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第八十三話 空中戦

 蜂っ子が飛び込んできた。確か食堂メインで仕事をしてる子だ。


 「乗り物に乗ってる男の人が、矢を射てきました。甲板にいた82に命中して重傷です」

 「ユーリの治療を受けさせろ!」

 「他の子が連れて行きました」


 そうか、良かった。死ななければユーリの治療で必ず助かる。


 「エルフ二人とゴーレム娘二人を呼んでくれ」

 「了解!」


 負傷者の報告に来た蜂っ子が伝令を引き受けて出て行く。すぐに四人がやってきた。


 「慌ただしいけど、何かあったの?」

 「海賊…ここは空だから空賊って言うべきか。まぁ賊が現れて襲撃を受けてるとこだ」


 今更どうでもいい事が気になってしまった。

 まぁいいか。

 そんな俺を他所に四人は驚いていた。

 今までは上空は絶対に安全だったもんな。


 ガラス窓の向こうに見える木造船を指差して、俺は負傷した蜂っ子を思って指示を出す。


 「海賊か空賊か呼称は何でもいい。重要なのは奴らは俺の可愛いパートナーを殺そうとした事実のみだ。あの船を魔法で攻撃してくれ。ゴーレム姉妹は、その防御力でエルフを守ってくれ」


 エルフ二人は微笑んだ。

 最高に可愛い笑顔だが、あれは遠慮なく魔法を撃てるから喜んでるだけだな。


 「フェイロン、あの二人に魔法を使わせるなら、海賊船と同じ高度に下げますか?」

 「そうだな。しかし、空飛ぶ乗り物同士の戦いは、初めてだから勝手が分からなくて困る」

 「仕方ないですよ。こいつらを良い練習相手と思いましょう。降下します!」


 ハルナの操船で空賊船と同じ高さになる。


 「ハルナ、アキナ。あとは任せる。もし衝突させる時は最下層の岩盤部分でやってやれ!」

 「どこに行くのよ!?」

 「甲板だ」

 「やられんじゃないわよ」

 「おう!」


 甲板に行く前に、途中で寄り道をする。世界樹の娘のナナミに会う為に。


 「ナナミ」

 「いらっしゃい。何だか外が騒がしいのね」

 「空賊だ。ナナミ、ミルクが飲みたい」

 「うん、どうぞ」


 ナナミの乳を吸って飲む。すると一日限定でサァベル並に強くなれるのだ。


 「頑張ってね」

 「おうよ!!」


 甲板に出ると、第一飛行部隊の隊員達が接近する賊を撃ち落としている。第二、第三部隊は激しい空中戦を演じている。


 強いのは俺達だが、とにかく数で負けている。


 賊共はボウガンのような武器で攻撃してくる。それが数少ない第一部隊の隊員を貫いているのだ。

 

 「下がれ!」


 腕にも足にも、腹にまで刺さってるのに、賊共に魔力弾を撃ち続けてる娘がいた。俺の指示にも従わない。


 「ま、まだ、やれます!」

 「お前に死なれたら悲しいだろうが。下で治療を受けろ。あとは俺がやるから」


 どうにか説得して一層目に下がらせる。他にも三人が重傷で下がらせた。そうなると、どうしても対空砲火が薄くなるんだ。


 そして、ついに敵の侵入を許してしまった。


 「おい、見ろよ! 上玉ばかりじゃねぇか。こいつぁ楽しめそうだぜ!?」


 下品な野郎だ。

 斬っても心が痛まないのが唯一良いとこだな。

 しかし俺より速い、神速の一撃を見せたのはサァベルだった。


 サァベルに続いてリルが巨大な斧で、賊の頭を文字通り吹き飛ばした。赤い血煙が派手に散ったと思ったら、頭の無い賊の死体の出来上がりとなっていた。


 さらに蜂っ子達が飛び出してきた。

 働き蜂の蜂っ子は威力は弱いがニードル攻撃ができる。大勢の蜂っ子で濃密な弾幕を張ったのだ。賊共の体に無数に命中して肉片に変えてしまった。


 「くらいなさい!ファイアボール!」

 「燃えてしまえ!ファイアランス!」


 ローズムーンとルナリアは、連射の出来る炎系の魔法を次々に放った。敵は空飛ぶ家に接舷して略奪をするつもりだったのだろう。

 至近距離からの回避不能な魔法攻撃を、面白いくらい被弾しまくった。


 やがて、木造空賊船の至る所から火災が発生し、煙が派手に上がっている。時々小さな火の塊がバラバラと落ちていく。やがて空賊の船は真っ赤に燃え上がりながら、バラバラになって落下していった。


 重軽傷8名。

 死者は無し。

 こちらの圧勝だった。

 だが、あくまでも結果的に楽勝だったのだ。

 襲ってきた奴より、もっと大規模な船団を組織してる空賊がいたら、負けていただろう。


 勝って兜の緒を締めよ、だな。

 そんな事を考えてたら、働き蜂の蜂っ子がニコニコしながら俺の所に来た。


 「お兄ちゃん、面白いのを拾ったよ」


 そう言って見せてくれたのは、空賊が乗ってた乗り物だった。木を輪切りにして、手すりをつけただけの簡単な代物だった。

 

 なんで、こんなのが飛ぶのか調べてなくては。


 「よく持ってきてくれたな。ありがとう」


 蜂っ子の胸にはNo10と書かれていた。俺は10を抱きしめて頭を撫でた。


 「お兄ちゃん、ご褒美が欲しいの」

 「言ってみて」

 「私、名前が欲しい」


 この日からNo10はポーラと名乗る事になったのだった。

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