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少尉ですが何か?  作者: 背徳の魔王 人と話すうちに性格から行動パターンを読み取り。隠された本性を暴き。時に未来を予言することからリアル魔王と呼ばれ。材料と調味料の分量で味がわかるので、絶対味覚と本人が詐称する一般人
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閑話我が主を守りし者。その名は白騎士

プロローグ




西大陸……二年前。新帝都。



大陸の北西部にある新たな都に。驚きの事件を解決した六人の少女と。ある技術者が作った。一体の自動人形がいた……。その技術者はまだ見習いで、翼人であったが……、たぐいまれな才能を。我等が姫様に見初められて、あの魔神討伐に使われたと言う……。




あれ以来……。郊外にある工場には、弟君クライム様と傍らに。見習い翼人技術者が作った自動人形オートマイータが、お側に従え。常に守もられていると言う。噂では弟君を守る者として、リルム様が貸しされたようだ。




白騎士ロノバリエ、見てみて♪工場が見えてきたよ」屈託なく笑う可愛らしい笑顔。リルム、彼が敬愛したレシアに面立ちが似ていた。笑う顔が特に……、なめらかな動き、人間臭い動きでコクコク頷き。

『ヨいテん気です』 ちょっと可笑しな発音ではあるが、クライム他。身の回りを世話する侍女達から。かなり人気があった。それと言うのもこの自動人形は、女性が大変そうにしてると。率先して手を貸してくれるからだ、また妙に辿々しい喋りも。何だか照れてるようで、可愛いとの評価である。

「そうだね~、今日メンテナンスが早く終わったら。ベルと遊びたいな♪」

屈託なく何の疑念を抱かない言葉に。白騎士は静かに耳を傾け。ゆっくりと頷いていた。




昨年の冬。リルム様が連れてきた、レイラ・バレスの計略は。魔神と呼ばれる存在の自分たちをも戦かせた……、




『魔神を自動人形の核に収めて、新たな体を与える』

そう聞いた時……、本当に出来るのか?、疑念を抱いていた。



実際、新たな肉体を得たロノバリエにとって、不十はあるが、楽しい日々である。本当は……、リルム様のお側に仕えしたいが、自動人形の身体のメンテナンスや、クライム様のことを考えれば、悪くない選択だと今は思えた。



ゆっくりと豪奢な馬車が止まると。工場の中から。痩せた翼人の女性リマ・エスヤン、後ろから偏屈そうな初老の男性が出てきた。彼が我等を救う自動人形の産みの親で、恩人の師レノン・ハウチューデンである。英雄王の伯父に当たる人物で、変わり者である。

「リマさん、レノン伯父さん、お出迎ありがとうございます」

可愛らしい笑顔で、にこやかに頭を下げるクライムに。レノンは、実に収まり悪そうな顔をしていた。

「クライム皇子。伯父さんはやめてくれよ。どうにも背筋がムズムズするからさ」

困ったようにそう訴えたが、パッと顔を上げて、柔らかく目を細めながら。

「何を言ってますか!、姉とシンク兄さんが正式に婚約したんです。レノン伯父さんは僕達にとって、大恩あるオーラル叔父さんの親類。十分伯父さんと呼べますよね?」理路整然と口上を述べて、実に押しが強い。あのリルムの陰に隠れているが、魔王の実子である。帝王の素養はあるのだ。

「好きにしろ……」面倒そうにつきはなすが、こう見えてレノンは非常に面倒見が良い。

「……クライム、お茶でも飲むか?」

「はい。いただきます♪」

ツンデレな性格がわかると。付き合いやすい人物であった。



天気が良いからと。外のテーブルで、春の息吹きを感じながらお茶を頂いて。早速メンテナンスを始めた。

「ロノバリエこっちの台に立ってね」

『ワかった……』

工場の空いてる敷地に。自動人形専用の小屋が立てられていて。中にはロノバリエ以外の四体の自動人形が、準備されていた。内三体はロノバリエと色違いの同じタイプである。

「年内にはもう四人に増やせる筈よ」

ロノバリエの視線を感じて答えていた。

『それは……、ウレシイな』

安堵したかのような姿に。リマも思わず涙を拭う、

「リマさん、そちらは……人間に近いようですが?」


どうも自動人形とは、赴きが違うように思った。

「うん、来るべき時に伴い。大賢者様に復活頂く器ですからね。これが上手くいけば四人の肉体もこちらにする予定なの。ねえレノンさん」

仏頂面のレノンを伺う。フンと鼻を鳴らしていた、不器用でいて優しい気持ちが、二人の技術者の中に垣間見て、クライムは微笑み。白騎士は静かに頭を下げでいた。



メンテナンスが終わったら。クライムの公務に従い。護衛任務に追従していた。



一部それを面白く思わない人間がいた……、長年魔王ピアンザの手足となり。時に命をかけて、守って来た近衛である。緑の民達。ことあるごとに影口を言っていたが、ある事件をきっかけに。意識が変わることになった……。




