第六話 戦闘、テイム
青いボススライムはバレーのアタックかと思うような勢いで飛んでくる。しかし、俺も以前とは違う。ギルドマスターの訓練を乗り越えてきた男だ。
バレーと違ってレシーブしなくて良いから、楽々なんだよ。
とか思ってたら、反対側のちょっと大きな岩に当たって、跳ね返ってきやがった。まるでスーパーボールかと思うような勢いだ。
剣を振ってもスライムの跳ねる速度が速すぎて、完全に振り遅れている。ならばと、剣を前に倒して寝かせ、スライムが正面からくるのを狙って突くのは、どうか?
狙いは良かったと思うが、変形して避けやがった。多少は斬れたみたいだけど、すぐに回復してしまう。
気のせいか、だんだん跳ね回る速度が上がってる気がする。
戦慄のブルー
いや、このフレーズは使っちゃダメな気がする。
俺の頭を掠めて背後に飛んでったので、すぐに振り向いたが、驚いたことに、どこかで跳ね返って目の前まで迫っていた。
咄嗟に上体をそらして膝でスライムを受け止めた。偶然膝蹴りのような形になったが、効いたか分からない。
そんな半端な膝蹴りだったせいか、スライムは大した勢いもなく足下へ転がった。
それを見て、とあるサッカー漫画を思い出した。
ボールが摩擦熱で燃えるシュートとか、荒唐無稽なんだけど意外にハマる。この世界は魔法もあるんだし、みてくれだけなら真似できるかも?
「ファイヤーシュート!!」
摩擦熱で燃えなかった。
デカイから豪快に飛んでいかなかった。
でも、かなり弱ったんじゃないか?
「俺の美少女パートナーになれ!!」
手のひらに渾身の力を込めて、スライムをべチィッと叩く。叩いた振動でスライムの表面が波打ったのが、何だか楽しい。
少しクセになりそう。
あれだけ動いたスライムが、今はピクリとも動かない。人間に変化する兆しも見せない。もしかしたら倒さなきゃダメなんだろうか?
アレコレと悩んでいたら、急にスライムが光り輝いた。眩しくて見てられない。目を瞑り両手を顔の前に翳して光を遮った。
眩しかったのは数秒くらいか。
光が消えたので目を開くと、そこにスライムの姿は無く、女の子が立っていた。青い髪のショートカットで、瞳も綺麗な青だ。
ちゃんと服も着ているな、よし。
俺はモンスターを美少女パートナーにするスキルをもらえるから来たわけだが、そのスキルの元ネタはオンラインゲームだ。
ゲーム内の通年イベントでは、登場するモンスターが擬人化して活躍する。
毎月の課金クジでは、この擬人化したモンスターが一位の景品になるのだ。
この擬人化モンスターは連れて歩くと、戦闘時に非常に役に立つ。まぁ過疎化して、なかなかパーティーを組めないソロへの救済策だったかもしれないけどね。
ゲームだから擬人化したモンスターは最初から服を着てるし、人間としての心もある。でもリアルだと、その辺の都合の良さはカットされてると思ったんだ。
だから神が俺を連れてくる時に、しっかりと願っておいたのだ。
美少女パートナーに変化させるスキルを使用したら服を着てるように、と。
狩場から素っ裸の美少女を連れて町の宿や、冒険者ギルドまで一緒に歩かせるって、どんだけ鬼畜なんだよ。
そうは思わんか?
何より、そんなお宝映像を他人に見せてたまるか、こんちくしょーめ。
だから、最低限の服を着せておけと願っておいたのだ。そしたらホントに最低限のシンプルな安物を着せてよこしやがった。
こんな事なら、その娘に合うモンスター時代を思い出させるようなオンリーワンな、素敵な衣装を着せろと願えば良かったよ。
あと、もう一つ。
神に願ったのは俺の知識を持たせる事と、その精神を人間にする事だ。
これは非常に重要だと思うんだ。
姿を人間にしても精神が肉食獣のままだと、そのまま襲われて食い殺されてしまう。
カニバリズム、ノー、絶対、嫌。
スライム娘は服を着てた。
精神は人間になったはずだ。
話しかけてみよう。




