文化祭編─教室に漂う空気
登校して、教室に足を踏み入れた瞬間に教室に漂う空気が違うことに気付く。
葬儀場に漂うどんよりとした空気が、暗く重苦しい沈んだ雰囲気を感じた。
菫の席の周りに人だかりができていた。
俺に気づいた一人の女子が近付いてきて、胸ぐらを掴んで怒気を含んだ声で脅してきた。
「あんたでしょ、菫を傷つけたのは。謝れって、涼更っっ!何で菫を悲しませるようなことしたんだよ、やりすぎなんだよっ、あんた!」
「悪いと思ってるよ、俺だって。言い過ぎたと思ってるよ。謝ったところで、俺の言葉が届くわけないのはわかるだろ。それは柳川さんでもわかるだろ......無理だよ、相手に届かない言葉は、無意味なんだから」
「お前は、菫のことが好きだったんじゃないの?今でもその想いは涼更にあるんじゃないのかよっ!」
「菫に想いを吐き出したよ......そろそろ離してくれないかな。柳川さん」
柳川の手が離れ、柳川は、睨み付けた後、菫のもとに戻り、後ろから抱き締めていた。
教室に漂う空気に耐えきれなくなり、鞄をロッカーに入れて、教室を出て、廊下を歩く。自販機で飲み物を買うことにした。
修復不可能だな、これは。
星峰さんに会いに行こうかな、久しぶりに。
さっさと帰りたいな。登校したばかりだけど。