k02-11 水着選び!【挿絵あり】
お屋敷から車で20分程走り、巨大なショッピングマートに到着した。
アザレアお嬢様の説明によると、島内最大規模の大型店舗で、食料品や衣料品は元より、家具から工具まで何でも揃っていているらしい。
入り口を抜けると、天井の高い広々とした店舗。
広さは相当なもので、奥の方がどこまであるか見渡せない程だ。
1階は食品売り場のようで、色鮮やかな南国のフルーツや魚介類が平積みにされていて見ているだけでワクワクする!
私、旅行先でスーパーとか行くの好きなのよね……! って、話を前にエーリエにしたら「良家のお嬢様らしくない」って笑われたけど。
「えっと……、食品を買ってしまうと直ぐ帰らないといけなくなりますので、まずはお2人の必要な物を買って周りましょうか? ほら、水着とか!」
「本当に買って頂いて大丈夫なんですか?」
申し訳なさそうなアイネ。
「えぇ。カード全て支払うようお父様から言われていますので、どうぞご遠慮なく!」
そう言って、見た事もない色のカードを見せるアザレア。
きっと……小さな店なら店ごと買えちゃうヤツね。アレ。
「シェンナさんも必要な物があれば遠慮なく仰ってくださいね!」
そう言って楽しそうに笑うお嬢様。
「え、はい! ありがとうございます」
急に必要な物と言われても、大抵の物はお屋敷にありそうなので特に思いつかず……まずは水着売り場で水着を買う運びとなった。
―――
水着売り場では、色とりどりの水着が所狭しと並べられている。
オーソドックスな物から、かなりキワドイ物、ブランド物まで品ぞろえは豊富だ。
「へぇー! 凄い、水着ってこんなにいっぱい種類あるんですねー!」
棚に掛かった水着を次から次へと手に取るアイネ。
「ウィステリアではあまり水着を着る機会は無いのですか?」
お嬢様の問いに答える。
「えぇ。ウィステリアには海が無いので。大きな湖があり夏の間は泳ぐことも出来ますが、それも極短い期間だけですのであまり行く機会は無いですね」
「そうなのですね。ハイドレンジアのビーチエリアは、水着のまま入れるお店も多くあるので結構皆さん昼間は水着で過ごす方も多いですよ」
「へぇー! これだけ開放的な街ですしね。大胆になっちゃう気持ちも分かります」
「ふふ。……では、選びましょうか。せっかくなので私も新しい水着買おうかなと思います!」
山ほどある水着を見て回る。
「あ! これ可愛い!!」
「あ、本当ですね。アイネさんの髪の色ともよく似合いそうです!」
「え、本当ですか!? ちょっと試着、してもてもいいですか?」
「えぇ、もちろん!」
そう言うと水着を手に持って試着室に走っていくアイネ。
ちょ、ちょっと待たんかい! あんたその胸のサイズでその形の水着大丈夫なの!? いや、私には分からんけども!
……はぁ。しかし……水着ってのは、こうも「持つ者」と「持たざる者」で買い物のテンションが変わるものかしらね。
我ながら自覚してる「持たざる者」である私は、フリルのついたようなデザインでボリュームを誤魔化すのが常套手段って聞いた事あるけど……どうしても可愛い水着って苦手なのよね。
てか、ボリュームってなんなのよ!? 大きいのが正しいの!? 小さいと何か悪いわけぇぇ!?
「シェンナさんはどんな感じがお好みですか?」
独り何かと戦っていると、ニコニコと笑いかけられ我に帰る。
「そ、そうですね。私は……」
ちなみにお嬢様は……「完全なる持つ者」
2対1か……。かなり分が悪いわね。
ええい! こうなったら、こっちは健康美で勝負よ! 見てなさい、伊達に鍛えてる訳じゃないってトコ見せてあげるわよ!
「えっと、こんな感じにしようかなと思います」
「あら、その水着も素敵ですね。健康的というか――」
「ちょっと試着してきますね!」
敵軍のアドバイスなぞ聞かん! お嬢様の話が終わるよりも前に、スポーティーな白色の水着を持ってアイネの隣の更衣室に入る。
「あれ、うーんちょっとキツイな。小さかったかな……?」
隣からアイネの声が聞こえる。
チッ。なんだよ、嫌みかよ。
完全にやさぐれる私。
暫くしてお嬢様も隣の更衣室に入ってきたようで
「お2人とも、どうですか? あ! 着替え終わったらせーので見せ合いっこしませんか?」
壁越しに楽しそうに話しかけてくる。
「いいですね! ちょっと恥ずかしいですけど自分じゃ似合ってるか分からないので見て貰いたいです!」
反対側からアイネの声。
なによ!? いいわよ! 受けて立とうじゃないのよ!!
暫くして、全員着替え終わったようで……
「「「せーの!」」」
同時に試着室を出る。
「あー! シェンナ、その水着可愛い! 赤色選ぶかと思ってたけど意外!」
そう言うアイネは、髪に合わせた淡い青色の水着。
……やっぱり、その胸でその形、本当に大丈夫なの!? 見てる私の方が心配になる。
我が幼馴染ながら……やるわね。べ、別に悔しくなんかないんだから!
「お2人ともよくお似合いです!!」
そう言うアザレアお嬢様の方を振り向くと――
「ひゃー! 凄いです! アザレアさんてモデルさんですか!?」
「ち、ちょっと! アイネさん、変な事言わないでください! 恥ずかしい!」
顔を真っ赤にして手をばたつかせるお嬢様。
そ、そうきたか……。
服の上からじゃよく分からなかったけど……。
そこには、大人っぽい黒の水着を纏う極悪非道ボディの凶悪な少女が立っていた。
わ、私は明日この2人と水着を着て並んで歩くのか…………
ここに来て実地演習の恐ろしさを思い知った……。






