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第一話 夢

 アース・クロニクル・オンライン。20年も続いた老舗VRMMOだ。この20年間に数々の伝説を生み出した偉大なゲームだ。


 しかし栄枯盛衰という言葉の如く。


 ついにサービス終了を迎える時が来た。二十歳で遊び始めてから15年。いくら課金したか分からないのに。


 いや、金はどうでもいい。


 俺のパートナー達が消えてしまうのが耐えられない!!毎月、パートナーくじで諭吉を何人も使って手に入れた。いや、仲間にしたのだ!!その甲斐あって今や俺のパートナーは100人を超えるというのに!!


 それが全部、電子の藻屑になるなんて!!


 反対運動もしたが、全て無駄だった。こうなればサービス終了までの短い時間を精一杯楽しむしかない。


 飢えを満たすかの如く、スクリーンショットも数百、数千枚は撮った。しかし、何も満たされない。


 そして、ついに最終日が来た。

 

 「今までありがとう!!」


 叫ぶプレイヤーが何人もいる。

 ログアウトボタンを押すと、パートナーキャラが口々に喋り出す。


 「私も一緒に行きたーい!」

 「帰ってきてね?」

 「また明日、会おうね」


 もう、明日は無いんだよ。

 もう、帰ってこれないんだよ。


 本当にログアウトしますか?

 YES/NO


 勿論、ログアウトするわけがない。

 パートナーのセリフを聞きたかっただけだ。

 

 いよいよ最後の瞬間が迫ってきた。

 プレイヤー達が秒読みを開始する。

 5 4 3 2 1 0


 画面が真っ暗になり、すぐに明るくなる。

 そこにあったのは


 20年間ありがとうございました。


 と、運営会社のメッセージだけがあった。

 いや、ゲーム内で聴き慣れたBGMが流れてるが、なんの慰めにもならなかった。


 半年後。


 ゲーム内で知り合ったフレンドさん達とは、ツイッターで連絡を取り合ってるけど、一人、二人と他のオンラインゲームに流れていった。


 他のゲームに馴染めず、不貞寝する毎日だったが、不思議な夢を見た。姿は見えず、声は聞こえても男か女かも分からない。


 「フェイロンさん、聞こえますか?」

 

 リアルでキャラネームで呼ぶなよ、バカ。


 「それは失礼しました。飛田竜司さん」


 んで?誰だよ、アンタは。


 「私は異世界の神です」


 ちょーうさんくせー奴が来た!!


 「飛田さんの悲しみが私の世界にまで届いたので、興味半分で見に来たわけですよ」


 じゃあ、俺を見て満足したろ?

 とっとと帰りやがれ。


 「酷いなぁ、これでも神様なのに。ところで私の世界は飛田さんの好きだった世界に似てるんですけど、転移してきませんか?」


 絶対に嫌だね!


 「何故です?」


 俺はパートナーと共に遊ぶのが好きなのであって、異世界で不便な生活をしたい訳じゃない。


 「じゃあパートナーと遊べたら来るんです?」

 「パートナーが美少女なら行くぜ」

 「では、飛田さんが触れたモンスターは、美少女パートナーに変化するスキルを差し上げます、と言ったら?」

 「絶対に行く!他の奴には譲らないッ!!」


 アース・クロニクル・オンラインのパートナーは、元モンスターだったりするのだ。


 俺の食いつきぶりに満足したのか、自称神とやらは弾むような声で、「決まりですね」と言った。すぐにでも俺を転移させそうな気がしたので慌てて止めた。


 「ちょっと待って欲しい。異世界に行くなら問題が色々とあるだろ?」


 言葉の問題や、服装、習慣などの知識。もらうスキルの詳細、それに年齢だって三十半ばで、異世界に行くにしては、もう若くないんだし。


 「大丈夫。飛田さんが不安に感じてる事は、全部解決済みですよ。伊達に大勢の人間を異世界に送ってませんから!」


 そんなのをマニュアル化するほど、異世界へ人を送ってるんかい。


 「俺達に能力付与して転移させて、お前らに何のメリットがあるんだよ」

 「面白いから?」


 こいつ、邪神決定。


 「本当は世界に波紋を起こしたいからだよ。それによって何か変化が起きて欲しい。出来るならば良い変化をね。でもまぁ、とりあえずは新しい世界で新しい人生を楽しんでよ」


 まったね〜、といって自称神様の存在は消えた。


 

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