第七十話 後始末
今回、ベティ先生が作ったゴーレムは、身長二メートル弱の小型の奴だ。数を揃える為に小さく作ったそうだ。
戦いは数だよ、兄貴!
そう語った名将がいたので、今回の決断は正しいのだ。と、思いたい。
オークを包囲殲滅してやるつもりが、タイミングが合わなかった。キーラは本隊の後退をさせたが間に合わない。
蜂っ子達にニードル攻撃をさせながら、後退を続けたけど追いつかれてしまった。
ここでキーラは応戦を決意、オーク軍と激突したが、数で勝るオーク軍にゴーレムの数が減らされてしまう。
ゴーレムが半数の五百を割った頃、左右を進んできたゴーレムが挟撃を開始。混乱したオーク軍にも壊滅的な被害が出る。
だがオーク軍は、ここで部隊を三つに分けるなんて事はしなかった。単に出来なかったのかもしれないが。
左右から攻めてくるゴーレム兵団。それと戦ってるオーク部隊を切り捨てたのだ。
そして今ある戦力でゴーレム中央兵団に突撃を仕掛けた。この捨身とも言えそうな攻撃は凄まじく、これによりゴーレム中央兵団は壊滅的な打撃を受けてしまう。
キーラと蜂っ子50名は敗走を余儀なくされるのだが、そこへ後続のゴーレム部隊が到着。再び戦況は混沌としてくる。
もはや戦術なんて高尚なものは無く、ひたすら泥沼の殴り合い、削り合いとなった。
これほどゴーレムを有効に使った戦いは、他に無いと思われるが、指揮官のキーラが意識してやったか怪しいものである。
そして人間側には、もう一枚切り札があった。それが俺達の第一と第二の飛行部隊だ。
彼女達が疲労困憊のオーク軍に、上空から強烈な魔力弾を豪雨のように撃ち込んだ。
魔力弾の豪雨が止んだ後、立っている者はいない。が、油断は出来ないので、鼻の利くリルやサァベルを中心に残党狩りを行う。生き残りを逃せば、また不幸な女性が生まれてしまうのだ。
オーク殲滅を確認すると、ベティ先生が降りてきた。
「せめて安らかに眠るが良い」
手のひらをオークの死体に向けると、あたり一面が泥の海のようになって、オークの死体を飲み込んでいった。
空飛ぶ家が迎えに来る頃には、泥の海は元通りの固い大地に戻っている。ベティ先生は凄いものだと感心してしまう。
「ベティ先生、あと二千体ほど死体が残ってるんだけど」
「あっちこっちに散らばってるんじゃろ? 面倒なのは嫌じゃ! 放っておけば他の生物の豊潤なタンパク源になるじゃろ」
こいつめ。
埋葬するなら最後まで面倒見ろよ。
ミッキーの倉庫に避難してた女性達は、空飛ぶ家に乗ってもらう。この時ばかりは女性達も興味津々で、家が浮上した時は甲板で大騒ぎしてた。
例え僅かな時間でも、嫌なことを忘れられたなら良かったと思う。
ずっと外にいては体が冷えるからと、一層に戻ってもらった。そして美味しい食事と、不安の無い安全で安心な睡眠を取ってもらう。
数時間後、目覚めた女性達はマシな顔になったと思う。だから聞いてみた。
「さぁ、今もまだ死にたい奴はいるか?
約束したからな。殺してやるよ」
自殺志願者はいなかった。
良かったぁ〜・・・
たぶん、大丈夫とは思ったけどね。
やり直してみようか、と思えるくらいには回復したようだ。そして妊娠した女性は堕ろす決意をしたらしい。産まれた瞬間に殺されるのは、目に見えてるからな。
俺達がオークと戦ってる時、ベティ先生はオークに襲われた各村をまわって、生き残りを集めて新しい村を作ったらしい。
この新しい村には二度と襲撃されないようにとの配慮から、村を囲む物凄い壁が出来てた。やりすぎじゃないかな。でも集められた人達は安心感を持ったようだ。この壁を見て助けた女性達は、この村に定住する気になったらしい。
しかし助けた女性の中で二人ほど、空飛ぶ家に残留を希望した者がいた。その二人はエルフで冒険者だったのだが、オークと戦闘になり負けて捕虜になったそうだ。
冒険者仲間は他に人間の男性二人に、女性が一人いたそうだが、男性はその場で殺されて死体はオーク族の食料になった。
女性の仲間は一緒に捕まって、陵辱される日々を共に送ったそうだが、俺達に救出されて、新しい村に残る決断をしたそうだ。
「私達はエルフだし人間の村に残っても、浮いちゃうだけよ」
「この家なら故郷の森まで、簡単に行けるかなってね」
なるほど。
エルフに恩を売るのも悪くない。
いや、売るって考えはやめた。
エルフ族への恩返しと考えよう。
昔はエルフィンに世話になったんだ。
「エルフの森へ送るよ。安心して空の旅を楽しんでくれ」
この二人はエルフなだけあって、非常に美しい外見で金髪の美女である。一人は典型的なエルフで体型の起伏が小さい。この典型的エルフ娘はルナリアと名乗った。
ルナリアには紳士的に振る舞う自信がある。だが、もう一人のエルフ、あれはダメだ。
もう一人のエルフはローズムーンと名乗ったが俺の視線は胸に釘付けだった。ローズムーンはエルフなのに、とんでもない巨乳なのだ。
「私達ならともかく、見つめすぎですわよ」
「そうだな、申し訳ない」
二人はシャレにならない重い過去があるんだから、好色な視線は苦痛だろう。
「貴方は恩人だから抱きたいなら、私は構わないわよ」
「いや、結構だ」
「やっぱりオークに汚された女なんか抱きたくないかな?」
そんなわけねーだろ。俺が惚れるのは巨乳の美少女なのだ。過去は関係無い!!
今回は世話になったエルフの友人への恩返しなんだから、抱くような真似はしない。
「俺はローズムーンを気に入った!エルフの里に帰って疲れを癒したら仲間になれ。そしたら生涯可愛がってやるぞ」
ルナリアは俺を見ながら言った。
「この人、どうかなぁ?
根っからの巨乳好きだわ。
まぁ、アンタは大事にされるわよ。
けど、私に言わせりゃ
こいつは差別主義者よ。
私みたいなのは見捨てるのよ。
いざとなればね」
そんなわけねー
我が家にもペタンコはいる。蜂っ子のJSとJCタイプは小さいよ。その年齢にしては大きいと思うけど。
「ルナリアも大きく出来るぞ。仲間になるなら言ってくれ。大きくするから」
「毎日揉めば大きくなるとか言う気?」
「そんな不確かな話じゃねーよ。仲間になれば分かる話だ」
魔法が得意なエルフが仲間になるなら、戦力として期待できるし嬉しいよな。




