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異世界からの転校生

 白沢「はぁー、疲れたー・・・」


 宝華「おつかれ様ね」


翌日、白沢達は学校に来ていた。なんでも昨日まで訓練し続けて、体に疲労感が残ったまま登校した結果、朝からダルく重い感じが残っている。宝華は元から体を鍛えている為、疲れは感じないようだ。ちなみに僕はあるものを夢中で開発している為、徹夜で寝不足だった。だから、僕も別の意味でだるい。


黒季「ぐー・・・」


宝華「今日、1限目からジェシカ先生」


黒季「アギトゥッ!?」


今日は1限目から怖い先生と知らされたので、黒季は目覚めてしまった。この時だけは疲れが一瞬吹き飛んだ気がした。そう言えば、今日は学校についてからみんな何だか騒いでいる気がする。何か特別な行事もある訳ないし、それが何なのかも分からない。みんな窓から外を覗いている。試しに覗くと、校門から入った場所に生徒達が両端にたむろしていた。みんな中央にいる何かを見ている。そこに何があるかは遠くからは分からないが、丁度近くにいた多村潤ことT.J.に話を聞く事にした。


多村「よぅ、黒季君!!今日はまたすごい事が起こったぞ!!」


黒季「???」


多村「何とな、うちの学校に帰国子女の転校生が来たんだ!!!」


黒季「は、はぁ・・・」


帰国子女、だからか。それは確かに注目するな。とはいえ、この学校は海外の生徒が数人いるから別に驚く事ではないけど。


多村「何だよ、その顔は。その帰国子女、超絶美人らしいぞ!!しかもエストニア人らしくてな、誰もが目を引く美少女らしいんだぞ!!」


黒季「は、はぁ・・・」


なるほど、美少女だからか。だから男女問わず注目の的になっているのか。というか、また転校生かよ。オリヴィアだけでも十分なんだが。とはいえ、同じクラスになる事はないから、安心だけど・・・。


多村「その反応は何だよっ!!ここだけの話、実はな、このクラスに来るんだよっ!!!」


黒季「は、え・・・?」


思ってもみなかった事だ。またこのクラスに1人増えちゃった。しかも、外国人で東欧美女が入ってきた。もう、不安しかない。僕が目指す学園ライフが1つ1つ崩れていく。頭の中で土砂崩れが起こってしまった。


白沢「えっ!!転校生がうちにっ!?最高ーっ!!!」


どこから聞いたか分からないが、白沢が横から入ってきた。何やら、美少女がやって来た事に絶賛大興奮。それがトリガーになったのか、みんな大喜びだった、1人を覗いて。黒季は静かに席に戻り、顔面を机に叩きつけた。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


数分前、外ではいつも通り、友人やクラスメイトがおしゃべりしながら校舎に向かっている。しかし、1人の女子生徒が校門を潜って姿を現した途端、その場の空気が変わった。彼女を目にした者は驚きと感嘆を露わにして、その姿を目で追った。日本人とは思えないまっさらな肌にサファイアのような輝きを放つブルーアイ、朝日を受けてキラキラ光る白い髪。エストニアの母と日本人の父を持つパーフェクトハーフ、彼女の名は"ソール・ヴァレンティーナ・白雪(しらゆき)"。先週の転入試験で見事優秀な成績を出した事で、このアンデルセン広凌に入学した才女である。


女子生徒A「ねえ、あれが噂の転入生っ!!なんか可愛くてきれいっ!!!」


男子生徒A「な、何だ、あれはっ!!何て神々しいんだっ!!」


女子生徒B「すごいっ!!まるで妖精みたいっ!!」


男子生徒B「この学校、最高すぎだろっ!!ここに来て良かったーっ!!!」


誰もが目を奪われ、興奮し発狂する。しかし、彼女はそんな事を気にせずゆっくり歩いて行った。最初は職員室に行って、そこから自分のクラスに行く流れだ。ソールは職員室に向かった後、担任の泉夢花こと夢ちゃんについて行きながら、自分のクラスに入った。クラスに入った途端、クラスからも歓喜と興奮の声が上がった。


