第六十九話 オーク殲滅戦
食堂に主なメンバーを集めて、作戦会議を行なった。もちろん議題はオーク殲滅だ。
「オーク5000VS俺達150くらいか」
自分で口にして何だが、絶望的な戦力差があるもんだな。
「それで、どうやって勝つんですの?」
「簡単な話だ。ベティ先生の力を借りる」
「ワシか!?」
ベティは驚いて椅子から立ち上がって俺を見た。しかし、すぐに座ると聞いてくる。
「ワシに何をしろと言うのじゃ?」
「ゴーレム兵団を作って攻撃を仕掛けてくれ」
「お安い御用じゃな」
ベティ先生のゴーレム兵団に攻撃させる為に、敵の拠点を探さないとな。
「オークが攻めてきました!数は多くて分かりません」
やられたな。
まさか、また今日のうちに来るとは思わなかったぞ。
「村人を収容しろ。
慌てずに落ち着いてな。
それから甲板から蜂っ子は
ニードル攻撃開始だ。
サァベル、リル、ミスリーン、イオリは
空飛ぶ家の入り口周辺を守ってくれ。
兵隊蜂っ子は殲滅しろ
遠慮無用、情け無用だ!」
甲板に出た蜂っ子は50名ほどで、一斉にニードル攻撃を開始する。それがオークの体を次々に撃ち抜くが、即死とまではいかない。
だが、確実に進撃速度は鈍くなっていく。村人がパニックをおこさないように、目の前に壁を作って、そこからもニードル攻撃を開始する。
手や足を撃ち抜いて倒れて動けない奴は、放置しておく。どうせ後続のオークに踏み殺されるのだから。
兵隊蜂っ子はオークのリーダーを狙撃してミンチにしていた。オークの中で一番大きな奴の腕、足、と木っ端微塵にしてから頭を狙うのは、味方ながら容赦ないと思った。
もっとも、それを見たオークが怖気ついて逃げるように仕向けたらしいので、頭脳プレーなのかもしんない。
オークが逃げ出したのを、サァベルとリルが追撃する。背後から来る奴に味方を殺されたオークは、もう上空を気にする余裕は無かった。
そして、その上空には音もなく滑空して、逃げるオークの拠点を探る冷徹な目があった。
「オークの拠点を発見!」
よし、ベティ先生のゴーレム兵団を出撃だ!
「任せるのじゃ!」
ベティが作ったゴーレムは何と二千体。それを拠点に向かって左右から五百、正面からは本隊として千体が進軍していた。
本隊には働き蜂っ子が50人と、指揮官をキーラに任せた。ホントはやらせたくないんだけど、どうしてもって言うから仕方なく。
「これ、オークに軍師がいたらヤバイよね」
「何でだ。アキナ」
「これを包囲される危機と捉えずに、各個撃破の好機と考えるからね」
そこはかとなく、ドヤァな顔で答えるアキナを見て、遥かな未来に生まれていたら、銀河の歴史に1ページを書き記したかも、と思った。
ベティ先生は第二陣のゴーレム兵団千体を出陣させた。さすが無尽蔵の魔力を持つ女だぜ。
「も〜、疲れたのじゃ。これ以上は甘味を要求するのじゃ!!」
お疲れ様でした。
次はいよいよ俺達だ。
第一飛行部隊、第二飛行部隊に俺、サァベル、リル、ユーリ、ミッキー、ライム、ミスリーン、イオリで敵の拠点に直接乗り込む。
オークは三千の兵を出して、キーラがいる本隊に向かったようだ。こちらとしては後詰のゴーレム隊と合流するまで下がるしかないな。
三千のオーク軍が十分に離れた頃合いを見て、飛行部隊が拠点を空から攻撃する。拠点に残ったオークが混乱してる間に女性を助けるぞ。
窓の無い頑丈な建屋に、見張りまでいやがる。あそこが監禁場所に違いない。サァベルとリルが猛烈な加速から見張りオークに斬撃を決めた。
見事にオークの首が斬り飛ばされたな。実に見事だった。ドアを開けようとしたが施錠されてるので、イオリに破壊してもらう。
入り口の確保をゴーレム姉妹に任せて、中へ侵入すると100人くらいの女性が囚われていた。あの村の女性だけじゃないようだ。
死んだ魚みたいな目をしてる奴ばかりだが、こればかりは仕方ないのだろう。一方的に犯されて、異種族の子を強制的に産まされるのだから。
「助けにきたぞ!」
捕まったばかりの女性は、歓喜の表情でミッキーの倉庫に入るが、すでに犯され、孕まされた女性は今更帰る場所が無いと泣いている。せめて同じ人間の手にかかって死にたいと、殺してくれと泣いて頼んでくる。
「よし、分かった。死にたい奴は脱出して落ち着いてから言え。望み通りにしてやる」
そう説得してミッキーの倉庫に入れたのだが、外へ出ようとして止められた。オークキングとオークジェネラルが来てしまったのだ。
「我が子らを産む大事な女を拐うとは、貴様は万死に値する」
と、意外に流暢に喋りやがるのな。
「その言葉をそっくり返すぜ。可愛い女を無理矢理犯すなんざ言語道断!」
と、言い返したら何故か、サァベルが吹き出して笑ってる。
「なんで笑ってんの?」
「だって私は貴方に、我慢できないからって無理矢理にされちゃいましたわよ」
あぁ、ユーリの時の、か。
やりましたね、確かに。
「あの時は、ごめん」
「良いのですわ。愛しい、可愛い、私の大切なフェイロン。貴方に必要とされるのは私の幸せなのですから」
時々、母性本能を炸裂させてんなーとか思ってたけど、そんなことを考えてたのか。
「とにかく皆。倒してしまえ!」
キングとジェネラルは武器を振り下ろしてきたが、ミスリーンとイオリは難なく受け止めた。
「こいつらに、子を産ませれば英雄が産まれるぞ。捕らえろ!!」
「馬鹿野郎! 誰が貴様らなんぞに、大切なパートナーをくれてやるか!」
サァベル、リル、やっちまえ!!
ゴーレム姉妹に苦戦してるのに、そこへサァベルとリルが加勢に加われば、勝負はついたってもんだ。
「おのれ、卑怯な!!」
「戦争に卑怯もクソもあるかよ」
俺が手を上げて振り下ろすと、上空にいた飛行部隊から魔法弾が放たれた。無数の魔法弾がキングとジェネラルの体を撃ち抜き、ボロ雑巾のように地面に叩きつける。
「拠点に火をかけろ。生き残りを出すな。皆殺しにしろ」
正直に言えば、せめて子供くらいは生かしてやろうかと思ったよ。でも気が変わった。
生き残りがいないか、探した時にオーク族の子供を見つけた。その子供のそばには、人間の女の子の遺体があった。性的な暴行を受け続けた痕跡が残ってたよ。
人間の女性は、どこまでいっても子を産ませる道具でしかなく、暇潰しの慰みものでしか無いのだと理解しちゃったからな。
拠点を破壊し燃やしてから、ゴーレム兵団と戦う為に出ていった三千のオーク兵を、背後から急襲する為に出発した。




