第7話「土魔法の適正があるようです」
マシューが 去っていくと、カナリアは「さてと」と言った。
「ルークは魔法に必要なものは何かわかる?」
「想像・・・?」
「その通り」
「想像できたら魔法は使えるの?」
「原理としてはね。でも、実際には魔力の量や適正によって使えない魔法もあるわ」
想像すればなんでもできてしまうのだったら、それほど便利なものはない。
さすがにそこまで万能の力ではないらしい。
「適正っていうのは、どの魔法が使いやすいかってことだよね」
「ええ、そうよ。魔力には、火、水、土、雷、風の5つの基本特性があるの。それぞれ、その人にあった魔力適正があって、例えば、ルークは土の適正ね」
「えっと・・・どうしてわかったの?」
「簡単よ。魔力の適正は瞳の色に現れるの。茶色の瞳だからルークは土よ」
まじか。
土属性なのか。
ちょっと、地味だな。
「じゃあ、母さんは水の適正だね」
「そうね」
カナリアは、と青い瞳で俺を見つめながら、頭をなでる。
ちょっと、はずかしい。
外観は6歳でも、中身は前世含めると30歳越えのおっさんなのだ。
ちなみにカナリアは25歳だから、前世で自分が死んだときよりも若い。
「今までやっていた水魔法の練習は無駄だったんだ」
「無駄じゃないわ。複数の魔法使えた方が色々と便利よ。それに、水はすべての魔法の中で基礎となるもの。水の魔法が扱えるようになれば、他の魔法にも応用が効くわ」
そうなのか。
特に意図したわけではないが、水魔法の練習をしていて良かったらしい。
「土魔法も想像すれば出せるの?」
「そうよ。詠唱すれば、より簡単に魔法を使えるわ。詠唱と言っても、難しく考える必要はなくて、想像したものを言葉にするだけよ」
そんなものなのか。
思っていたよりも魔法ってシンプルだな。
想像なら俺は得意だ。
漫画でも土魔法の使い手はたくさんいた。
想像には事欠かない。
俺は右手に魔力を集中させ、砂の塊を意識する。
「いでよ、砂の塊」
右手から砂の塊が現れた。
水よりも簡単に出せる。
これが適正の違いだろうか。
次に砂の塊を、いろんな形に変えてみる。
これは楽しい。
「あらあら。上手ね」
ふふふ、とカナリアは笑った。
「今日の講義はここまで。母さんは夜ごはんの支度をしなくちゃいけないから、そろそろ行くわね」
カナリアはそういって、去っていった。
その後、俺は日が暮れるまで土魔法を練習した。