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プロローグ1
彼女の暮らす場所はいつも暗く、なんとも居心地の悪いところであった。
苦しみに喘ぐ同胞達の声が、この日はいつにも増して大きな耳を劈いた。
「人間」と言う生き物が作り出した最悪のシステム。
獣人達が支配され、人間に必要とされなかった者は死刑にも似た宣告をされる。
《殺処分》
ここにいる者達は日々死の恐怖に襲われながら生きている。
そしてそれは長い白髪の美しい彼女も例外ではない。
「おい、白猫。出ろ。時間だ」
彼女は無言で立ち上がり、後方にいた母に微笑みかけ、その場を後にした。
看守と共に歩くコンクリート製の床が、裸足の彼女にはかなり冷たく感じられた。
人間のためだけに排除される獣人達はみな、此処でいつも声をあげる。
家族に対する別れの挨拶とも言うべきものだろう。
「母さん・・・ごめんね・・・」
彼女は小さく呟いた。




