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俺と少女はちょうどガルダートの背中に乗っていた。二人で乗っているせいで、お互いの体の密着度は高い。少女の吐息が服越しからでも伝わってきて、気持ちが高まるのを感じていた。
だが、そんな気分はまわりの光景を見わたすことで全部吹き飛んでしまう。そう。いま俺の目の前に広がる光景はアルシュリオン・オンラインの世界では決して見たことなかったからだ。
「……というか東京じゃないか」
目の前にあるのはあきらかにスカイツリーだ。俺はゲームをやっていたんじゃないのか?
それがどうして東京にいるんだ?
「トーキョー? そんな国の名前は聞いたことないのう」
少女は物珍しそうにあちこちに視線を彷徨わせている。
「東京は俺が住んでいる街の名前だよ」
「はじめて聞く街の名前じゃ。それに街並みも変わっておる」
たしかにアルシュリオン・オンラインはファンタジーな世界観をモチーフにした作品だ。だから、その世界しか知らない人間からすれば、東京の街並みは珍しいことだろう。
「いったい、これはどういう状況なんだ?」
ゲーム内で東京に行くような話など聞いたことがない。どういうことかと考えていると、上空にヒビが入るのを見た。
上空にヒビが入ったとは本当に言葉通りの意味である。空がガラスのようにヒビが入って、割れたのである。
こういうところは妙にゲームチックというかファンタジーである。
「どうやら、奴らがお出ましのようじゃ」
少女は空を睨みつけながらつぶやいた。
「奴ら?」
俺もつられて上空を見あげた。
割れた空の向こうは暗雲が立ちこめ、稲光がして、雷鳴が響いてくる。
その穴からゆっくりと人影が舞い降りてくる姿を見て、俺は自分の目を疑った。
「何なんだ、あれは?」
「ぬしはこれから命を懸けてわらわを守るのじゃ。そのために向かってくる奴らは全部倒す。簡単じゃろ」
何を勝手なことを言ってるんだ。そんな説明じゃさっぱりわからないぞ。
するとガルダートが突然咆哮をあげて、飛翔をはじめた。行き先はおそらくスカイツリーの頂上――あの人影が降り立とうとしているところだ。
「あなたたちが新しい勇者さまと巫女さまなのかしら?」
うふふと色っぽい笑いを浮かべて、その女はスカイツリーの頂上に佇んでいた。
深い漆黒の瞳に腰まで伸ばした緑色の髪。グラマラスなボディーはまるで見せつけるがごとく、胸と腰の部分を木の枝で覆っているだけだ。
その妖艶で端正な顔立ちには思わず目が奪われる。
恐ろしいような絶世の美女だった。
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