13、ダンジョン入り口
ダンジョンの中は薄暗く、明かりなど一つもないため、戦闘の冒険者が一定間隔に明かりをともしていく。俺らは少し乗り遅れたためそれについて行った。
先頭を走っているのはソロ冒険者でも最も野蛮で最強である人であった。
確かツヨシと名乗っているそうな。
筋肉質というわけでもないのだが、その体格からは見えないほどの力を持ち、かなり動きが早く正確である。
しかし度々大会に出ては相手選手を半殺しにするという戦闘狂だ。
しかし筋力増加の異常薬を飲んだとも噂があり、ネタが絶えない人物でもある。
正直そんな人たちと行動するのは少し気が引けた。何か巻き込まれそうなので怖いのだ。
しばらく進んでいくと、左と右に道が分岐していた。灯りは左に行っていて、皆そちらに着いていったのだろう。
しかし俺は、右に向かうことにした。
それに気付いたシンフォがこちらに戻ってきては話しかけてきた。
「あれ、左じゃないんですかー?」
「右にもお宝があるかと思って」
「ここは群衆についていったほうが大体特ですよ。それに先頭集団の人たちが警戒してましたし」
「……やっぱそっち行くわ」
話を聞いて直感でやばいと感じ、鳥肌が立ってきたので、彼女の言うことに従うことにした。死んでしまっては元も子もないからな。
その後の集団もこちらについてきたが、やはり一部は逆を行くチームもあるらしい。
折角なら俺も行きたかったなぁ、とおもいながら多い方を走っていくのであった。
その後は順調に進み、やがて次の層へ行くための階段を見つけたらしい。
それに俺らはついていくだけで、正直あまり見どころはない。ほとんどシンフォと近況の話をしているだけだ。つまり暇。
だが、2層に行ったとたんに事件は起きた。
2層に降り立つと、戦闘集団が何かを見ては止まっていた。
これは、絶対になにかいるなと誰もが察して、俺も警戒しながら道を進んだ。
しかし後ろから見てもあまり見えないため、横に逸れて集団の中に入っていくと、その恐ろしい姿が見えていた。
これって……!!
「ファイアドラゴンじゃないか!!」
「生命の息吹が倒したんじゃないのか!?」
いや、生命の息吹で、確かにその首を取った。つまりこれは……
「別個体だ。」
「別個体ですか?!」
「あぁ。なにもファイアドラゴンは世界に1体だけではない。なん百なん千もいる。」
「恐ろしいですね……今は生命の息吹はいないですし……しかも」
「あぁ。おそらくだが、あの個体よりもずっと強い。母体だろう。」
ここにいる冒険者たちを総動員しても、おそらくほとんどは死んでしまうだろう。残るのは最強格のいくらかの人達のみ。
それに、この入り口が開いたということは、前のダンジョンとも繋がっている。
これはかなり異例の事態で、100年に1回起こるか起こらないかくらいの確率だ。とにかくめずらしいことだが、同時に最悪なことでもある。その最悪の中でも一番最悪なのが、入ってきたダンジョンの割合が高いことだ。
さっきの分かれ道を思いだし、俺は急いで走っていく。
他にも気づいた冒険者が、後ろからそれについてきた。シンフォも後から戸惑いながらも俺について来てくれた。
「ど、どうしたんですか!?」
「まずいかもしれない。一言いえば、このダンジョンは初心者向けじゃない。」
「え、えぇ!?」
「むしろ真逆の、難関ダンジョンかもしれない」
「えええええ!?」
難関ダンジョン、見るからに難しく、Sランクでもなかなか最深部まで攻略できないレベルのダンジョンである。Bランク以下の冒険者は絶対死ぬ。
状況を察してくれたシンフォはそれ以降質問はなかった。