その日……、定期メンテナンスに郊外の工場に訪れていた白騎士を置いて、クライム皇子は近衛を護衛に。元聖帝の国が納めていた町で行われる。収穫祭に魔王陛下の名代として、出席なされた時に。事件が起こる。



昨年の冬。リルム様に魔神が負けてから。西大陸では、モンスターが起こす事件が、大変問題になっていた。

「クッ、クライム様!」ざわめきが上がった。見れば遠巻きに黒煙が見えたのだ。

「近衛隊整列!」

幼くとも帝王の素養が備わっていた。我に返った隊長の1人に命じて、何が起こってるか調べるよう小隊を調査に向かわせた。

「残りは。直ちに住民を自宅に帰宅するよう誘導を!」

「八ッ!」

「クッ、クライム様、どうか避難を」

町長の進言にきっぱり否を突き付けた。

「何が原因か分かるまでは、ぼくが動くと、かえって混乱を招く。また守るべき民を置いて逃げるなど。王族にあるまじき行為だ!?」

白銀に輝く髪を振り乱しながら。力強くきっぱり名言されて、町長ばかりか、彼の私兵までもが息を飲んでいた。

「声を荒立てて。申し訳ありません」

目元を柔らかくして、にっこり笑うと、それは愛らしい笑顔が浮かぶ。

「あっいえこちらこそ……。取り乱してしまい。申し訳ありません、確かにそうでしたな」

壮年の町長は、あのナタクにすら意見を言った剛の人物。元は山賊だった強者である。

「皇子様……。我々を、皇子様の指揮下に置いてください!」

私兵隊長からの申し出に、ありがとうございます。にこやかに答える姿を見た人々は。何時しか焦りが消えていた。



実際クライム皇子の命令は、的確であった。町に妖魔ゴブリンの盗賊が入り込んで、火を着けて周り。混乱が起きた事が分かった。

「直ちにそちらの住民を避難させながらゴブリンの討伐を!」私兵の18名を向かわせていた。事件はこれで終わる……、誰もが思った時だ。

「たっ大変ですクライム様!。オーガの群れが町に迫っております」

物見に出ていた見張りからの急報に。流石に眉を潜めていた。

「陛下に報告は?」 「ハッ、連絡済みですが……」

「あっそうか……」確か今は、魔神討伐と重なったか……ならば、

「急いで広場を開けて、召喚を行う!」

鋭い剣幕に押されて、手早く空き地が準備されていた。

「まさかシン兄さんから送られてきた。固定魔方陣が役にたつとはね……」

クライムは姉と違い。母に似て強い魔力を内包していた。特に得意としていたのが、魔方陣を用いた大規模魔法である。

「開け!」簡単なワードで、決まった魔方陣が展開出来るようにまとめていたのが、他ならぬシンク兄さんである。

簡易召喚魔方陣は。一度きりしか使えないが、こんな時は大いに助かる。

「我が守護者にして、我が剣、我が盾、その名は白騎士ロノバリエ!」



白銀の閃光が走る。クライムの手にあった腕輪の輝石が代わりに輝きわ失い。魔方陣が浮かび上がった。ガチャリと扉が開いた。中からクライムの髪と同じく。白銀の輝きを持った。一体の自動人形が現れた。

「クライム皇子……そちらは?」

見守っていた町長に向けて、信頼を込めた顔で、彼を紹介する。

「彼は白騎士、ぼくが信頼する無双の騎士です」にこやかに答えていた。



それから間もなく。30体近いオーガの群れを。たった一騎の自動人形が、殲滅させる様子をつぶさに見て、クライム皇子の言葉を。それはそれは強く皆が噛み締めていた。




白騎士を出迎えたクライムは、誇らしげにただ。

「ご苦労様ぼくの騎士よ」

白騎士は静かに膝をついて、深く一礼していた。その一件から懐疑的だった近衛兵に。少しだけ認められたと言う……、



エピローグ



あれから、スタンレイ、ブルーワーズ、ベテルローズの三体が加わり。クライム皇子の守護四天と呼ばれるようになるのだが……、それはまだ先の話である。

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