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規模 ■
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特殊 ■
マスター 文坂波等羽
現在、文坂波等羽には二つの道がある。
ひとつは、脱出不可能密室の作成だ。
文坂波等羽は存在可能性の重複が行える。
今は出力を絞っているが、本来はそのような特殊な在り方をしている。
これを、クラストにも行う。
存在多重化クラストの作成をする。
この多重化クラストは、脱出条件をクリアしたとしても出ることができない。
一つをクリアしても、他のクラストの条件を突破していない為だ。
すべてを同時に解決することは、文坂波等羽本人にしか行えない。
どれほどの卓越した人間であろうと、原理的に脱出ができない。
永遠に閉じ込められる。
完全な密室の完成だ。
そこに閉じ込めたい相手は、もう決まっている。
もう一つは、クラストを配るもの――クラストマスターのマスターを捕獲するための密室の作成だ。
君は一人の人間がこれほど多くのクラスト被害に遭うことについて、不審に思っている。
その原因は記憶ではない。
クラスト関連の記憶の大半が消えた後であっても、君がセンパイと呼ぶ人の被害が変わることはなかった。
また、本人の性質でもない。
君が調べた限り、他の類似例は少ない。関係者を巻き込む性質を含めれば、唯一例と言っていい。
君が注目したのは、荒引真だ。
共にいる間、クラスト被害の発生率が大きく向上した。
いったいなぜ、このような変化が生じたのか?
君は「この件における犯人が行ったに違いない」と考えた。
なぜこのようなことを行ったのか?
「おそらく嫉妬である」とシンプルに考えた。
嫉妬という感情をあまりよく理解できていない君だが、推測はできる。
荒引真とよく似た人間が、かつてセンパイの傍にいた。
今はもういないソイツが、■戸■という男を――君にとってのセンパイを攫おうとしている。
ソイツは、存在を消した。
完全にいなくなった。
だが、執着だけは残った。
自分とよく似た人間が傍にいることに、我慢ができなかった。
ソレは、すべてのクラストの支配者だ。
どのクラストであろうと構わない。ただ閉じ込め、得ようとしている――そう理解した。
君はソイツを閉じ込める為のクラストを作り出そうとしている。
「クラストマスターのマスター」を封じるためのクラストを。
捕獲距離をさらに伸ばし、クラスト脱出条件をより複雑化させ、他者の人格を奪う構築を目指している。
悪いことは言わない。
止めるべきだ。
この二つの道は、どちらも破滅につながっている。
クラストの多重化は人間の領域を越えている。
以前、同じようなことをした人間は存在を揮発化させて消滅した。
封じ込めは論外だ。
その方法の支配者を、その方法を使って閉じ込めることはできない。
これを言ったところで、君が聞くことはないだろう。
それでも、忠告を行おう。
君は否定するだろうが、ワタシにとって君は後輩のようなものだ。
あるいは、これから後輩となる存在だ。
多重化したクラスト。
さまざまな可能性を内包するもの。
その内部は誰も見ることができない。
仮に、その内部に意思が発生したとすれば。
それは、人間と何が違うのだろうか?
了
少し迷いましたが、ここで一旦終わりです。
中途半端に書いた話がいくつかありますが、さすがにもう推理とカテゴライズできそうにないので。
仮に書くとしたら中編の投稿になると思います。
最後に、ここまでお読みいただきありがとうございます。
感想、評価、誤字脱字報告などあれば助かります。




