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第九話 相互理解

 数日後、高レベル冒険者がサーベルタイガーの退治に出発した。とりあえずは、これで安心だろう。


 エリックの仲間も、マリアが魔力を回復すると回復魔法で治療して、無事に回復した。


 「ライムちゃんの感覚遮断のおかげで、全然苦しまなかったよ!」


 と、大好評である。

 

 ライムみたいな上位スライムの仲間にしたら、病院を作れそうだよな。ちょっと心の片隅にメモしておこう。


 「ライムちゃん、俺達と組まないか?」


 などと、ヘッドハンティングしやがる連中も現れたので、ライムを抱きしめて勧誘する連中を睨みつける。


 「こいつは俺のだ!!シッシッ!」

 「分かったよ。俺ら犬じゃねーんだから」


 そう言って苦笑いして去ってゆく。

 考えてみたら、仲間にする時に裸にしない、人間的な精神を持たせる事は願っておいたけど、俺に絶対の忠誠を誓う、なんてのは願ってなかったと思う。


 つまり、俺に愛想を尽かしたら離れる事もあるわけだし、計算高い奴なら今みたいな勧誘で離れる可能性もあるわけか。

 

 失敗したかな?


 いや、絶対の忠誠を誓わせるなんて、奴隷以下じゃないか。嫌な事を嫌と言えないなんて最低じゃないか。

 アース・クロニクル・オンラインでキャラを集めたのは、仲間が、家族が欲しかったからだ。まぁハーレム願望も否定はしないが。

 何でも言う事を聞くコマみたいな奴ばかりじゃ、いつか俺の心が歪む。


 これでいいのだ!


 福利厚生をしっかりして、仲間を繋ぎ止めるんだよ。

 

 がんばれ、俺。

 負けるな、俺。


 そんな事を考えてたら、わりと時間が過ぎてたようで腕の中でライムがもぞもぞと動いてる。


 「お、悪いな。苦しかったか?」

 「大丈夫だよ。ところで聞いてもいい?」

 「何でも聞いてくれ」

 「私はフェイロンのものか?」


 表情から判断すると怒ってるわけでは無いな。たぶん、きっと。


 「ライムは俺のだ。俺の大事な仲間なんだ。そういう意味だよ」

 「そうなんだね。動物のオスはメスを捕まえて子孫を作るんでしょう? 

 私も、そういうメスとして認識されてるのかなって思ったの」


 きたね、直球どころか、豪速球できたね。

 仕方ない。綺麗事を並べると誤解を招く。


 「人間の美的感覚だとライムは可愛い。だから、いつかそういう対象として見るだろう。でもそれはライムが人間として慣れてきたら、だな」


 そして俺は無理強いはしない。

 ・・・たぶんな。


 お、お前が可愛いから、無防備だから悪いんだぞ、とか言って押し倒したら、それはすでに18禁ゲームの世界。

 俺の愛したアース・クロニクル・オンラインは健全な世界でした、はい。

 まぁ、女の子のパンツとか、パンチラとかに運営や開発スタッフの熱意は感じてたが、常識の範疇だったよ。だったと思う。だったんじゃないかな?


 「私は性別が無かったからね。種族維持も分裂するだけだったし」


 お〜、生物間の相互理解はむずかしーねー


 「今は人間なのだから男女の機微も、理解できるようになると思う」


 そうだな。


 「だから、それまで待ってて」

 「あいよ」


 ゲームにもパートナーの好感度とかあったくらいだしな。リアルはもっと複雑なのさ。とりあえず、この問題は、これまでだ。


 ライムよ。


 「なにかな?」


 スライムは狭い所に閉じ込められたり、暗い場所に閉じ込められても大丈夫か?


 「平気だよ」


 大きな町だと排泄物や、残飯の処理に困ると思うんだ。だから、それをスライムが食べてくれると、人間とスライムの両方が幸せになれると思うんだが、どうだ?


 「良いと思うよ!」

 「ではギルマスの元へ、町のインフラ整備について話に行こう」

 「うん。インフラってなに?」

 

 俺達はインフラの説明をしながら、ギルマスの部屋に向かったのだった。

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