表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/145

夏休み─付き合って初めて見た、彼女の変貌

8月9日。

ショッピングモールにいた。

隣には星峰さんがいる。

「涼更く~ん、本屋に行かない」

「いいよ。行こっか」

本屋について、一緒に回っていると、前から星峰さんを呼ぶ声がして、そちらをみると、男子がいた。

「あれっ、香ちゃーん。久しぶりー」

「えっとぉ......」

「香ちゃん、忘れたの?中二のときに一緒のクラスだった、三神だよ」

「あっ。ああ、三神さん......か」

彼女の声がよそよそしいものに変わっていた。

「あっと、もう少し、仲よかった気が......」

彼は、少し怯えていた。彼女の声は低いけれど、怯えるほどでは、と思う。

「何かな、三神さん。何も無いなら、もう行くけど」

徐々に心がないようなたんたんとした声になっていく彼女。

「あのぅ、ほしみ──」

彼女の肩を優しく触るがいつもの声音に戻らない。

「何で三神さんが、ここにいるの。何で──」

「すみませっんっ!」

彼は、たえられなくなったようで、謝って、走り去っていく。

彼女がぶつぶつと呟いていた。その内容は聞こえなかった。

「星峰さん、星峰さん。どうしたの?星峰さんらしくないよ」

「私らしくって──」

俺は、彼女を抱き締める。

「──涼、さ......らくん」

やっと、もとに戻る星峰さん。

「何かあったの?星峰さん」

「何かって、なんの話。涼更君」

無意識だったのか。

「さっきの──」

「やめてっ、あっごめん。言わないでほし......」

「俺こそ、ごめん。何か買う?」

「う、うん」

俺は、彼女と手を繋ぎ、歩き出す。


三神という彼のことは、彼女に聞けずじまいだ。

あんなに変わるような何かとは──。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