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後編

彼の名前はそっちの星ではどうやら地球で言う〟夜〝と同じような意味らしいのでまんま夜、と呼ぶ事にした。


あと、彼の星はここから地球のスペースシャトルで千年かかっても辿り着けない所にあって、宇宙の統括連合代表星らしい。


うん、聞けば聞くほどファンタジー。

スーツ姿で至極真面目にこれを話す美形って、これどんな夢ですか早く覚めてくださいお願いします。


「というわけでこちらでお世話になります、不束者ですがどうぞよろしく」


「はぁ…ってどんなわけだ!」


半分トリップしていた私を引き戻すくらいには攻撃力抜群な言葉に思わずツッコむ。


「この星の一般階級の文化を調査するのが私の仕事ですので」


「NASAを通してください」


「もちろんこの星のトップとも交流はしています」


なにそれ初耳すぎるんですが。


「いや、まあとりあえずどこの洋画ですか的なそれはおいておくにしてもうら若い女性の独り住まいに男、しかも初対面が上がりこむのは如何なものかと…」


「一応ご両親の許可もとっていますが」


「あののほほん二人組め!!!」


こいつ事前に外堀埋めてきやがった!

知能犯か、やる気なさそうな目してるくせに


「大体いきなり宇宙規模の話されても…」


スーツ姿だし。

もっとこう、映画みたいなコスチュームだったらまだよかったかもしれない。

あ、でもそれはそれでかなり痛いかも…


「私がこの服なのはこちらの正装だと聞いていたからですよ」


「今のは確実に口に出てなかったよ?!」


もしや心が読めるとかそんな反則的な能力持ってるとかじゃないだろうか。

そうだったらかなり恐ろしい。

自称宇宙人だ、涼しい顔してプライバシーを侵害しているかもしれない。


「そんなに怯えないでください。一応言っておきますが私に他者が考えている事をよむような能力はないので」


ただあまりにも貴方の感情が顔に出ていて分かりやすいだけです、と言い切る男…夜に頬が勝手に引きつる。


お上品に湯呑に手を添えて音も立てずにお茶を飲む目の前の自称宇宙人。

くそう、一般階級の調査だかなんだか知らないけど馴染んでるよ、不必要だよそんな調査。


「それに…拒否権は無効になっておりますので私がこちらにお世話になることは既に決定事項です」


「なんの押し売りですか!!なんの!!」


「先程名前をつけてくださったではないですか」


…は?


「名前っていっても夜が利便性がとか云々言うから」


「拒まれるのは少々不愉快でしたので」


…あん?


「私の星では気に入った異性に名前をつけてもらうことがつがいになる条件ですので」


もちろん調査内容にも入っていますが、とほほえ…いや、笑っている。あざわらっている!!


「聞いてない!」


「言ってませんからね」


「クーリングオフします!!」


「返品は不可です」


いつの間に立ったのかずいずいとこちらに迫る夜にずりずりと後ずさる私。

とん、と背中に軽く衝撃がきて青ざめる。


しまった壁だ!


「一目惚れ、というものですかね。とてもぼけっとした寝顔が嗜虐心をダイレクトにくすぐりまして」


「ほめてない!それほめてないよ!?」


「可愛らしいと言っているのですが、ああ、怯えた目もたまりませんね」


「貴様それが素か!!!」


「喚いても結果は変わりませんよ」


がっつりと両手で逃げ場をブロックされて気分はドナドナ。

ていうかデフォルトになりかけてた無表情はどこへやったなんでそんな肉食獣みたいな目でこちらを見るんだ!


「これから、末長くよろしくお願いします、ね?」


強引に重ねられた唇がまるでゴングのよう。



ああ、サンタさん。

今更いい子にしてたからプレゼント、なんてこと言いません。

言わないから。




「この宇宙人どっかやってええええ」


「さんた、とはなんですか?まさか男の名前ではないでしょうね」


「男性だよどっかの宇宙人と違って子供達に夢を配る優しくて素敵なんぎゃああああ」


「さて、地球人が私の母星でのお仕置きに耐えられるか調査しましょうか」








メリークリスマス!

返品は受け付けません。

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