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サファイアVSポワソン

 ミニストにて、冒険者ギルドにエリザベスもといエリーザ達冒険者パーティーが集まっていた。エリーザもといエリザベスはまた城から脱走したようだ。そんな彼女にスターバがある質問をしてみた。


「どうやって城から抜け出したの?あんな監視の厳しい中じゃ出られないと思うんだけど」


するとエリーザは顔をニヤけながら


「ふっふっふっ、実は監視係に脱走係がいるのよ!!」


と自慢げに話していた。いや脱走係って何っ!?みんなはそこに突っ込んでしまった。しかしよく脱走係を作ったもんだな。何だか複雑すぎて分からなくなった。するとテリアーロは本題に取り出した。


「それは置いといて、今日はジャイアントラビットの討伐の依頼が出ましたわ」


ジャイアントラビットはその名の通り、とても大きい兎だ。ただ見かけによらず、初級のクエストとして扱われているため駆け出しにはうってつけだ。しかしレベルは10以上はないと難しい。エリーザのパーティーのレベルは団長エリーザlv.10、僧侶スターバlv.11、魔法使いテリアーロlv.11、狙撃手タリーlv.11とギリギリあるようだ。


「まさかコツコツと依頼をやってモンスター討伐をたくさんやってここまでくるようになったとはね」


「いやあんただけ10なんだけどね」


「私はただあなた達のために任せているだけよ」


「そこは人任せにしないっ!!」


「・・・すいません」


テリアーロに怒られてエリーザはシュンとした。4人は早速準備を始めて討伐にいった。場所はこの国からちょっと離れたセイコマットという草原だ。そこがジャイアントラビットが良く出る場所だ。


「改めて見ると広いわね」


「何だかこんな場所にもモンスターが出るなんて嘘みたいだわ」


テリアーロとタリーは感動していた。しばらく歩いていると、早速ジャイアントラビットが現れた。討伐数は10体だったが、その倍以上はいた。みんな日向ぼっこをしたり、草を食べていた。


「あの数を討伐するなんて・・・」


「依頼には10頭でいいって書いてあったから10体討伐したらそこから逃げるわよ」


心配するスターバをよそにエリーザは励ましていた。早速タリーが弓矢で一番大きく厄介そうなジャイアントラビットの頭を射った。すると頭に命中して苦しみ始めた。それに気づいた他の兎達も何が起こったのか分からなくなり、混乱し始めた。その隙に他の3人が立て続けに兎達に攻撃し始めた。僧侶のスターバは攻撃、防御魔法をかけて、テリアーロが魔法攻撃、エリーザが剣で攻撃し始めた。次々に兎を倒し始めて、いつの間にか目標の10頭以上を遥かに超えてしまった。兎達が一目散に逃げていった時には夕方になっていた。その後、死体となった兎達の体からモンスターの核である魔石を取り出した。これを売って報酬金を貰うのが冒険者の仕事だ。また魔石の他に角や骨などのドロップアイテムも出てくるが、今回はなかったようだ。


「今日も疲れたわ。これでレベルが上がってくれたら嬉しいわ」


エリーザが全てを拾い終わって帰ろうと後ろから何者かが突然襲撃してきた。全身真っ黒で仮面をつけて、剣や銃などの武器を持っていた。突然の襲撃だったため、帰る準備をしていた彼女達は武器を出す暇もなくやられてしまった。


「「「「きゃぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!」」」」


爆発の爆風でみんな飛ばされてしまった。恐らくレベルは彼女達より上だろう。


「こ、こんなモンスター、見たことがない・・・」


「い、一体何なの!?」


エリーザとテリアーロは混乱してしまった。まともに攻撃を受けたため、体は動けなかった。すると奥から女性らしき姿が現れた。


「あ〜ら、ここに王女様がいるじゃない?」


「ど、どうして私の正体を・・・」


その女性はエリーザの顔を見て、一目で王女と分かったらしい。正体がバレたエリーザはただただ怯えていた。


「ここにあの女がいないのは残念だけど、せっかくだから王女様とそのお仲間も回収しようかしら?実験には役立ちそうだし」


そう言って女性はエリーザ達に近づいていった。エリーザ達は足をやられてしまったために上手く立てなかったので、うつ伏せのまま後ろに後退りしていた。


(お願いっ!!サファイアっ!!)


エリーザが心の中でそう思った時、奥から砂埃が見えた。次第にこっちに向かって行ってて、やがて影が見えてきた。そして走りながら、何やらボソボソと喋っていた。それを見た女性は


「ん?まさか・・・」


とどうやら何かに気づいたようだ。そして砂埃が充満した所で


疾風一閃(しっぷういっせん)


と唱えた。すると次第に風が吹いてきて、やがて台風みたいに風が強くなり黒いモンスター共を吹き飛ばした。やがて風が消えたので確認すると


「全く、大丈夫ですか、姫様」


とエリーザに喋りかけてきた。その言葉を聞いたエリーザはハッとした。なぜならその声の主は既に知っている人だからだ。


「サ、サファイア・・・」


そう、サファイア騎士団団長サファイアだ。どうやら王女が国を出たという知らせを受け、尾行していたようだ。突然の救世主にエリーザは嬉し涙を流した。


「サファイア・・・ありがとー!!!」


「姫様、帰ったらお仕置きです」


「あっ・・・」


エリーザは泣き止んだ。サファイアは多分怒っているね、多分。出来れば優しいお仕置きが嬉しいな。


「ちょっと、急に現れてなんなの?!」


奥で女性が喋りかけた。それに気づいたサファイアは再び剣を構えた。


「貴様、何者だっ!?」


「あら、よく見るとあの女じゃない?これから長い付き合いになるんだし、自己紹介しちゃおっか!!初めまして、私はポワソン・ト・レミー。よろしくね」


「ポワソン、トレミーだと?一体何故姫様を攫おうとした!?」


サファイアはポワソンに質問した。すると


「用があるのはそこのあなた。あなたを回収するよう頼まれただけ」


と答えた。


「何だとっ!?姫様ではなく私だとっ!?」


「お姫様の近くならあなたがいると思ってね」


「話なら城で聞きましょう」


するとポワソンは両腕を伸ばし始めた。一体何をするのか、サファイアは剣の剣身を盾にしながら相手の出方を伺った。すると両手から何やらドンッと発砲してきた。サファイアは剣身を盾にしてたので防げたが、連射してくる上後ろには負傷した姫様達がいたので自由に戦えることが出来なかった。