ソール「こんにちは」


女子クラスメイトA「きゃあぁぁぁぁーっ!!!ボンッ!!!チーン・・・」


1人は声をかけられて気絶した。


男子クラスメイトA「ど、どうも、これからよろしくお願いします!!!」


ソール「よろしく」


男子クラスメイトA「うおぉぉぉぉぉーっ!!!ガシャーンッ!!!」


1人は暴走して窓を割る勢いで走り、そのまま飛び降りた。大丈夫?その後、チャイムが鳴りみんな席に座る中、ソールは教壇の前に立って自己紹介をした。


ソール「ソール・ヴァレンティーナ・白雪です。日本に来たのは初めてですが、これからもよろしくお願いします」


その言葉でほとんどの人が射止められたのか、みんな魂が抜けていた、1人を覗いて。しかし、僕が見ても確かに目が離れられない美貌だな。まるで神話に出てくる美の女神にそっくりだな。


夢ちゃん「では、席は色田君の後ろに座ってください」


後ろ?ああ、確かに1席空いていたな。あれ彼女の席だったのか。ソールは夢ちゃんに礼をするとすぐさま僕の後ろに座った。海外からの美少女、これが僕の後ろの席に座るとは誰が思ったろうか。みんな血の涙を流しているのは気のせいだろうか。


ソール「・・・?」


黒季「ど、どうも?」


ソール「どうも」


僕は目が合ってしまって、咄嗟に挨拶してしまった。これが有罪にならなければいいが・・・。


黒季(うーん・・・うん?何だ、何故魔力が?)


その時、微量だが魔力の気配を感じた。このクラスに魔力を持っているのは僕と白沢、宝華、氷山、オリヴィアしかいない。というか、氷山は同じクラスだったと言う事にさっき気づいた。本当に陰が薄いなっ!!それからと言うもの、再びクラスは賑やかになった。昼休憩になれば彼女の姿を一目見ようと、他学年の人も集まっていた。もう扉の前では生徒達がすし詰め状態になっていた。もちろん簡単に出られる訳ないので、満員電車のように人混みの中で必死に歩き、やっと屋上に着いた。


白沢「待ってたわよ!!それにしても、すごいわね!!」


夏菜「あれだけ賑わっていればね。私のクラスからも何人も見に行ったわ」


灰川「しばらくは毎日大変になるわね。まあ、ここしばらく大変だったからね」


赤城「あの訓練は地獄でしたわ。私は数十時間炎の中に、熱湯風呂に浸かりましたわ。もうのぼせて途中、死にました」


オリヴィア「私ハ沢山ノゴーレムト戦っタネ・・・シンドカッタネ」


地球にいても、異世界にいてもみんな疲労感を隠せていなかった。いくら強くなる為と言っても、マザーは加減というものを知らない。あれはどうにかしてほしい、自分で作っておいて。今一瞬、寒気がしたような気がするのは気のせいかな?


黒季「うーん、ソール・・・」


宝華「何惚けてるのよ?」


黒季「さっきの転入生から微量だけど魔力を感じた」


氷山「ま、魔力っ!?」


黒季「しかもどこかで感じた事があるような、ないような」


灰川「どっちよ」


白沢「つまり、彼女は外国人でなくて、異世界人って事?」


黒季「さあね。微量だから調べるのが難しい。確証もない。ただ、何か怪しいと思ってね」


夏菜「何が?」


黒季「なんで今頃やって来たんだ?来るチャンスならいくらでもあったのに」


宝華「そんなの個人の自由でしょ?あんただっていきなりやって来たんだから」


黒季「うーん、それもそっか」


突如現れたソール。そんな彼女に疑いをもつ黒季。この2人が再び出会うのはそう遠くなかった。地球ではなく、異世界で。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


その日の放課後。ソールは自宅に帰る準備をしていた時、スマホから電話が鳴り出した。電話の相手はアートルムからだった。


ソール「依頼ですか?」


アートルム「うん、急に悪いね。ターゲットは取引相手のハピーロ。あいつら、こっちに尻尾振っておきながら、裏では別の奴らと取引していた。契約書には僕達しか取引しない約束だったのに」


