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アリーシアは婚約破棄されたので辺境で幸せになりたい  作者: はるくうきなこ


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58その後の話3(最終話)

最終話投稿です。最後まで応援ありがとうございます。もしもし良かったらいいね。評価よろしくお願いします。次回も頑張りますのでよろしくお願いします。はまなる


 それから2週間後、私達はキルベートに帰って来た。辺境はイエルハルド国に戻され私は女王となった。

 王宮は取りあえずキルベートのキルヘン辺境伯の屋敷を使うことになった。

 まあ、あまりいい気分ではなかったが今は国を再建する事に力を注がなければならない。

 1ケ月後、コルプス国のジョイナス国王即位パーティーに出席することになった。

 もちろん会場にはコルプス国の高位貴族。ジスタル国王、ミタイン国王やウェントス国王も出席していた。

 パーティーは滞りなく和やかに進んで行きどの国ともこれから長い付き合いをして行こうという趣旨で終わりを迎えようとしていた時だった。

 リントはジョイナス国王と談笑していて私は先にジョイナス国王に挨拶を終えて会場を後にしたところだった。

 廊下の一角に薄暗いところがあった。その暗い空間からいきなりナイフがギラリと光ったのが見えたと思ったら。

 「あんたのせいよ。全部あんたのせい!死んでちょうだい!」

 叫びながらそのナイフが迫って来た。

 「危ない!」

 私は横から出て来たリントに突き飛ばされた。

 「グフッ…」嫌な声が響いた。

 目の前でリントがぐらりと倒れる。

 「リント!」私は彼に駆け寄るがまだそこにはナイフを持った女がいた。

 ミリアナだった。

 「ミリアナ?どうしてあなたがここに?」

 その瞬間ミリアナは私に襲い掛かった。

 「防御!」とっさに防御魔法をかける。

 ミリアナはそれ以上こちらに来れないらしく悔しそうな顔で「殺してやる!あんたなんか死ねばいいのよ!」と叫ぶ。

 そこに騎士が駆け付けた。すぐにミリアナは拘束されて連れ出された。


 「リント?」彼が倒れた床にはおびただしいほどの血が流れ出ている。

 私を庇って刺されたのだ。ショックで息が止まりそうなほど苦しい。

 それなのにリントは…

 「アリーシア怪我は?」擦れた声で気遣うリントに胸が熱くなる。

 「ばかよ。私を庇って怪我なんか…すぐに治癒魔法を…」

 リントはか細く息を吐きだして言う。

 「だって‥君が怪我をしたら‥誰が治癒魔法‥を‥使う?…俺なら…君が‥治して‥だろ?」息も絶え絶えにそんな事を言う。

 「もう!リント愛してるわ」

 私は泣きじゃくりながら治癒魔法を彼にかける。淡い光が彼を包み込んで傷は見る見るうちに閉じて行った。

 「やっぱりアリーシアはすごいな」そう言ってリントは立ちあがろうとした。

 「まだ起き上がっちゃだめよ。こんなに血が流れたんだから…回復魔法を」

 そう言ってさらに回復魔法を施す。

 「これで完璧だな」リントがにやりと微笑む。

 「もう、だからってこんな事二度としないでね。私の命がいくつあっても足りないわ」

 「ああ、君が誰かに襲われるなんて事二度とないようにしなきゃな」

 「そうじゃなくて!もぉぉ、リントったら」

 私はたまらず彼に抱きつきキスをする。

 そこにジョイナス国王やエクロート達が駆け付けて、それからまた大騒ぎだった。

 それでもパーティーは無事終わり私たちはタウンハウスに戻った。


 ミリアナは魅了を使って逃げ出したらしかった。

 彼女は一国の女王暗殺未遂でコルプス国で処刑となった。

 私はそんな事までしなくていいと言ったのだがジョイナス国王はそれは出来ないと突っぱねられた。

 まあ、それもわからなくはなかった。もし逆の立場だったら私も同じことをするはずだ。


 それからは毎日執務やら診療所の事やら結婚式の準備などで大忙しだったがすごく充実した日々が続いた。


 そして半年後リントと結婚式を挙げた。

 リントは私が初めてだと知っているのでそれまでは我慢すると言っていた。

 これまでも一緒に寝ていたので彼が後ろから抱きついてくるとお尻の辺りに当たる硬くて熱いものがそれだとはわかっていた。

 何度かキスをしてそのキスが激しくなり口内を蹂躙するとリントが無意識に私の脚の間に股間を擦り付け彼の股間がどくどく脈打っている感覚が伝わった。

 そんな風になるとリントは必ずベッドから一度離れて着替えをしてまた私を抱きしめて眠った。


 初めての夜、リントとお酒を飲んだ。私は少し酔ったらしい。彼に抱かれてベッドに連れて行かれた。

 何度もキスされて彼が優しく話しかけて来る。

 「俺のアリーシア。今夜は君を俺のものにするよ。きっと最初は痛みがあるだろう。俺も女は初めてじゃないが久しぶりだし初めての女は経験がない。優しくつもりだけど…」

 私はふわふわした気分でこたえた。

 「そんなのいいの。私をあなたのものにしてリント…」そう言って彼にしがみ付いた。

 そこから後は嵐のように薄いナイティをはぎ取られ激しく求められた。

 唇が身体中を這いまわり信じれない所にまで唇が触れた。

 「恐がらないで…アリーシア。俺を受け入れて…」

 そんな言葉を囁かれ私はリントの全てを受け入れた。

 甘い感覚にチリッと痛みが走って彼が私の中に入った。

 「アリーシア愛してる。死ぬまで離さないから…」

 蕩けるような言葉が耳孔に注がれて痛みは快感に変わって行った。


 その後は毎晩リントに愛され快楽を与えられ私は溢れる幸せを毎日感じた。

 毎日快楽を与えられるようになったが彼は避妊を忘れなかった。

 私たちで話し合って少なくともアランがもう少し大きくなるまでは子供を作らないと決めたからだ。



 そうそう、聖獣は白翼騎士隊にユニコスの番を、バカルにはアギルとサラと赤ちゃんをイエルハルド国にはガロンとエリーを置くことになった。

 もちろんイエルハルド国の希望があればいつでも聖獣は返す約束だ。

 いずれは聖獣が番になり新しい命が宿ることを期待している。

 それにジョイナス国王が聖獣を借りるんだからと多額のお金を援助する事も約束してくれた。

 私は女王となっても相変わらず時々診療所で働いた。もちろんアランのママも完ぺきとはいかないが頑張っている。

 リントは女王の夫としての初仕事として樹海の神殿の再建に張り切っている。


 そして2年後アランも7歳になった。私達は子供を作ることにするとすぐに妊娠をした。きっと女の子なのは間違いない。

 すでにクレアがお世話は任せて下さいと張り切っている。

 そしてエクロート叔父さんはジョイナス国王の側近を引退してイエルハルド国に来ると長年の恋を成就させた。

 相手がクレアだった事にみんながもっと早く出来なかったのかとぶぅぶぅ文句を言ったが、ふたりの幸せそうな顔を見たら何も言えなくなった。

 神殿は無事に完成して魔源石はすっかり元の輝きを取り戻していた。

 国は昔以上に潤い豊かな実りがあった。

 イエルハルドは人々から、<幸せの国>とまで言われるようになっていた。




                           ~おわり~



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