「あらあら?姫様も守っているから自由に動けなさそうね?このままじゃ、いつ勝負がつくやら」


ポワソンが挑発するもサファイアは


「たとえ自由に戦えなくとも大事な人達を助けるのは騎士の義務です!!」


と頑張って攻撃を防いでいた。ポワソンは楽しくなったのか、攻撃の手を止めることなくサファイアに集中攻撃していた。


(こいつ、わざと私に攻撃してるのか?なら・・・)


何かに気づいたのか、ポワソンの方にまっしぐらにサファイアは走った。ポワソンの発砲攻撃を剣で斬りながら、何とか近づくことが出来た。


「中々やるじゃない。で〜も・・・」


すると今度はポワソンの腕が巨大なメスに変わった。そのままサファイアに振り下ろすも、サファイアも間一髪でかわした。しかし地面につけると斬撃が生じて大地が割れた。


「何だ、この威力・・・!!」


「あなたも私の攻撃をかわすなんて・・・!!」


お互い戦い慣れているせいか、気の引けない戦いをしていた。剣とメスが鍔迫り合いになり、その度に衝撃が景色に走っていた。サファイアがポワソンのメスを退けて、体に斬りつけた。


青玉の一撃サファイア・フィニッシュ


騎士団長が有名になった技だ。まるで水のように形を変え、水のように自在に動くことが出来る。つまり相手を斬り続けることが出来るのだ。ポワソンもまともに喰らっているので勝負はあったと思った。


「これで・・・終わりだぁぁぁぁーっ!!」


やがて斬り終えるとポワソンは倒れてしまった。強敵だか、ここまで互角に渡り合える敵は今までいなかった。後はこいつを捕まえて、姫様共々城まで戻れば任務完了だ。早速ポワソンの手を掴んだ時、急に体に何か刺さった感じがした。試しに見てみると、横腹に何故かメスが刺さっていた。


「ぐ・・・ぐぁぁ・・・!!」


「お、お姉様っ!?」


心配したエリーザが様子を見ると、そこにはうずくまって痛み悶えていまサファイアが見えた。すると


「ふふふ、馬鹿ね。倒せたと思った?あなたの動きは全て見えたのよ」


と斬られた筈のポワソンが立ち始めた。それを見たサファイアとエリーザは驚愕した。


「な、何故生きてる?」


サファイアが質問するとポワソンはサファイアの体を踏み始めた。ぐわぁぁぁー!!と苦しむサファイアを他所にポワソンは服を脱ぎ始めた。


「なんで斬れなかったって?正体はこれよ」


彼女の体には腹部が割れて腹の中に詰まった弾丸が露出していた。そう、彼女は改造人間(サイボーグ)だったのだ。


「これはある別の世界の闇医者に改造させられたのよ。お陰で人間のように赤ちゃんを産むことや食事を普通にとることも出来なくなったわ。腕も改造されたし」


腕から弾が出たのはそういう理由からだ。腹にある弾を腕から発砲しているのだ。


「でも、逆に触れてはいけない危険物も触れるし、体を斬り刻まれることもないわ」


「それでも何故互角に戦える?」


「あら、言ったでしょ?私はあなたの動きが全て見えるって」


「何っ!?」


「あなたの良い所も悪い所も全部丸見えよ。さて余談も終わったし、そろそろ連れて帰るわよ」


まさに絶体絶命、万事休すだった。剣を持とうとするもポワソンが剣を蹴ったため、また痛みで上手く戦うことが出来なかった。サファイアの腕を掴んで立ち去ろうとした時、後ろからバンッと背中から音がした。ポワソンが振り返ると、そこには遅れてやってきたサファイア騎士団の軍勢が現れた。


「よかった、間に合った・・・」


実はサファイアは万が一の時に軍隊を隠れさせていたのだ。何かあれば、いつでも出撃出来るように近くに潜んでいた。団員は剣や銃などの武器を持って襲いかかった。これを見たポワソンはサファイアの手を離して、やれやれと言わんばかりに


「今日はここまでのようね。楽しかったわ。まったね〜騎士団長さん、()()()()また会いましょう」


意味深な言葉を残して消えて行った。近い内に?その言葉がずっと頭に残ったが、今は姫様達を救出するのが一番だ。刺された箇所を手で押さえながら、みんなの所に帰った。


「ありがとう、姉様っ!!」


エリーザはサファイアに駆け寄り、感謝を言った。


「ご無事で何よりです。それよりも・・・」


「あ・・・」


サファイアの顔は不機嫌そうだった。あ、これ、やばいかも。


「かえったら反省会です」


「いやぁぁぁぁぁぁぁーっ!!」


激しい戦いがあった広場に姫様の悲鳴だけが響いていた。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


研究所に戻ったポワソン。彼女は服を着て椅子に座った。机にあったメスを持って


「今日は楽しかったわ。次に実験するのが楽しみだわ」


と一人嬉しそうだった。

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