表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

52/58

46話 被爆地、再び

今日は45、46話の2話を公開しています!

今日17時ごろに45話を公開しました。このストーリー(46話)は45話のネタバレとなっていますので、先に45話を読むことをお勧めします!

「キュラゴクス……!」


 聞き慣れたその声に、俺は安堵する。完全にヒーローの登場の仕方だ。実際、ヒーローだ。


「バーザール、代われ。ここは俺に任せて、お前は後ろで見ていろ」


 キュラゴクスは俺に視線を向けながらも、その剣先は寸分狂いなく悪魔を捉えていた。同時に、戦場に二つの風が吹き荒れる。


「遅れてすみません、バーザール様。こちらは、私たちが引き受けます」


 笑みを浮かべながら鎌を構えるラナリリスと、無言で弓を引き絞る巡雩が、もう一方の悪魔へと向かっていく。


「ラナリリス、巡雩! 助かる!」


「うん。礼は後だ。まずはこのゴミを片付けるぞ」


 キュラゴクスの合図とともに、戦いは二つの局面に分かれた。俺とキュラゴクスは、地上で剣を構える悪魔と対峙する。


 キュラゴクスの剣技は、俺のそれとは次元が違った。悪魔が放つ超高速の斬りを軽々と受け流し、即座に重い一撃を叩き込む。俺はその隙を縫うように火弾(ファイヤーボール)を放ち、徐々に悪魔を追い詰める。


「……チッ、これほどまでの練度とはな」


 無機質だった悪魔の顔に、初めて焦りの色が浮かぶ。キュラゴクスの技術は圧倒的だった。次にどこにくるかを知っているように、剣が振られる。その波状攻撃の前に、Elf Schreckenがじりじりと後退を始めていく。


「これで……おしまいだ!」


俺たちで同時に、トドメの一撃を放とうとしたその瞬間。


「……計算外だ。全員まとめて、地獄へ連れて行く」


 悪魔が地面に剣を突き立てた。不快な空間の歪みが急速に膨れ上がる。


「しまっ………」




 俺たちの視界は真っ白な閃光に飲み込まれた。大規模な転移魔法。次に目を開けたとき、視界に入ってきたのは4日前のあの街の光景だった。

 そこは全てが燃えた地。核投下地点、アルトリア。


「カハッ……なんだ、これは…………」


 キュラゴクスが膝をつき、肺を押さえて苦しみ始める。巡雩とラナリリスも、目に見えない放射線に侵され、肌が赤く変色し始めていた。


「勝てない…?この俺が?そんなわけがないだろう!さあ、2ラウンド目だ!かかってこい!存分に切り刻んでやる!!」


 核汚染があるところで戦闘だと?こちら側が不利にも程がある。これでは勝てない………そう、今までは。

 だが、今は違った。核は、熱さえなければなんとかなる!あとは、これを使えば…!


全知王(ヘルメス)聖なる領域(アルカディア)を発動しろ!そして、解析した魔気エネルギーへの変換も全展開!」


〈了解しました。核エネルギーの魔気変換を開始。広域再生結界「アルカディア」を展開します〉


 たちまち周囲に眩いばかりの緑色の光が溢れ出す。大気中に充満する放射線が、俺の身体を通じて純粋な魔気へと変換され、使用していく魔気の代わりに体を満たしていく。

 その膨大なエネルギーを源泉として、俺は結界内の仲間を強制的に再生させていく。俺の、不眠不休という傷もたちまち癒えていった。


「……傷が、消えていく……?」


 驚愕するキュラゴクスたちの前で、俺はドラゴンの翼を広げ、天を仰いだ。絶望の象徴であった核エネルギーが、今や俺の最強の燃料となっていた。


「これで、最後だ!」


 魔気変換によって極限まで増幅された槍を、俺は悪魔の核めがけて投げつけた。空間を切り裂いて届く一撃。超広範囲の攻撃だ。

 直撃した!




 しかし、着弾の寸前。


「……っ!?」


 悪魔は自らの左半身を強制的に爆破し、その衝撃で軌道を僅かに逸らした。槍は核の数ミリ横を貫き、背後の廃墟を跡形もなく消し去る。


「……この借りは、必ず返す……」


 ボロボロになったその悪魔は、再び空間の歪みの中へと消えていった。キュラゴクスが剣を投げつけるが、それも間に合わずに悪魔は消えてゆく。


「クソッ!あと少しで……!」


 後ろを見ると、ラナリリスたちの方の悪魔も消えていった。どうやら、逃げられたみたいだ…


〈転移魔法初級を入手完了しました。〉


 目の前で使っているのを見たからか。結局あいつら、何がしたかったんだ…?


〈バーザール様が手に入れた核関連のデータが漏れないように、抹殺しにきたものと思われます。〉


 そうか…キュラゴクスたちが来なかったら、まずかった。遅れてでも来てくれたのは、不幸中の幸いか。


「ところで、バーザール。その姿は…」


 あ…。そうだ。今の俺は、ドラゴンの羽を生やしている。慌ててしまうが、見られたことには変わり無いみたいだ。


「そうだ!そんなことよりみんな、すぐ帰るぞ!スフィウスがまずいんだ!」


 キュラゴクスたちは、ここがどんなところか、スフィウスがどうなってしまったかを知らない。俺たちは急いで手に入れた転移魔法を使って、街へ戻っていった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