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文化祭編─文化祭二日目1~不穏な始まり、そして親友がいてくれるありがたみを噛みしめ

文化祭二日目。

自宅を出る前に姉から一言言われた。

今日は、顔出すから、とのことだった。

最悪としか言いようがない。星峰さんの気持ちが理解できた。

憂鬱な気分で通学路を歩いているとぼろぼろなバス停の脇で二人の男女が痴話喧嘩らしきものを繰り広げていた。

遠めからでも多少声は聞こえてきた。

足を止め、女子の横顔が見えたと同時に声をあげそうになり、口を押さえた。

宮地悠美、一度告白をしてきた先輩に違いなかった。

彼女の相手はイケメンだった。俺にはどうしたって勝てそうもないほどにイケてるメンズだった。

そんな彼がいながら俺に告白をしてきたということに驚きを隠せない。

実をいうと、痴話喧嘩らしきというより、捲し立てられているといった方が正しい。

彼女は、たまに短く返すだけといった一方通行な言い争い。言い争いですらないほどに完敗している彼女。

たまに冴えない奴、涼更、といった言葉が彼の口から聞こえたことが引っ掛かる。


再び歩き出した俺が、後ろから聞き慣れた声に呼び止められたのは間もなくしてのことだ。


「よーっ、おはようさんだね、コウっ!」

後ろから声を掛けられ、足を止め振り向くと篤生が中途半端に手をあげ、近付いてきた。

「おはよう、あっ君」

「三条が暗い表情でとぼとぼと歩いてたぞ。日に日に暗さが増していってんぞ、あいつ。今度は何をやらかしたんだよ?三条に。このままだとやべぇことに発展しそうな勢いだけどよぅーっ」

「もう分かんないんだよ、ほんとにさ。どうすれば良いかな?」

「あったことを話してくんないとさぁ、しようにも出来ねぇよ、アドバイスなんてぇのはさっ」

「そうだよね......実は──」

俺は、隣を歩く彼におかれている現状を話すことにした。

抱えきれない悩みを打ち明けることを決心した俺だった。


彼──三鷹篤生は、親友だと改めて感じてしまった。


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