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時雨の夜に鳴く猫よ  作者: sky
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プロローグ2

一寸先が闇に包まれ、足を前に出すごとに少しずつ景色が露わになって行く。


後方には彼女に興味すら示さない無気力な同胞達。


死に近づくその足をまた前に進めた時、静寂に支配された空間にけたたましく一匹の獣人の怒号が響き渡った。


「私の名を呼ぶ声がする・・・」


前へ進めようとする看守を突き飛ばし、彼女は声の方向へと走った。


「1018番が逃げた‼︎ 追え‼︎」


一心不乱に駆ける白猫を看守たちが見逃すはずもなく、彼らは腰に装着していた拳銃で少女に

有る限りの銃弾を撃ち込もうと狙いを定め発砲する。


しかし彼女は獣人である。そう簡単に当たりはしない。


酷く冷たい床を蹴りながら声だけを頼りに走った。


音源にたどり着いたそこには彼女の母親が立っていた。


「やっぱり貴女がただ殺されるのなんて見たくない‼︎ 逃げましょう、一緒に‼︎」


普段は大人しい母がまるで別人のように血相を変え、彼女の手を握り全力で駆け出した。


もちろん当たりは看守だらけ。辺りには銃弾の雨が降る。


流石の獣人も無傷では済まなかった。


二人共、出口らしいところに着くまでには血だらけになっていた。


看守は前からも後ろからも迫る。


このままでは死は免れない。


「貴女は・・・生きなさい・・・‼︎」


母は人相を変え、姿を変え、相手を威嚇し始めた。


捨て身の迫力に看守たちは一瞬たじろいだ。


その瞬間を見逃さず、白猫は出口を抜け出した。


彼女はひたすら走った。只々走った。


母の激昂した姿、母の言葉が心に焼きついた。


母の安否よりも今は生き延びることを優先した。


やがて白猫は力尽き、人間世界の路上に倒れこんだ。


「ごめんね・・・私、生きれなかった・・・」


白猫の眼から一粒の涙が流れ、それは彼女の意識を絶った。

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