第七話 スライム娘ライム
青い髪をした美少女が立っている。自分の体を繁々と見ている。なんかの歌みたいに、手のひらを太陽にすかしたりしてる。
俺が近寄ると、キッと睨みつけてきた。
「あんた! よくも私の尻を引っ叩いてくれたわね!!」
・・・はて?
スライムを叩いた事は認めるが、丸い体の何処が尻なのか、判別なんか出来なかったのだが。
ていうか、尻なんかあったのか?
「な、無かったけど、今ね、思うとお尻を叩かれたかなぁって」
確かに、今のお前の尻をペチンと叩けば、柔らかくてスライムを叩いた感触に似てるかもな。
どれ、叩かせてみろ。
「イヤよ、痛いもの」
そうか、嫌がる事は無理にはやらない。どうせ、自分から叩いてとせがむようになる。
「絶対に言わないからね」
ところで、お前を人間にしたのは俺だ。俺と共に来る気はあるか?
「もちろん一緒に行くわよ。仲間ってわけね」
よし、俺と共に来い!
俺の事はフェイロンと呼べ。
「分かったわ」
お前にも名前をやろう。
命名:ライム・ブルースライム
出自も分かるし、ちょうど良いだろ?
「安直な気もするけど、まぁいいかな」
よし、名前も決まったところで帰ろう。
帰ったら、ライムの能力を確認だ。
帰り道、何匹かスライムと遭遇した。
ライムを仲間にしたし、これ以上は無駄に戦う気は無かったのだが、ライムは俺の前に出ると、スライム達を黙って見つめている。
すると、スライムは俺達とは逆の方向に移動し、去っていった。まるで会話してたようにみえたので、ライムを見た。
「私はもう、スライムじゃないけれど、なんか気持ちを伝える事ができそうだなって思ったの」
なるほど。
今のだと、こっちは危ないから、あっちへ行け。みたいな感じかな?
もっと細かく指示できれば、スライムと共生可能かもしれないな。ライムと色々試してみるか。
そうライムに言ったら、結構乗り気で頷いてくれた。
「人間は強いからね。一緒に生きていけるなら、悪くないと思うんだよ」
「人間にとって便利になる事で、スライムには安全と食事の保証があれば仲良くやれるな」
わりと簡単に見つかる気がするけどな。
「あとはライムの能力調査だ。一つは今、分かったけどな。スライムとの意思疎通だろ。それ以外は何があるかな?」
「能力が分かったら、どうするの?」
戦闘に向いてるなら冒険に連れて行くし、そうじゃないなら留守番だ。ライムがスライムを使役して何かやれるなら、その方が良いだろう。
「うん、でも出来たら一緒に行きたいかな。戦闘以外でも、役に立つ事はあると思うし」
それなら連れて行くか。
中央都市へ戻ってくると、ライムは目をキラキラさせながら建物を見てる。まるで田舎から出てきたカントリー姉ちゃんだが、生暖かい目で見守ってやろう。
だが、俺の余裕もギルドに帰るまでだった。
「おい! なんだ、この可愛い子は!」
「まさか、誘拐したのか?」
「誘拐なんかするか!!」
ギルマスや男性職員、たまたま居合わせた冒険者などが、うるさいったらない。
「スライムを美少女パートナーにしたんだよ」
「それ、仕事が忙しかった時に、うわ言みたいに言ってたよな」
「まさか本当だとは思わなかったぞ」
この世界に来る人間は神から何か能力をもらってくる。それを知ってるからか、この世界の人間は気にしない。
と、思った頃が俺にもあった。
「なぁ、壁が厚い部屋に替えてやろうか?」
「その前にベッドだよなぁ?」
「男ならダブルだろ」
こいつら、誰が何の能力を持ってても気にしないが、エロイ事には興味有りかよ。もう娯楽なんだろうなぁ。
「ぐあっ!?」
「いてぇ!!」
女性職員が野郎共を殴り飛ばしている。これ以上、下ネタを言わせない為だろうけど、情け容赦無いな。後日お菓子でも差し入れるか。
ちなみに部屋は同室ではなく、隣の部屋に入る事になった。




