エルフの少女
「耳が...長い?」
俺の問いに白髪の少女は答える。
「耳が長いのは当たり前でしょ? 私はエルフですからね」
自信満々にそう呟く彼女の年齢は身長的に俺や蜜香よりも少し下に見える。
恐らく中1〜3くらいだろう。
しかし、今はそんなことよりも大切な事がある。
「はっ? エルフ?」
「なに? おかしな事を言いましたか? 貴方達は人間でしょ? この辺りの森に入ってくるなんて薬草でも探しているんですか? それとも魔力適性の高いエルフの勧誘? もしも後者なら貴方達は冒険者ですよね!?」
目を輝かせて言われるが、俺たちは冒険者ではない。
「悪いが違うな」
「なんだ...、そうなんですか...」
俺たちの答えを聞いて肩をガックリと落とす彼女。
と言うか冒険者って単語が出てくるって事は、ここはラノベみたいな世界観であっていると言う事だろう。
「では、冒険者でもない人たちがこんな何もないエルフの森に何のようですか? 木材が欲しいのなら村長に掛け合ってくれれば少し分けて貰えますよ!」
なんだか歳の割にしっかりした娘だなと言う印象を受ける。
「人を探しているんだ」
「人?」
「ああ、桜色の髪をなびかせる俺たちのような服装をした女の子を見ていないか?」
「貴方達のような服を着た女の子...?」
少し考えると彼女は答えました。
「もしかして愛川様の事ですか?」
と言うとんでもない言葉が炸裂した。
「愛川結美を知っているのか!?」
思わず彼女の肩を握ってしまう俺。
「ちょっと! 初対面の女性の肌に触らないでくださいよ!」
パシンと手を叩かれたが、こればっかりは仕方ない。
興奮している俺を見た彼女の表情が少し怖くなったが、愛川結美と言う名前を知っているという事でエルフの村へと案内されるのだった。
 




