文化祭編─文化祭二日目10~舞台上からの公開告白!?
喫茶も空いてきて、14時過ぎにはがら空きといった感じになり、盛り付けである俺らや接客係のクラスメートも話し合いで抜けられるようになる。
何事もなく、無事に文化祭を回れるようになった俺は約束を果たすために体育館へと急いだ。
階段に差し掛かったと同時に背後からTシャツの裾を引っ張られ、振り向くと意外な女子が裾を掴んでいた。
メイド服からクラスTシャツに着替えた蜜和味が不満そうな表情を浮かべていた。
「どうしたの?蜜和味さんらしくないことをして」
「やっきになって抜けたいほどのことって何かと思って」
「そうなんだ。逃げないから離してくれないかな?手を」
「ごめん。はい、離したよ」
裾を掴んでいた手を離した彼女。
ありがとう、と言って階段を駆けおりて体育館を目指す。
後ろから彼女が駆け足で追いかける。
体育館の扉は開け放たれていて、ダンス同好会がダンスを披露している最中で終盤に差し掛かっていた。
嵐の『Uptoyou』に合わせ踊る部員達だった。
ライブで踊っていた振り付けのままだった。
歓声が沸き上がっていた体育館内で熱気がすごいものだった。
これが憧れていた文化祭そのものだ。
ダンスが終わり、捌けていくダンス同好会。
スピーカーから女子のアナウンスが流れる。
『ダンス同好会の皆さん、素敵なダンスを披露していただきありがとうございました。次に軽音楽部のステージとなります。ペンライトをお持ちの方は──』
アナウンスが終わり、軽音楽部のメンバー達が舞台に姿を現した。
準備を終え、ライトが消え前奏が始まり、ロメオと囁きが響き渡ると同時にライトアップされ、歓声があがる。
LIP×LIPの『ロメオ』を宮地と三鷹が歌う。
宮地はともかく、なぜ三鷹が舞台で歌っているんだよ。
女子の黄色い歓声が目立つ。
まあ、三鷹はモテる奴ではあるけど......
『ロメオ』を歌い終え、三鷹は爽やかな笑顔でお礼を言い終えてから、「軽音楽部の演奏に酔いしれていってくださ~い」と言って捌けていく。
宮地から短い部員の紹介が終わると人気のアーティストの曲を5曲ほど続けて演奏した。
部員の簡単な挨拶を終え、最後に宮地がお礼を言い終え、突然の告白を始めた。
「──私は、後輩の涼更くん、涼更鴻汰くんが好きですっ!彼のために──贈る曲で締めたいと思います。聴いてください、sumikaで『伝言歌』」
今まで以上に歓声が上がり、青、黄、ピンクといったペンライトの光で包まれる体育館。
隣にいた蜜和味が歓声にかき消されない声で「モテる罪な奴だ、ヤッテらんねぇ!」と吐いてきた。
苦笑を浮かべ、舞台で演奏をする宮地の姿に視線を戻した。
そうきたか......だから釘を刺したのか、先輩は。
演奏を終えた宮地は、「涼更くん、私と付き合ってくださいっ!聴いたなら返事を聞かせてください。以上で終わりです、ありがとうございましたっっ!」
宮地がお辞儀をしたのにならい、演奏をした他の部員の女子達が頭をさげる。
歓声と拍手が沸き上がる体育館を後にした俺だった。
返事......かぁ、公開告白とは思いきったことをするなぁ、先輩は。
感想を頂けることはとても嬉しいです。ですが、書いてくださるのでしたらなるべく幼馴染み以外のことに関した意見をと。
幼馴染みに関しましては、充分な意見を沢山頂けましたので。




