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番外編─*外面だけが良い両親とムカつくアイツ

佐野の境遇について

私──佐野志桜里は、幼い頃から親に暴力を振るわれていた。泣き喚いてもより過激さが増していくだけで耐えながら必死に生きていた。

親は、外面だけを良くし、目立たないように、露見しないように──暴力を振るった。


私の辛さも痛みも傷を負っていることを知りながら見捨てたアイツを──したいと思っている。

親と同等な奴から歪んでいるだなんて言葉が吐けるとは相当な思いやがっている奴だよ、アイツはぁっっ!


アイツにだけ打ち明けた。一緒になって遊んだ、こんな奴にでも無邪気な笑顔を向けてくれたアイツになら、何かしら、多少なりなら現在の状況を打開してくれるのだと、僅かながらも救ってくれるのだと思っていた。


だが、アイツは私を救わず、目の前から姿を消した。

ありふれた励ましの言葉を掛けた数日後に。


何の後腐れもなかったかのように、澄ました顔で私の前から姿を消しやがった。


アイツだけがっ、アンタに救いの手を差し伸べたのに、並々ならぬ期待を抱いたのに、見捨てやがった。


そんなアイツに、アンタ──涼更鴻汰に歪んでいるだなんて言われる筋合いはねぇーんだよ、と突き付けたい。


中学生に上がり、久しぶりに再会したアンタは私には見向きもせず、他の女と楽しそうに話していた。

私の存在がなかったかのような、私が居なくてもアンタはあの頃のような笑顔を浮かべ、奈落の底に落とされたような気分を味わった。虫ずが走るほどに苛立った。


アンタにその眩しいほどの笑顔を崩して壊して、私の想いを──と思ったが、思ったよりも早く願いが叶った。


今もなお、親から暴力を振るわれているが、何とか生きている。耐えて、耐えて耐えて、耐えて耐えて耐えて、ちっぽっけな願いが叶うなら私は──


──歪んでいるのは、アンタだ、と。



彼女から見た涼更のことですが、二人は過去にこんなことがありましたという内容です。


彼女視点のもので、まあ......境遇が境遇なものなので。


ちなみに涼更は、悪い奴ではないのでそこは頭の隅に。

三条の印象も悪いですけど、それほどのことはしてないので、こちらも......恋愛は明るいものだけではないはずですので。

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