ソール「場所はどこですか?」


アートルム「ロッソ法国だ。かなり難しいが、やってくれるか?」


ソール「ロッソ法国・・・」


つまり暗殺の依頼をされて来た。内容を聞いたソールは電話を切ると急いで帰宅した。自宅は学校から数キロ以上離れた場所にあり、良くも悪くもないマンションの4階に住んでいた。名義人はソール。報酬金の一部を支払って部屋を買ったのだ。帰宅後、玄関で靴を脱ぎ自分の部屋に戻ろうとした時、突然誰かに話しかけられた。


???「お帰り〜」


ソール「姉さん・・・」


ソールが姉さんと呼ぶ人物、彼女の名は"アイネ・ヴァレンティーナ・白雪"。アンデルセン広凌学園の2年生で生徒会書記をしている。ソールは彼女を姉さんと呼んでいるが、実は血縁関係はない。それはお互い知っている事だが、本人達も実の姉妹のように大事にしている。


アイネ「今日は学校どうだった?」


ソール「分かっているでしょ、今日は大変だったわよ」


アイネ「そりゃあ、ソーちゃん美人で可愛いから這い寄ってくる人も沢山いるじゃない」


ソール「姉さん、私今急いでいるから」


アイネ「また依頼?」


ソール「!!!」


アイネはソールが何をしているか分かっていた。プラチナキラーの正体を唯一知っている人物だ。アイネはそんな彼女を見ていつも不安がっていた。


アイネ「ソーちゃん、お姉ちゃんね、怖いのよ」


ソール「大丈夫、姉さんは私が守るから。姉さんは何も心配しないで」


アイネ「ソーちゃん、私は大丈夫よ。お姉ちゃんはアートルムにいつも暗殺の依頼を引き受けているから、ソーちゃんを殺し屋にさせたくないのに・・・」


ソール「姉さん・・・」


アイネが何を言おうとしたかは分かっていた。しかし、アイネを危険に晒したくない彼女は「ありがとう、大丈夫よ」と事をかけて部屋に戻った。部屋に戻ると鞄を置き、壁にあるボタンを押した。すると壁が開き出し、中には白金の鎧に刀、グライダーがは飾ってあった。それを取り出すと制服を脱ぎ、鎧に着替えてマスクを被って刀を懐に装備して、グライダーを持って黒い緞帳(ブラックカーテン)を出して中に入って行った。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


アインス「ノワール、奴らの情報が入ったわ」


ノワール「ご苦労、今回はどこだ?」


ツヴァイ「ロッソ法国です。そこでハピーロという組織を潰すそうです」


その頃、黒季はあるビルの屋上でアインス、ツヴァイ、ノインと話していた。アインスから情報があると言う話を聞き、彼女達を地球に呼び寄せた。


ノイン「ノワール様、これを見て欲しいのですが」


ノインはある写真を見せて来た。そこに写っていたのはプラチナキラーの姿だった。ノインによれば、今回動くのはプラチナキラーらしく、ロッソ法国の裏社会にある組織を1人で潰すらしい。


ノワール「1人だと・・・」


ノイン「はい、小鳥ちゃんと動物ちゃんが話してくれましたわ。彼女はたった1人で裏組織を幾つも壊滅させた事で危険人物にやっているそうです」


ノワール「なるほど、だからあんな実力を」


ノワールは1度戦った経験があるから、彼女の実力を知っている。ただ、あの時はすぐ逃げられたからあんまり戦えなかったが、今回会った時は全力で挑んでくるつもりだろう。


ノワール「腕が鳴るな」


ツヴァイ「私達はこれからどうすれば?」


ノワール「お前達に任せる。だが、プラチナキラーは我がやる」


丁度風が吹き、コートが優雅にはためいた。まさに大ボス感満載の演出だ。


アインス「分かったわ。こっちは私達で動くわ。また何か会ったら連絡するわ」


アインス達はその後、ノワールの出した黒い緞帳(ブラックカーテン)の中に入って行った。その後、しばらくビル下の街並みを見下ろした。


ノワール「さてと、宿題するか」


ノワールはそのまま家に帰った。

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