夏休み─彼女の姉と家で一緒
8月12日。
今は、昼前。
本屋の文庫本コーナーで唸りながら、文庫本を見比べている俺の肩に手をおかれた。
「ねぇねぇ、まだですかぁ~。涼更君。待ちくたびれたよぉ」
可愛い声で文句を言うのは柚羽さん。
なぜ彼女と本屋にいるのかというと──。
俺が寝ていると、スマホが着信を告げた。
「もしもしぃ、誰ですか」
『涼更君の彼女、柚羽お姉さんだよ』
「えっ。はいぃ~、ななんで柚羽さんが。怒られますよ、まあなれてるでしょうけど」
『香はバイト行ってるから、いいの。それより、涼更君と本屋に行きたいの。駄目かな』
落ち着いた声の彼女。
「でも星峰さんにバレたら、どうなるか。なるべく仲よくしてほしいんですけど......」
『バレないようにするから、いいでしょ。涼更く~ん』
「分かりました。行きましょう」
『さっすが~。じゃあ、本屋で』
通話が切れる。
まあ、これがあり、現在、柚羽さんと本屋にいる。
俺は、文庫本二冊を選び、DVDのレンタルを柚羽さんと一緒に探して、会計を済ませた。
星峰家にお邪魔して、借りてきたDVDを観ていた。
「あのぅ、星峰さんって、男子が苦手じゃないですか。何かあったんですか」
「でも、涼更君は平気、でしょ香」
「まあ、そうですね」
「なるべく教えたくなかったけど。香は襲われそうになったの、男子から。まあ友達が救ってくれたけどね。その友達も──」
息をもらす彼女。辛そうな声で話してくれた。
今の星峰さんは何ともないように見える。だけど、トラウマがあって俺以外に怯えている。
救ってくれた友達は女子だったらしい。
「高校に入ってからは、涼更君が見ている今の香になったの。香が積極的でも、同じようなことは......まあ、涼更君はしないか」
「はい」
本編が始まる。観ているのは恋愛映画だ。
終盤にさしかかったところで、スマホが鳴る。
「あっ、星峰さん。どうしたの」
『涼更君の声が聞きたくて。テレビを観てるの?涼更君。ちょっと柚羽姉の泣き声が聞こえるけど、もしかして一緒じゃあ──』
星峰さんに怒られそうな予感がして、柚羽さんにかわる。
「もぉしぃ、ううぅ。もしぃ」
泣きながら通話を続ける彼女。
数分間返答もしないで泣いてた。
通話をきる彼女。
「ああぁぁー。何できるんですかぁ」
「ああ、うう......っすん、うぇ、ごごめん」
そう言って、スマホを返してきた彼女。
ああ、星峰さん絶対怒ってるよぉ。メールを送る。




