしたあの出来事になりかねないので、渋々彼女に従うことにした。
彼女の横を通りすぎた際にチッと舌打ちしてきて、イラッときた。
廊下に出た俺の後に彼女も廊下に出て、唐突に不満をぶつけてきた。
「なんでまだきてんだよっ。もっと歪ませろよ、面をよぉーっ!むしずがはしんだよぉ、その面をみてっとぉっ!」
「じゃあ、声掛けんなや!」
「なんでてめぇが幸せに生きれて、私が苦痛を味わい続けなきゃあなんねぇんだよぅっ!くそっくそくそくそくそっくそくそくそくそくそがっ!てめぇの呑気で生きるのが幸せだっつぅ面ァちらつく度に傷が疼くんだよっ!」
「幸せ......苦痛、を味わい続け......さっきから何ほざいてんだよ、お前。俺が......俺が幸せ、だってぇ?ふざけんなよ、てめぇっ!どこをどう解釈すりゃ幸せそうだっつぅんだよ!さんざんだよ、てめぇには身に覚えのねぇ悪意をぶつけられるわ、俺の気もしらねぇで振った挙げ句に好きなやつとくっつけろなんて言いやがる奴にめちゃくちゃにされるわ、歪みきった友情を盾にノイローゼにされそうになるわでぶっ壊れそうなんだよぉっっ!他人を追い込んでおきながら、へらへら笑ってやがるてめぇに知ったかぶりされるなんざ願っちゃいねぇんだよぉ......マジ......ふざ、っけぇんなよぉ......はぁはぁっ、はぁはぁ......」
一息で吐き出しカロリー消費が激しく息があがる俺だった。
怯むことなく佐野は俺を睨み続けていた。
「裏切った奴が何を......」
彼女がポツリと吐いた言葉に顔をしかめる俺だった。




