第七十一話 エルフの里へ向かう
エルフの里は南の大陸の西に1000キロの位置にある大森林だそうだ。かなり遠いけど問題はない。
時速10キロくらいの速度で、のんびり飛んでも一日で240キロは移動するしな。その間に南の大陸の事情を教えてもらえばいい。
そしたら、とんでもねー事実が判明しやがりました。この南大陸は現在、魔王が出現して侵略中だそうです。
ヤバイじゃん。
逃げるか。
「何を言ってんのよ。魔王軍の部隊を一つ潰しておいて、今さらよ」
エルフ二人が口を揃えて言いやがる。
オーク軍が実は魔王の方面軍だったらしい。
魔王は南大陸の南端の険しい山岳を本拠地として現れたそうだ。漫画だと序盤に人間の王国は、利害対立した挙句にコテンパンに負けるけど、リアルでは一致団結して互角に戦ってるようだ。
そこで魔王は、強くはないが繁殖力の高いオークを人類勢力の辺境に送り込んだ。人間側はオークを叩き潰したいが、戦力を割くことが出来ない。
オークは着々と辺境の町や村を潰して、勢力を拡大していく。そんなボディブローのような攻撃が、あっさりと粉砕されてしまった。
俺達の手によって。
恨まれてるだろうなぁ。
決めた。
絶対に大陸の南にはいかねーよ。
「魔王と戦闘になった場合を考えて、兵隊蜂っ子の部隊を増やそう。キーラ頼む」
「分かったわ」
より強い蜂っ子を産んでもらう(能力:分身作成)為に、キーラを部屋に招いてマッサージをしてやった。そして俺特製のポーションを注入したので最強の軍団が出来上がるに違いない。
エルフの里に出発してから二日目。
ルナリアが俺を変な目で見ている。
「なんかあったか?」
「あのさ、フェイロンって娘は何人いるの?」
「どういう意味だ?」
「お父さんって呼んでる女の子がいるよね?」
あ〜、あったね。
慣れてしまったから全然気にしてなかった。
ルナリアの視線が鬱陶しいので、キーラの能力で産まれた蜂っ子は俺を父と呼ぶ事を教えた。血の繋がりは無いと知って引き下がったね。
今度はローズムーンがやってきた。
「この家は女の子同士の恋愛もあるの?」
「どうかな。あるかもな。告白されたか?」
「私はないよ。ハルナさんがアキナさんに熱烈に告白してたよ」
「それは意外だったな」
本当に意外だった。
何しろ、蜂っ子同士は姉妹だからな。
初期の30人だったか、あの蜂っ子はキーラの姉妹だから違うんだけど。
操縦室に行った俺は、ハルナを見つけて小声で聞いてみた。本当は、どうでも良いんだけど、ローズムーンに聞かれた以上はね。
「アキナに告白したんだって?」
ハルナは思いきりお茶を吹いてた。
「な、何故、それを?」
「見てた奴がいるんだよ。我が家は俺以外は女の子ばかりだから、不毛の愛の荒野を突っ走っても仕方がないと思ってる。でも姉妹はやめとけ。二つも十字架を背負ってどうするよ」
ハルナは首をブンブンと音が聞こえそうなくらい、勢いよく振った。
「ち、違うから!!」
ハルナが言うには、俺を相手の恋愛シミュレーションで盛り上がったとか何とか。つまり告白したハルナは、俺の役をしてたって事か。
なるほど、理解した。
ローズムーンに言っておくか。誤解は解いてやるとしよう。
「ハルナ」
「なにかな?」
「俺がいた世界では、同性婚も認められていたんだ。ハルナがどうしてもって言うなら、俺だけは味方してやるからな」
「私はノーマルだってば!!」
「分かってる。分かっているさ。ただ、念の為に言っただけだ」
「絶対に、分かってないよね」
頭を抱えてるハルナを抱擁して頭を撫でた。




