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第五十五話 帰還

 洞窟の外に出ると、ロックゴーレムとアイアンゴーレムは全部破壊されていた。俺がベヒモスを人間にしたタイミングで動きが止まったようで、それを逃さずに壊したようだ。


 対外的にはベヒモスは倒した事にした。真実を知らんでも構わんだろうよ。ただし、ギルマスと鉱山都市の責任者には教えた。


 「あのベヒモスが住む付近は、昔から鉱山開発をしてはいけないとのタブーはありました。しかし、何故と言う理由は記録が失われていたのですよ」


 と責任者さん。


 「地上で魔物を退治をしても、近隣の森から木を切り出しても何事も無かったからな。だったら鉱山も平気だろうって意見が強くなった」


 とギルマス。


 記録が何故失われたのか、そこは分からないようだ。まぁ二千年だしな。ともかく、ベヒモスからもらった金銀と宝石を、市長やギルマスへ無事に渡した。

 今回の死者の遺族や負傷者に渡して生活に困らないようにしてやって欲しいと伝えた。


 これで解決だな。

 あとは任せて良いだろう。


 今回の件で俺とセージュは、多額の褒賞金がもらえた。何しろ遺族へ補償金や、鉱山開発が止まった事の損失、冒険者に支払う報酬など、赤字が全部ゼロになった。それどころか黒字になったそうである。


 その立役者が俺とセージュなんだから、当然だろう。つーか、ここでケチったら、次にヤバイ時に誰も来なくなるからね。

 ギルマスは豪華な宿屋を貸切にしてくれた。金の出処は鉱山都市からだろうけどな。


 豪華な宿屋で一番はしゃいだのは、ベティとゴーレム姉妹だ。初めてだから仕方ないけどな。


 「なんと!?柔らかいのじゃ!?」

 「これ、美味でありますな!」


 食事で騒ぎ、ベッドで騒ぎ、貸切じゃなかったら、他の客からクレームがくるのは間違いないってレベルでうるさかった。


 「フェイロン、一緒に寝るのじゃ!」

 「サァベルとリルもいるけど構わないか?」

 「子作りに励むところであったか?」

 「違うよ。二人は俺と寝るのが好きなんだ」

 「さようであったか。ワシは眠りにつくまで語り合いたくての」


 そう言ったくせに、真っ先に寝落ちしやがった。何を語りたかったんだか。


 そして一番に目を覚まして、窓の外の朝焼けを眺めてるし。


 「起きるの早いな」

 「自然に目が覚めての。外を見ておった」

 「楽しいか?」

 「うむ。変化が楽しいのじゃ」


 俺はベティにもらった浮遊石で、空を飛ぶ家を作り世界を旅する計画を話してみた。


 「面白い事を考えるものじゃな」

 「浮遊石のおかげだ。絶対に実現してみせる」


 我ながら浮かれてると思ったし、早く帰りたくて気が急いていた。サァベルやリルなどは、何故俺がこんなに急ぐのか不思議がっている。


 「家に帰ったら教えるから待ってくれ」


 やっと中央都市に戻れた時は感動すらした。浮遊石の家を作る第一歩を踏み出したような気がしたからだ。全然違うんだけどね。


 家に戻ろうとしたら、ユーリに服を引っ張られた。何だろうと振り返ると、ギルマスに報告しろと言われた。それを忘れてたよ。


 ギルマスには簡単に報告して、ベティとゴーレム姉妹を紹介した。


 「こいつぁ強そうだ。ゴーレムが味方になってホッとしたぞ。また何かあったら頼むぜ。お前達はギルドのエースだからな」


 エースって言うならセージュ達だと思うけどな。現在200、将来的には400の魔法攻撃が手の届かない上空から降り注ぐんだよ。誰も勝てないと思わないか?


 「確かに魔獣の群れを殲滅するなら、セージュさん達が一番です。でも私達は、それ以外に土木建築、人々の治療に、汚水や生活排水の浄化まで幅広くやれますよ」


 強さだけではなく、住民の生活の向上までを仕事にしてるという点で、エースと呼んでくれたのだとライムは主張した。


 なるほど、そこまで考えて評価してもらえたなら、素直に喜ぼう。そして何より、強さだけじゃない部分を担うライムに感謝だ。

 

 ギルドからの帰り道、他のスライム娘達に出会ったので一緒に帰る。治療院もスライムを使った浄化も順調だそうで良い事だ。


 ユーリはカエデに話しかけてる。たぶん次のターゲットとしてロックオンしたのだろう。スライム娘達は総じて地味な印象だが、実は美少女ばかりなのだ。しかも隠れ巨乳と俺は睨んでる。


 それを見抜いて狙うとは、さすがユーリ。


 自宅に到着すると、蜂っ子達にもみくちゃにされた。小学生、中学生に見える幼い蜂っ子は久しぶりに会ったな。

 蜂っ子達が落ち着くまで、騒ぎに付き合いながら互いの無事を喜び合った。


 騒がしいけど楽しい。

 帰ってきたなぁと、実感したよ。

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