Cheese11〜寂しさ募る〜
わたし、立川 華は高校で二人目の佐藤 雅ちゃんというお友達をゲッチュ(ついでに楽譜もゲッチュ)し、意気揚々と写真部室に向かっていた。
…………ガラガラ…… 写真部室前に着き、ゆっくりと扉を開けた。
華「失礼します。………??」
すると、写真部室には誰もいなかった。
華(薄井先輩、まさか帰ったんじゃ!?)
その時、突然誰かに後ろから目隠しをされた。
華「わわっ!?」
??「だ〜れだ」
華「………薄井先輩」
薄井「なんでわかった!?君はエスパー伊藤かっ!?」
華(わたしと同じ例えを言ってるーーー!?ということは、わたしと薄井先輩って、同レベルの人間?)
薄井「そんなことより花子!楽譜はちゃんと持ってきたかっ!?」
華「もちろんですよ!これですよね?」
自信満々に取ってきた楽譜を薄井先輩に渡すと……
薄井「ああ、ありがとう……ってバカァァァァァァーーーー!!」
華(えぇえーー!?)
薄井「中をちゃんと確認したかっ!?これは僕の落書き帳であって楽譜は机の中にあるんだっ!!!」
そう言いながら薄井先輩はおもむろにわたしが持ってきた紙束をパラパラめくった。
華「汚い絵ですねー。あ!これなんか幼稚園児でも描けますよ」
薄井「花子……どうやら君は僕に喧嘩を売りたいようだな?」
華「い゛!?ちっ、違いますよっ!?」
薄井「な〜にが違うのかな〜??」
華「うう……。あっ!わたし、今度こそ薄井先輩の楽譜取ってきますからそれで許してくださいっ!すみません!!では……!」
写真部室から逃げるように出ようとした瞬間、裾を捕まえられた感触があった。
薄井「待て、花子。今日はもういい。君はここにいてくれ」
華「……先輩?」
薄井「君がいなくなると寂しいからな……」
華(なっ……!?急になにを言い出すんだろう……この人は……)
薄井「一人だと話し相手がいなくて困ってたんだよ〜〜♪」
華「……そうゆうオチですか………」
薄井「何か言ったかい?花子」
華「いえ!!あの、そういえば野高先輩って今日いないんですか?」
薄井「メダカなら川でスイスイ泳いでいるよ♪」
華「そのメダカではなくて野高先輩のことです!!」
薄井「優なら屋上だ。また空の写真でも撮りに行ったんだろう」
華「野高先輩って本当に空が好きなんですねー」
ほのぼのとそう思いながら薄井先輩と雑談をして、 今日のCheese同好会を終えるつもり…だったのに………
華「5時になりましたっ!!」
薄井「あ〜、そうだね」
華「じゃあ、わたしはこれで失礼します!」
薄井「よぉ〜し、僕も帰ろう!花子〜一緒に帰るぞ〜〜♪」
華「なぜですか!?」
薄井「ツッコミがはやいね?君も。いいじゃないかっ!一緒に帰るくらい!!」
華「一緒に帰るイコール………カップルがすることですっ!」
薄井「……それは花子の中での常識かい?」
華「とっ、とにかくわたしは一人で帰りますね?じゃあ、失礼します」
……ガラガラガラ……薄井先輩を一人残し、わたしは写真部室を出て行った。
薄井「……今日は一人で帰るのか……」
薄井「……………」
…………ガラガラガラするとその時、写真部室に誰かが入ってきた。
野高「あれ?薄井、まだ帰ってなかったの?」
薄井「優……?なんだ、まだいたか!!仕方がな〜い!一緒に帰ってやってもいいぞ?」
野高「いつも一緒に帰ってるだろ?何を今さら……」
薄井「何をトロトロしてるんだ!?早く行くぞーー☆」
野高「…はいはい」
薄井「そうだ!花子に言い忘れたからメダカくんに言っておこう!」
野高「……なに?」
薄井「君達、月曜日から水やり当番だからよろしく頼むぞ〜♪」
野高「へ?いつ決まったの?それ…」
薄井「僕が今日決めた」
野高「今日って……ちゃんと先生には言ったのか?」
薄井「僕がルールだ!T.Tに話す必要はないといえよう!」
野高「一応質問。T.Tって誰のこと?」
薄井「高橋 武。イニシャルT.Tだ。それに“タケシ”と“カケル”だぞ!?字も被りゃキャラも被るじゃないかっ!?」
野高「!?意味わかんないよ。字も“ケ”しか被ってないし、キャラも全然被ってないっ……!!」
薄井「とにかくE.Tに報告する必要はな〜〜いっ!!」
野高「E.Tって……映画になっちゃってるよ!?」
薄井「うるさいな…。もうゴチョゴチョ言わずに帰るぞーー!!」
野高「……その擬音間違ってるよっ!?」
なにか波瀾を起こしそうな予感がするCheese同好会所属の薄井翔であった…………。
〜寂しさ募る〜 完。